Salesforceにコンペで負けない国産プロダクトを、徹底的に開発してIPOした企業──営業変革を牽引する、博報堂出身の三橋氏に聞く

インタビュイー
三橋 健太郎

大学卒業後、博報堂に入社。テレビCMの営業や自動車メーカーのマーケティング支援を担当後、ベインキャピタルへ出向し経営コンサルティングや企業再生を経験。さらにスタートアップスタジオのクオンタムにも出向し、大企業における企業内起業を多面的に支援する。その後、バイセルテクノロジーズへ転職し、経営企画や新規事業立ち上げを担い上場に貢献すると、2020年3月、ジーネクストに参画。執行役員や取締役として、経営企画室長や営業部長を歴任。

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2021年3月に東証マザーズ市場上場を果たしたジーネクストは、圧倒的に強いプロダクトを有して成長を続けてきた。当初からエンタープライズをターゲットとしつつ、高い顧客満足度を維持しながら口コミで広げてきたため、マーケティングや営業のコストは非常に低い。

インバウンド主体の営業スタイル、その秘密も気になるところだが、この変革に挑戦しているのが、取締役の三橋健太郎氏だ。広告代理店・博報堂でのマーケティング業務や投資ファンドでのPMIに従事し、バイセルテクノロジーズの業績V字回復に貢献するという経歴を持つ同氏。思い描くのは、THE MODEL型の「仕組み化」された営業組織だ。

完成度の高いプロダクトを持つジーネクストにおいて三橋氏が「営業の変革」に挑戦するのはなぜか。本記事では、プロダクトの秘密や三橋氏のキャリアとともに、同社ならではの上場後の成長戦略を聞いた。

  • TEXT BY MAAYA OCHIAI
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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広告代理店、投資ファンドから事業会社に飛び込んだ理由

理系大学院で物理を学んでいた三橋氏は、「仕組み」や「原理・法則」に関心が高かった。それを研究者の道ではなく、ビジネスの道で具現化したいと考え、経済の循環に貢献するような、社会的に意義のある仕事を軸に就職活動を行った。結果、ファーストキャリアに選んだのは、広告代理店・博報堂だ。

最初の配属はテレビメディア担当。広告代理店の中枢を担う部門だ。担当したテレビ局は、開局以来初めて視聴率二冠を獲得。この躍進の裏側で三橋氏は働いていた。

三橋仕事はテレビ広告をいかに優良な番組枠で放送し売り上げを作っていくか、というスケールの大きなものではあったのですが……。実際は、靴をすり減らしてひたすら人脈をつくっていく、華やかとは程遠い地べたを這いつくばるような営業生活でした(笑)。

テレビ局は許認可事業ですので、限られたCM枠をどうやって押さえるかが重要です。そのためには、テレビ局の世界に食い込んでいく必要がありました。電話1本で何千万というお金が動く世界なので、誰が決裁者で、どうすれば意思決定をしてくれるのか、といった仮説を立てて、毎日先回りして動かなければいけません。

日本の巨大ビジネスのど真ん中に入り、その構造を肌で感じながら、多くの人が関与するダイナミックな商流を最初に経験させてもらえて有り難かったなと思います。

スケールの大きい仕事に面白さを感じてはいたものの、就職時に抱いていた「仕組みづくり」を通じて社会に貢献する手触り感を経験したいとも思い始めていた。

次に中堅自動車メーカーのマーケティング担当になった三橋氏は、企業ブランドの改革プロジェクトにアサインされる。見事V字回復を遂げることで、事業主と同じベクトルで考えていく仕事に面白さを感じ始めた。さらにその後、投資ファンド、スタートアップスタジオのクオンタムに続けて出向。このあたりで三橋氏は、明確に事業サイドに身を置く決意を固めたという。

三橋世界有数のプライベートエクイティファンドでは、ファンド運用ではなく事業の現場に飛び込ませてもらいました。買収した企業にハンズオンで入り、目指す方向に向けて地道な積み重ねを従業員と共に行い、徹底的に経営改善を進めました。その後のクオンタムでは、新規事業特化型の珍しいビジネスモデルを擁しており、名立たる大企業における企業内起業を直接いくつも支援させて頂きました。

