「“介護=3K”っていつの時代の話ですか?」──SOMPOケアの若手が語る、介護業界というテクノロジードリブンな領域で描けるキャリアの可能性

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インタビュイー
湯浅 学
  • SOMPOケア株式会社 

淑徳大学を卒業後、新卒でアパレル業界に入社。店長業務に従事した後、2012年にSOMPOケア(旧株式会社メッセージ)へ転職、管理者候補として現場のケアスタッフ、管理者、入居相談員(エリアコーディネーター)を経験。2017年からは中途採用担当である、人財採用部キャリア採用課に配属され、2019年からは現職の新卒採用担当となり、現在は責任者を務めております。

佐山 和香
  • SOMPOケア株式会社 

2015年に新卒としてSOMPOケア(旧ワタミの介護)に入社後、ケアスタッフとして介護付きホームに配属となりました。配属先でレクリエーションやフロアのリーダーなどを経験後、2年目で施設を異動となり、ケアコンダクターに就任。2019年より、兼ねてから希望をしていた現在の新卒採用担当となり現在に至ります。

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「労働集約型で非効率」「自分とは無縁な領域」──。

介護業界に対するイメージを上げると、こうした点が出てくるのではないだろうか。ただし、客観的な数字で見ると、介護業界は今後間違いなく成長が約束されている業界の一つであると言っても過言ではない。

事実、日本は65歳以上の高齢者が2022年に過去最高の3,627万人に達し、総人口に占める高齢者の割合が世界トップの29.1%となった(参考)。世界に先立って超高齢社会を迎える我が国には、解決しなければならない課題が山積みだ。

このまま高齢化が進めば、間違いなく介護や医療の需要が増えていく一方で2040年には69万人の介護従事者が不足するとも言われている。(参考)その解決策として、国は人手不足を補うために本腰を入れてデジタルテクノロジーの活用を進めているのだ。そして今、アナログだった介護業界は現在進行形で進化を遂げており、感度の高い事業家やビジネスパーソンたちはそのポテンシャルの高さに目を光らせている。

しかし、これまで介護業界に対しては「3K(きつい、汚い、危険)」のイメージが先行しており、世間の人たちからは「給料のわりに、仕事がきつそう」と語られてしまうことが多かった。読者の中には「介護事業に将来性ってあるの?」と思う者も少なくないだろう。

さて今回、「そんなイメージを払拭したい」とやってきたのがSOMPOケアの新卒採用担当の責任者湯浅氏と、同じく新卒採用担当の佐山氏である。二人は自信を持ってこう述べる。

「介護=3K?知ってますよ。学生からしょっちゅう聞かれますから。もちろん僕らもそうしたイメージを持たれていることは分かった上で入社していますし、今日は、そこにある誤ったイメージを払拭したいと思っています」と。(湯浅氏)

SOMPOケアは、損保ジャパンを主力に保険事業を展開するSOMPOグループの主力事業を担う企業だ。国内で他社に先駆け、介護事業へのデジタル技術の導入を進めており、まさに介護のDXを推進するリーディングカンパニーである。今回はこのSOMPOケアの二人に、介護業界の今とそこで描けるキャリアについて語ってもらおう。

  • TEXT BY YUKO YAMADA
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
  • EDIT BY TAKUYA OHAMA
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スマホのタップ一つでOK。
書類整理に追われる日々に別れを

「今から4〜5年前までは、介護施設内に入所しているご入居者さまの生活の様子をすべて手書きで紙に記録していましたからね。今は記録システムの導入で、iPhoneやiPadからタップ一つで簡単にデータを保存・管理できるようになりました。その変化は大きいですよね」と湯浅氏。そしてその言葉に深くうなずく佐山氏が、自身の体験談をもとに語ってくれた。

佐山介護の仕事には、ご入居者さまの一日の活動をすべて記録するというミッションがあります。今朝は何時に起きました。体温は〇度です。声が枯れています。食事はどれくらい食べました。歯を磨きました。顔を洗いました。着替えました。何時にお風呂に入りました…という生活情報すべてをです。それも、毎日にわたって。

