「防災は日常にある」
ウェブメディアSAIBO TECHが伝えたい本当の災害対策
天災から逃れたい人は『SAIBO TECH』を覗いてみて欲しい。
マクロからミクロまで災害対策に関する様々なトピックが並んでいる。ある意味サバイバル情報だ。
つまり、防災とは生きることのようだ。生きるための情報サイトの運営者は何を思っているのだろう?興味をそそられた。
- TEXT BY KEI TAKAYANAGI
- EDIT BY MITSUHIRO EBIHARA
ウェブマガジン『SAIBO TECH』は単純に防災関連情報やグッズを紹介するメディアではなく、テクノロジーの視点から、防災につながるトピックを発信することを目的としている。
同メディアを運営しているのは、非常食の定期宅配サービスや避難所体験プログラムといった事業を展開する「yamory」を手がける株式会社R-proと、国内外の複数のウェブ媒体を運営している名古屋スタートアップ株式会社の2社。
新たな防災のメディアを立ち上げたきっかけについて、R-proの岡本ナオト氏は次のように語る。「yamoryで『ボウサイをデザインする』をコンセプトとした商品やサービスを開発、提供する中で、より広く防災のことを発信できないかと考えていました」
日本や海外を含め、様々な防災のテクノロジーが進化しているにも関わらず、それらを横断的に届けるメディアの必要性を感じ、名古屋スタートアップの若目田大貴氏とともにSAIBO TECHをスタートさせたという。
防災=生活
SAIBO TECHに載っているのは、災害時の救助ロボットや非常食の新製品といった直接、防災に関わるものだけでなく、水だけあれば使える洗濯ツールや、移動を楽にするアイテムなど、生活の知恵とも言えるような幅広い情報だ。
若目田災害時にドローンの利活用が話題となったり、危険な場所をロボットが調査したりと、最先端のテクノロジーがある一方で、個人や家族単位で防災の意識を高めていくために、より身近な情報を積極的に集めています。
岡本防災とはなんでしょう?と聞くと、十人十色の答えが返ってくる。防災はマジックワードなのです。
本当にすべての防災に対応しようとすれば、地震予知など大きなものだけでなく、天気図が読めるか、自分の家の地盤の状態はどうかなど、身の回りのあらゆるものが関係してくる。
その視点で『生活』自体にアプローチするような情報を発信することが、防災につながるとも考えています。
その言葉通り、純粋な防災のための製品ももちろん必要だが、防災という「切り口」でテクノロジーを見ることで「これも防災につながる」と気付きを与えるような記事も特徴だ。
現在、SAIBO TECHで記事を作成するスタッフは10名。ウェブサイトには広告などは少ないが、メディアビジネスとしての今後についてはどのように考えているのだろうか。
岡本2017年3月に立ち上げたこともあり、企業としてはボランティアのような状態で運営しています。ゆくゆくは広告などを増やし収益をつくっていきたい。
社会に貢献する活動は、その活動自体を維持し、進歩させていくためにビジネス的であるべきだと考えています。
立ち上げ当初の目標であったPV数も達成し、着実にメディアとしての数字も伸びてきているので、今後も伸ばしていきたい。
また、防災という分野へ企業が新たに参入することについて聞くと次のような答えが返ってきた。
岡本日本は災害が多いこともあり、世界の国々と比べると防災のリテラシーが高い。そのためできるだけ災害時の被害を無くす減災の意識が強く、すでに高い水準での防災サービスや製品が多く提供されている。
また個人レベルでも少なからず備蓄をしたり、避難場所を把握したりと準備ができている。防災という視点で新たに参入するには、SAIBO TECHのように少し違った視点で取り組むか、海外に目を向けたほうが良いかもしれません。
特にアメリカなどは、災害が起こった後に「いかにして生き残るか」といった日本とは異なる防災の意識を感じるとも話す。
様々なテクノロジーが生まれる中で、それらを広い視点でつなぎ合わせ、社会と防災意識、情報のハブとなること目指す、SAIBO TECH。防災の意味と日常における在り方をさらに拡張していくその取り組みに注目だ。
[写真]提供:SAIBO TECH
こちらの記事は2017年10月18日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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執筆
高柳 圭
編集
海老原 光宏
連載THE STARTUPS SAVE THE WORLD
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