経営コンサル、ハンズオンでの企業再生、新規事業など、聞こえの良い字面とは違って実際の現場では泥臭い事の積み重ねがいかに大切かを思い知りました。何度も挫けそうになりましたが、自ら意思決定してみたいという思いが強くなっていったんです。代理業ではなく、事業主体となって結果にコミットする環境に身を置きたいと思い、転職することを決断しました。

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泥臭く地道な改善を積み重ね、バイセルの上場に貢献

転職先に選んだのは、ネット型リユース事業を中心に据えるバイセルテクノロジーズ(以下、バイセル)だ。多くの企業や事業に携わる中で、企業を見る「眼」を養ってきた三橋氏が、同社を選んだ大きな理由は「マーケットのポテンシャル」と、「自身が貢献できる感覚」を持てたからだ。

リユース市場は現在まで右肩上がりの上昇を見せているが、同社では岩田匡平氏が代表取締役兼CEOに就任。それ以降、赤字からのV字回復を遂げるのだが、三橋氏は同社の夜明け前ともいえる岩田氏就任直後のバイセルに出会ったのだった。

三橋当時、バイセルは採用拡大を進めていて、利益を大きく伸ばしていこうというフェーズでした。そんなタイミングで、博報堂の先輩でもある岩田社長と話す機会を頂けて。聞いてみると、オペレーションを改善して仕組み化を進めることで、時間単価を上げるための課題仮説がぼんやりと浮かんできました。

まだまだ粗削りな改革が中心だった当時のバイセルの中で、リユース業界に新風を起こすビジョンに共感しました。自分の経験値を活かして新たな挑戦をしていけば貢献できるかもしれないと思い、バイセルに飛び込もうと決めました。

バイセルでは、事業戦略の策定、オペレーションの改善、新規事業を担当し、これまでずっと志してきた「仕組み化」に着手した。仕組み化といっても、単純に新しいシステムを導入するということではない。三橋氏が重視したのは、新たな仕組みを導入する前にまずしっかりと「一次情報」を取りに行くことだ。

三橋事業戦略の策定やオペレーションの改善も、現場に同行させてもらって実際に話を聞くことをたくさんしました。営業担当者と一緒に正座をしてお客様と話をして、足がしびれた記憶もあります。報告を受けるだけではわからないことはたくさんありますから、自分の目で見て感じて、変えるべきところを見極める。これはファンド時代に学んだことですね。

仮説を立てて現場に入り、その仮説をぶつけてみて、実際のところをヒアリングする。この「一次情報にこそ価値がある」という意識は、バイセルの上場に大きく寄与すると共に、新規事業の立上げにも役立った。

三橋高級時計のサブスクリプションという、新たな事業をゼロから立ち上げました。従来のビジネスからもう一段広げる発想だったので、仕入れからフルフィルメント、マーケティングやEC構築など立ち上げに苦労しました。

しかし、現場に足を運んでいたからこそ、「求められている時計を調達する力」という強みもわかったんです。ニーズのある時計を見つけ、短期間のうちに準備してレンタルを開始する。失敗もたくさんしましたが、周りの人に助けてもらいながらこのビジネスを実現できた事は非常に良い経験をさせていただいたと思っています。

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陰で頑張っている人たちにスポットライトを
──「持たざる者」への共感と原体験

その後、三橋氏は今までと違った分野・規模であるジーネクストに移った。きっかけは、代表の横治祐介氏に直接声をかけられたことだ。

2人には「ITの力で周りを良くしたい」という共通意識があった。その中でも三橋氏が共感したのが、ジーネクストが「お客さま相談室」という、なかなか日の当たらないコストセンターの生産性や付加価値を高めるプロダクトをメイン事業としていたことだ。

これまでのキャリアで、広告代理店や、ファンドでの企業再生、事業会社での戦略策定など、華やかで日の当たる仕事をしてきたように見える三橋氏。なぜ日の当たらない「お客さま相談室」の付加価値を高めることに魅力を感じたのだろうか。