例えば一つの介護施設に80人のご入居者さまがいるとしたら、80人分の情報を細かく記録していかなければならないんです。その大変さって、伝わりますかね(笑)。

佐山日中、ご入居者さまのお世話をしながら記録作業はできないので、昔は仕事終わりに何時間も残業して記録を付けていたんです。それが介護業界の長時間労働の原因にもなっていたんです。しかし、今はスマホやタブレットのタップ一つで捌けるようになり、ある一つの情報を記録するために費やす時間は1〜2秒という世界。それまでは手書きで最低でも10〜30秒は掛かっていた作業がこれだけ短縮されたのですから、本当にラクになりましたね。

全国約440の介護施設(2022年4月1日時点)を運営するSOMPOケアが、本格的にデジタルの導入に乗り出したのが2019年。それ以前は各施設ごと平均80名分のご入居者さまの記録をすべて手書きで行っていたのだ。デジタル化が進む業界と比べると、とてつもない非効率さを感じるだろう。

だが、裏を返すと介護業界の変革はまさに始まったばかり。FastGrowではこれまで様々な業界変革の現場を取材してきたが、介護現場では具体的にどんな変化が起きているのだろうか。さっそくその変化の実態を探っていこう。

湯浅2019年までのSOMPOケアでは、日々、膨大な量の記録が紙で蓄積されていき、介護施設内の各部署や担当者が各自で記録データを管理していました。すると、読者の方もイメージがつきやすいかと思いますが、しばしば「あの日の〜さんの記録データが見当たらない…どこにいった?」というやりとりが発生していたんです。

しかし、今は端末から欲しい情報を一発で探し出せる。相当な業務時間の短縮につながっています。また、手書きだとどうしても記入漏れや誤字脱字などが起こりがちですが、そういったミスもなくなりました。

湯浅介護とは、基本的にケアプラン*に沿って行っていくのですが、記録は何か予期せぬ事態が発生した時に、ご家族ご関係者に対して、ことの経緯や原因を説明する際のリスクヘッジにもなるんです。そうした際の事実確認がミスなくできるようになったのは大きな安心感がありますね。

*ケアプランとは、ご入居者さまに対し提供すべき介護サービスの目標と内容をまとめた計画書のこと。一般的にケアマネージャーが作成する。

佐山他にも日々さまざまな記録データが蓄積されていくので、医療との連携においてもスムーズになりました。例えば、ご入居者さまの体重やお食事の摂取量などのデータが必要な場合はすぐにお医者さんに提示できるようになり、素早く診断〜処置へと進めることが可能になっています。

また、「このままご入居者さまの体重が減少すると、健康上こういった事態になりそうですね」というように、過去の記録データから健康状態を予測して、そこに対応した予防の提案ができるようにもなったんです。私が2015年に入社した頃と比べて、急速に生産性が向上していますね。

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深夜、泥棒のように慎重に行っていた睡眠チェックともオサラバ!?

そうした記録システムに加えて、もう1つSOMPOケアが取り入れているのが『睡眠センサー』である。ベッドに設置したセンサーによって、ご入居者さまの入眠状態や呼吸、心拍数、離床の動きなどがリアルタイムでケアスタッフの端末に表示されるのだ。それにより、ケアスタッフの負担が劇的に解消されたという。

佐山介護では夜間、2時間に1回や4時間に1回など、決まった時間にご入居者さまの様子を確認するために各お部屋を巡視するという業務を行っています。そこでお部屋に入る際、私が開く扉の音で「…誰かいるの?」とご入居者さまを起こしてしまうことがあるんです。

佐山なのでそれを避けるべく、まるで泥棒かのようにそーっとお部屋に入り、何か変わった様子はないかうかがっていました。こうした巡視業務は時間にしてひと部屋3分ほどでしょうか。それを全部屋に行うと30分ぐらいかかるんです。またその時、目をつむっていたら普通は寝ているなと思いますよね。ところが、昼間うとうとしているご入居者さまの姿を見ると「昨晩きちんと寝れていなかったんだな」と、後から気づかされることも多かったんです。

そこから『睡眠センサー』の導入によって、我々が巡回しなくてもご入居者さまの心拍数や呼吸の状態を端末でチェックすることができるようになりました。おかげで、夜勤のケアスタッフの業務負荷軽減に繋がり、緊急時にはより迅速な対応ができるようになったため、ご入居者さまも安心してお過ごしいただけるようになりました。

記録システムや『睡眠センサー』といった最新のICT*を全国の介護施設に導入しているSOMPOケア。こうしたテクノロジーの導入により、介護現場は大きく変わり始めていることがわかっただろう。

*Information and Communication Technology。情報通信技術を用いたコミュニケーションやその技術

しかし、近年ではたしかに最新のICTを導入する介護施設が増えてはいるものの、まだまだ伸びしろは大きい。日本の大小さまざまな規模の介護施設においては、予算の都合や管理者のデジタルへのアレルギー反応から、デジタル化に移行できていない施設も多く存在しているのだ。

対して、全国のSOMPOケアでDX*が進んでいるのは、同グループが安定した事業基盤を築いていることはもちろん、最先端のテクノロジーに対する造詣が同業他社と比べて圧倒的に深いからだということを押さえておきたい。

*Digital Transformation。デジタル技術を活用し、業務プロセスの改善やビジネスモデルの刷新、ひいては組織の変革なども推進し、競争上の優位性を確立すること

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介護事業者がLaboで研究開発!?
3Kなどもはや過去の遺物

冒頭では介護現場の最新状況をお見せしたが、いかがだろう。介護業界に対するイメージは多少なり変わっただろうか。

日々テクノロジーを軸としたベンチャー/スタートアップに触れる機会が多い読者からすると、「まあ、それくらいの変革は起きていて当然でしょう」「それよりも、ご入居者さまの生活の世話という意味で、より泥臭い現場実務にテクノロジーが導入されているべきなんじゃないのか?」と感じている人もきっといるはず。

その意見はもっともだ。実際にご入居者さまの食事や生活回りにおいてはどんな変化が起きているのだろうか。二人に尋ねてみると、佐山氏から「まだ一部の施設での取り組みになりますが」と前置きした上で、次のように語られた。

佐山例えば、食事を飲み込む力の弱い方は、誤って食べ物が気管に入ってしまうことがあります。健康な人であれば咳をしてすぐに吐き出せますが、高齢になると吐き出しが難しく、それがきっかけで誤嚥性肺炎*をおこすケースもあるんですね。

*唾液や食べ物、あるいは胃液などと一緒に細菌を気道に誤って吸引することにより発症

そのため、そういった配慮が必要な方に対しては、あらかじめケアスタッフが食事にとろみ材を加え、柔らかくなるまでかき混ぜてから提供していたんです。ですが、最近ではそこにとろみサーバー*を導入しているので、自動でとろみがつけれるようになりケアスタッフの負担が軽減されています。

*とろみ材の添加から攪拌までが機械化されている装置

また、ご入居者さまのお手洗いに関しては排尿検知センサーを活用しています。これは膀胱にどれくらいのお小水が溜まっているか超音波センサーで計測できるシステムです。これまでは決まった時間にケアスタッフがお手洗いにお連れしていたんですが、このセンサーを用いることで、ご入居者さまがお手洗いに行きたいタイミングで都度お連れすることができるようになりました。

介護は、高齢者の身体の介助や生活支援を通じて「心のケア」も行っていくもの。そういった、人との触れ合いに魅力を感じて介護業務に携わる人も多い。だからこそ、人がやらなくてもいい仕事がどんどん省人化されていけば、ケアスタッフはより、ご入居者さまとのコミュニケーションに時間を費やすことができる。人手不足に悩む介護業界においては、ますますICTやデジタル技術が導入されていくことは間違いないだろう。

このように今、介護業界のDX化が進む中、SOMPOケアはなぜ、介護事業にけるデジタルテクノロジーのリーディングカンパニーとしての立ち位置でいられるのだろうか。

湯浅それは私たちが「Future Care Lab in Japan」という最新のテクノロジーの実証を行う研究所を持っているからだと思います。その研究所では当社の介護施設と同じモデルルームを再現し、メーカーやベンダーと一緒に新しい製品を共同開発しているんです。