三橋私は学生時代にずっと水泳をしていたのですが、ダメダメな選手だったんです。スポーツは日の当たるところばかりが評価されがちですが、大多数はそれ以外の、記録にも記憶にもあまり残らない人たちですよね。自分もそういった“持たざる者”だったので、その立場で頑張っている人たちに光を当てたいという思いをずっと持っています。

三橋氏が特に共感を覚えたのは、代表の横治氏のエピソードだ。

横治氏はエンジニアとしてお客さま相談室のシステム開発をした際、そこがストレスのかかる現場なのにもかかわらず、他部署から良い扱いを受けていないと感じていた。

「プロフィットセンターではない」というだけで、なぜお客さま相談室がぞんざいに扱われなければならないのか。

お客さま相談室で頑張る人たちを「コストセンター」という枠組みだけでとらえるのではなく、ファクトベースで見つめてスポットライトを当てる重要性と、定性情報活用への可能性を三橋氏は感じたという。これは先の記事で横治氏が言及した「会社にとって価値ある打ち手」につながる情報が、相談室には集まっている、という考えにも通じるものだ。

さらに、横治氏のプロダクトへの情熱が、三橋氏を感化した。

三橋横治はプロダクトのことをめちゃくちゃ愛しているんです。その情熱と思考軸は、これまで私が仕事を共にしてきた「セールスやマーケティング」に強みのある人たちとはまた違う、新しい魅力でした。ITって「仕組みの具現化」だと思っていたので、ベースの考え方が繋がっていまして。もともと理系で、エンジニアに対するリスペクトは根底にあったので、自分とは違う世界にいた横治と一緒に仕事をすることに対してワクワクしたんです。

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想定外の「高いお客さま満足度」から感じたプロダクトの強さ

上場という会社として大きな節目を迎えたジーネクストだが、現在の仕事について三橋氏は「毎日が挑戦ですね」と笑うその顔には、充実感が滲む。

三橋入社前に想定していたベンチャーならではの“整ってなさ”は、イメージ通りでした。20名規模というのは過去に経験がなかったのですが、まさに“つくっていく”ことで様々なプロセスを経験しました。

もちろん問題は起こります。対応の抜け漏れが所々で起きてしまっており、あちこちでボールが落ちている。しんどいこともありますが、そういう環境に飛び込んでボールが落ちる原因を突き止め、構造化を進めていく。このプロセスを経験させてもらえる境遇に感謝してますし、お客さまに喜んでもらえる仕組みをつくるのは単純に楽しいですね。

一方で、想定を覆すような良い部分にも気づいた。それは、プロダクトに対する顧客満足度が非常に高かったことだ。「ジーネクスト社外の人の前でも、お客さまがプロダクトをベタ褒めしてくれていた」と三橋氏は驚いていた。

顧客から出てきた声の中には、「生産性が高くなった」「労働時間が短縮された」などだけでなく、「快活になれた」というものもあった。生産性が上がるだけではなく、その先の仕事に対する満足度まで高まる。これは普段からクレームや苦情と向き合う部署であるお客さま相談室ならではの感想だ。

三橋我々の100倍以上大きな規模のお客さまからお褒めの声を頂いて。定量的にも劇的に改善されたと。私も大企業にいたのでお役に立てている事が嬉しくて、チャーンレートも非常に低いですし。仮説として、CSを潤沢にやるからこそ顧客満足度は高まると思っていたので、少人数でこんなに満足度が高いというのはプロダクトの強さを感じました。うちのエンジニア陣へのリスペクトはより高まりましたね。

ジーネクストのプロダクトは、顧客自身がカスタマイズできる範囲が広く、その設定も容易にできるという特徴がある。しかも、お客さま相談室の業務フローに徹底的に寄り添ったものであるため、オペレーションの細かい文言を変更することも簡単にできる。その意味で「かゆい所に手が届く」という声も多いという。

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開発への徹底投資で、エンタープライズ中心の営業戦略を成功させる