現在、都内の介護施設で実証を進めているものを一つご紹介すると、QRコードを活用した服薬チェックのシステムがあります。今までは、薬の渡し間違いを防ぐために、ダブルチェックでご入居者さまのお名前を確認していました。そうすると、二人以上の人の目が必要になるため当然ながら時間も手間もかかっていたんです。

ところがQRコードで整合性チェックができると、1人で業務が完結できる。万が一、間違いがあった場合は端末に表示されるため、ミスにもすぐに気づけます。こうした変化って業界外からみると「なんだそんなことか」と感じるかもしれませんが、介護現場で働いている身からすると日々の仕事の生産性を向上させる劇的な変化と言えるんです。

僕は今、介護現場からは離れて本社で新卒採用の責任者をしていますが、2012年の入社当時と比べて今現場に行けば「なんだこれ、めちゃくちゃ働きやすくなったな…!」と感じるでしょうね(笑)。

二人の話から、2023年「今」の介護現場は、世間一般が抱く3Kのイメージとは大きく変化していることが伝わってきたのではないだろうか。

しかも、SOMPOケアにおいては介護事業会社にも関わらず研究所を持ち、各所と連携してテクノロジーの実証実験を行っている。まさしく介護領域におけるテックカンパニーと言える、堂々たる変革ぶりだ。

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30代で数百人規模の組織をマネジメント!?
SOMPOケアで築ける市場価値の高さ

SOMPOケアをはじめ、デジタルテクノロジーの導入で生産性が著しく向上している介護業界。介護現場では、より効率化が重視され、働きやすい環境へと着実に進化を遂げている。なぜ、これまでアナログが主流だった介護業界がここに来て急激な速度で変わろうとしているのか。それは冒頭で軽く触れたが、日本が直面する少子高齢化の問題に起因する。

というのも、団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年にかけ、高齢者の人口が急増していく一方で、出生率が低下する日本では生産年齢人口の減少が喫緊の課題となっているのだ。

そうした人口構造の変化に対して、国は医療DX推進本部を立ち上げ、医療や介護の体制を構築し、デジタル化によって最適化、効率化を進めている。言い換えれば、世界に先立ち、まだ誰も解決していない課題に取り組み正解をつくり出すことができるのが、いま介護事業に飛び込む面白さとも言えるだろう。

だが、介護業界全体の変革やそれにおけるポテンシャルの高さは理解できるが、「実際に介護業界で自分は成長できるのか」「市場価値を高めることができるのか」「そこでどんな経験ができるのか」というのが若きビジネスパーソンたちのリアルな本音ではないだろうか。

SOMPOケアでは新卒入社の場合、まず3年間は介護現場を経験するとのこと。なぜなら、国家資格である介護福祉士の資格は、3年の実務経験を要するためだと言うが──。

湯浅入社して3年間、「現場実務を経験しましょう」と言うと、ネガティブに捉える方々が多いと思います。ただ、これはどの業界、会社でも同じですよね?

昨今盛り上がっているレガシー産業DXのベンチャー/スタートアップだって、その経営陣やメンバーはほぼ必ずと言っていいほど現場に出て、顧客と同じ業務体験を通じて課題の解像度を上げていきます。

その泥臭い実務があるからこそ、顧客のニーズに刺さるサービス提供ができるんじゃないでしょうか。「現場仕事はしたくない」というのであれば、おそらくどの成長産業、成長企業にいっても通用しないよとは思ってしまいますね。

まずはケアスタッフとして3年間しっかりと現場を経験して国家資格を取得したのち、SOMPOケアでは、スキルや経験から希望のキャリアパスを申請できる“キャリアヒアリング制度”を利用して、専門職(ケアマネジャー・生活相談員など)・施設及び事業所管理職(マネジメント)・本社部門(採用や広報・IT部門など)の3つのキャリアを選択することができるのだ。

湯浅「介護業界に入って市場価値の高い人材になるなんて、正直イメージが湧かない」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。前職のアパレル業界で毎日接客をしていた僕からすると、今、業界最大手の会社の本社勤務として、会社の持続的な成長に関わる採用本部にコミットできているとは想像できなかったですから。

その他、例えば専門職でキャリアを積めば、働く場所の選択肢が広がるので、まず食いっぱぐれることはないですしね。管理職であればSOMPOケアの場合、入社して3〜4年目から組織マネジメントを経験する人もいます。そして、早い人であれば30代前半で部長に昇進し、数百人の組織をマネジメントしている人もいます。

湯浅また、本社職であれば介護という専門性に、マーケティングやセールス、採用などのスキルを掛け合わせることができるでしょう。国としての重要課題である介護領域に、最先端のテクノロジーを駆使して最適解を見つけに行く仕事がSOMPOケアの仕事です。ここでの仕事を通して得られる知識や経験は他では味わえないものであり、間違いなくあなたの市場価値を高めるよい環境であると思っています。

現に、その専門職×個人のスキルを活かして独立し活躍している人や、他業界の経営企画でシニアマーケット向けの事業戦略を担うポジションとして抜擢された人もいるくらいです。今後は引く手あまたの人材になれると僕は確信しています。

SOMPOケアでは現在、パート社員を含め20,000人以上が在籍している。このように大規模な組織では、一般的に上のポジションが空かない限りなかなか昇進できないもの。

ところが、SOMPOケアでは若手でも責任ある重要ポジションにつけるチャンスが多い。なぜなら、同社が進めるDX領域はデジタルに強い若手が活躍できる領域であり、かつグループ全体を通して年次や性別にとらわれず一人ひとりチャレンジできるカルチャーが備わっているからだ。若手のうちから裁量を持って働きたいという人にとっては、やりがいある環境だろう。

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「お金」が第一なら他の道へ。
「社会課題への挑戦」なら大歓迎

一方、介護事業は専門性が高い仕事であるにもかかわらず、他業界よりも経済的報酬が低いというイメージがあるのも事実。この点に対し、佐山氏は次のように語る。

佐山まだ業界としては未成熟なので、他業界よりも平均年収が低いと、そう感じてしまうのは分かります。ですが、SOMPOケアは介護業界の中では間違いなく年収は高いと思いますよ。というのも、今、国が介護従事者の処遇改善に取り組んでいますが、同社はそれにプラスして独自の財源を利用して処遇改善に取り組んでいるんです。

第一弾は、2019年10月に介護職のリーダーの手当が5,000円から25,000円に上がり、第二弾は2022年4月に一部、正社員の年収水準が上がりました。また、現場のケアスタッフさんに対しても職務手当が整備されました。「頑張っている社員に還元したい」という社長の想いを受け、今後も第三段、第四弾という形で処遇改善が行われていくと思います。

確かに経済的報酬だけで見たら、別の業界に行った方がより高い報酬が得られるかもしれません。なので、お金を理由に新卒入社先を選ぶなら介護領域はおすすめしません。

しかし、介護業界が大きく変わる今、「テクノロジーで業界変革に携わりたい」「日本の社会課題にチャレンジしたい」という方にとっては間違いなくチャンスです。湯浅さんが言うように、この先さらに超高齢社会が進む日本において、その市場価値は着実に上がっていくと思っています。

二人が言うように、20代のうちに誰も成し遂げたことのない課題に取り組み、スキルや経験を積んでいく方が、その後のキャリアは広がっていくだろう。その中でも、介護業界はまさにDXが始まったばかり。変革をリードし、新たなプロダクトを提供し続け業界変革を推進する。その取り組みはまだ始まったばかりだが、事業においても、キャリアにおいても、間違いなく大きなポテンシャルを秘めていることだろう。

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介護への興味ではなく、その業界ポテンシャルに惹かれたんだ

本取材を通じて、介護業界は今、大きなポテンシャルに溢れていることが伝わってきた。とはいえ、これまで介護業界にまったく関心を抱いていなかった者からすると、まだその距離感は遠く、一歩踏み出すには何かしらきっかけがいるものだろう。