現在のジーネクストの従業員数は約40名。上場企業としてはかなり少数精鋭の組織だ。しかし、顧客企業はエンタープライズがほとんどとなっている。

多くの場合、SaaSプロダクトを扱うベンチャー・スタートアップの成長戦略は、まず中小企業をターゲットにし、マーケティングや広告宣伝を行って顧客獲得を目指す。そして、ある程度軌道に乗ってきたタイミングで利益率や受注額の大きいエンタープライズに切り込んでいくことが多い。

ところが、ジーネクストでは真逆のプロセスを歩んでいる。しかもそれは戦略的にやってきたわけではなかった。「横治がエンジニアじゃなかったらそれはなし得なかったと思います」と三橋氏は言う。

三橋横治はプロダクトへの情熱を持って、開発にかなり多く投資をしてきました。上場を果たした今も、開発系のメンバーが半数以上になっています。

弊社のお客さまは大企業様ばかりで、7割ほどが食品メーカーや外食産業などです。日本は世界と比べても特に、一般消費者が食品メーカーに求める品質基準が非常に高いですよね。そのレベルが私たちのプロダクトにも求められ、改善を繰り返してきたので、品質が磨かれていったんです。

最初からエンタープライズを相手にすることによって、自然にプロダクトが鍛えられていったというのだ。

三橋我々は小さな会社なので、お客さまに対するコミュニケーションやリレーションが生命線になってきます。その中でも特に、機能開発や不具合修正のスピード感は武器だと思っています。意思決定や営業と開発間のコミュニケーションにスピード感があるからこそ、我々は競合になった際にSalesforceさんといったジャイアントにもコンペで勝ってきました。

三橋氏らはそれに加えて、大企業の構造や特有の論理も把握して動くことを意識しているという。エンタープライズ営業で重要なことは、ベンチャーの論理や正論を押し付けるのではなく「大企業の担当者がいかにスムーズに稟議を通せるかを考えること」なのだ。

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プロダクトの成長に追いつけ追い越せ
──営業組織の仕組み化推進

三橋氏は現在、経営戦略や営業戦略の策定と実行を行う。企業としての当面のテーマは「インバウンド主軸営業を脱却し、強い組織へ変革すること」だ。

これまでジーネクストでは、プロダクトが強いため、ほとんどが口コミからの受注というインバウンド型営業だった。その後も1人の担当者がセールスから納品、CSまで一気通貫で行なっていた。

そのため、マーケティング関連のコストは年間売上の1%ほど。つまり「超高効率営業」なのだ。だが、今後の拡大を目指す上では、目的を持った役割分担を進め、組織としての強さをつけることが必要になってくると三橋氏は見据える。

三橋上場までが既存のやり方での数字への挑戦だとしたら、上場後の今は、仕組み化して中長期的な成長を図るフェーズだと考えています。口コミにはマーケティングコストはかからないのですが、それは基本『待ち』の営業手法とも言えるかと思います。

上場を機により一層の成長を遂げていきたいと考えていますが、一旦少し効率を落としてでも、営業手法の仕組み化や組織化を進めていきたいと思っています。具体的には、今年中に営業部門の人員を2倍以上にする予定です。

人員を増やすだけでなく、オペレーションの改善も併せて進めているという。「仕組み化」に関心を持ち、常に意識してきた三橋氏の知見と経験を生かし、既存顧客の担当変更も大胆に行なっていった。

何かを新しくやろうとすると摩擦は起こるものだ。社内から出る疑問に関しては責任を持って説明し、柔軟性を持たせる部分とドラスティックに変える部分を切り分けて実行する。一方で、社外からのクレームはほとんどなかった。

三橋今はプロダクトが圧倒的に強くて、その質に引っ張られて成長曲線を描いている状態だと思っています。ただ、もしかすると成長速度が鈍る時が来るかもしれません。私たちがプロダクトに依存し続けていたら、売上の伸びも一緒に鈍化してしまう。

プロダクトの質による成長率を追い越し、売上が伸ばせるような体制をつくっておくことは、成長戦略の根幹だと考えています。

とはいえ、三橋氏は、今の段階ではプロダクトの成長が鈍化する未来は見えていないという。だが、変化の激しい世の中で、いつビッグプレイヤーが現れるかはわからない。そのときのために「準備しないことは怠慢」であると考えているのだ。

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IPOを機に進めるのは、徹底した組織化

約20年の歴史を持つジーネクストだが、「風通しはいい方」だと三橋氏は言う。個々人の多様な考えを許容する組織風土は、代表の横治氏がつくってきたカルチャーだ。

その根本にあるのは、横治氏の「内に秘めた飽くなき成長意欲」だ。三橋氏はそんな横治氏を “青い炎”と評する。

三橋一見、物静かに見えるのですが、その内側の温度は非常に高く、ふつふつと燃えているイメージです。『プロダクトを良くしよう』という執念のようなものは、今まで出会った人の中で一番ですね。

プロダクトを良くするという思いが強くあるからこそ、周りの意見を取り入れて改善を重ねることができるのだ。

そして横治氏の想いは経営陣やマネジメント陣が理解し、社内に落としていくという連係プレーを試行錯誤しながら伝えていく。今はそれによって、ビジョンや事業、プロダクトへの理解を進めていく最中のようだ。

そんなジーネクストでは、どんな人が働いているのだろうか。三橋氏が一例として挙げたのは、最近入社したメンバーの活躍だった。

三橋今営業組織を改めて整備しようとしていて、インサイドセールスのスキームについて、私がつくった叩き台をチームに共有していました。それを最近入社したメンバーが『こういう風にしたらどうでしょうか』と即日詳細にマッピングして提案してくれたんです。別にお願いしたわけでもないのですが、自主的に進めていたんです。

非常に高い成長意欲を実行に転換していることに敬意を持ちますし、私も刺激を受けて成長させてもらっているなと感じています。私は運が良いので、人に恵まれて生きてきましたね(笑)。

意識の高いメンバーが集まり、ここまで順調に進んでいるように見える仕組み化だが、その推進に関して課題はあるのだろうか。

三橋苦労する点はもちろんあります。具体例で言うと、これまで1人の担当者が一気通貫で行なっていた業務を、変更後の役割に応じて他のメンバーと役割分担をしていくこと。全く新しい取り組みなので少し抵抗のあるメンバーもいるとは思いますが、そこは丁寧に会話をして、目指す方向を共創できるようにみんなに助けてもらっています。感謝ですね。

また、メンバー同士のコミュニケーションを促すために、情報共有や事例紹介の機会をつくり、互いに良いフィードバックが得られるようにも工夫しています。

対話を通して、チームで同じ方向を目指していくという三橋氏の統率能力は、博報堂時代のテレビ業界に切り込んでいく中で養われた人間力が大きいかもしれない。

上場を迎え、ジーネクストには新しい血も続々と入ってきている。採用面接も行なう三橋氏は「お客さま相談室にまったく興味がない人でもウェルカム」だと語る。むしろ求めているのは、「働くことに対する姿勢」だ。

三橋一緒に働きたい人材は主体的な人。必ずしもお客さまに感情移入して寄り添う必要はなく、しっかりヒアリングした上で、お客さまも気づいていないような潜在的な課題を導き出せることが重要だと考えています。それこそがお客さまに対する本質的な価値提供だと思っています。

潜在的な課題を導き出すために必要なことは、やっぱり実際に人に聞くことだと思っています。私がこれまでも重視してきた『一次情報』の収集ですね。自分の仮説をぶつけてみて、お客さまからフィードバックをいただいて考えていく。そんな主体的な姿勢がある人ならやりがいがある環境だと思います。

ジーネクストは、組織がこれから創られていく言わば第二創業の段階だ。強いプロダクトを生かしたマーケティングやセールスだけでなく、新たな価値創出を見据えた変革が進んでいく企業となる。

会社の成長とともに、新しい手法や仕組みづくりに関わっていきたい人が楽しめる環境がここにはある。

こちらの記事は2021年07月20日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

落合 真彩

写真

藤田 慎一郎

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