なぜなら、介護業界を目指す人は、「もともと社会貢献に対する意識が強かったり、本人や近親者が介護サービスのお世話になった経験を持ち、介護を身近に感じていたりするケースが多いのでは?」というイメージがあるからではないだろうか。

だが、今回インタビューに応えてくれた湯浅氏はアパレル業界出身者。必ずしも「介護がしたい」という想いで選んだわけではなかった。

湯浅前職は店長として全国転勤が多かったんです。やりがいも多く仕事自体は楽しんでいたんですが、当時は自分の子どもがまだ小さくて。「もっと家族と一緒に過ごせる時間が欲しいな」という想いが転職を考えたきっかけです。

そこから転職エージェントからの紹介でSOMPOケアを知り、介護施設の管理者候補募集という求人を見て「前職の経験が活かせそうだな。介護業界はこれから伸びていきそうだし」と、そんなノリでこの業界に飛び込みました。

他業界から介護業界へ。初めはケアスタッフとして現場に入った湯浅氏。だが、そこで「想像以上の衝撃を受けた」と胸の内を素直に語ってくれた。

湯浅これまで介護の現場を訪れたこともなかったですし、生活全般の支援も家族以外経験がなかったので最初は戸惑いました。しかし、ご入居者さまとコミュニケーションを取っていく中で少しずつ関係構築ができ、自然と仕事に慣れていきましたね。

ところが、意気投合して仲良くなったご入居者さまが翌日に体調を崩されて、そのまま入院をしてしまい、会うこともできないまま最期を迎えてしまうことがあったんです。「この間まで元気にしゃべっていたのにな」と…。

これまで身近で死を経験したことがない僕にとっては衝撃で、その環境を受け入れるまで複雑な想いがありました。

「この業界に来て、本当に大丈夫だったのだろうか」。その想いが何度も胸に湧きあがったという湯浅氏。どのようにその壁を乗り越えていったのだろうか。

湯浅なんでしょうね…やっぱり、ご入居者さまから頼られたり、存在を認められたりすることが嬉しかったんだと思います。

これは思い出話ですが、入社した2012年の頃はまだ会社としてケアスタッフの制服というものがなくて、それぞれがカジュアルな私服で勤務していた時期がありまして。

その中で、僕はあえて背中にダジャレや流行りの言葉が書いてあるTシャツを選んで着ていたんです。すると1ヶ月後ぐらいしてご入居者さまから、「いつも、あなたの背中に書かれている言葉を見るのが楽しみなんだよ」とか、「今日は、あのTシャツじゃないの?」ってご入居者さまが気にかけてくれるようになったんです。

そういったコミュニケーションを通じて、「自分はこの場所で認められているんだ」「必要とされているんだ」ということを肌で感じるようになっていきました。確かに不安や大変な思いは多々ありましたが、それでも「辞めよう」という気持ちには一度もならなかったですね。

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教師では得られなかった自己肯定感が、介護職には確かにあった

一方、大学時代は小学校教師を目指し努力を積み重ねていた佐山氏。だが、「本当にやりたいことは教師ではないのかも…!?」と気づき、新卒でSOMPOケアに入社した経緯を持つ。

佐山実は小学校の教育実習では、いざ現場を経験してみると、自分が思い描いていたやりがいを感じることができなかったんです。

「もっと、“自分が必要とされている”という実感の得られる仕事がしたい」──。

そう思っていた矢先に、大学の教職の課程で介護実習を受けたんです。そしたら、「介護って、なんでこんなに自己肯定感が上がるんだろう。楽しいな…」と感じたんです。

もともと祖母の介護を自宅でしていたこともあり、介護に対しては初めからネガティブなイメージもなく、スムーズに新卒入社先として選ぶことができました。

「介護は知れば知るほど、奥が深い。だから面白いんです」。入社して7年が経ち、介護の過酷な面もすべからく経験してきたであろう佐山氏の口から、入社当時と変わらない前向きなメッセージが発せられる。そこが本取材で最も印象的だったシーンかもしれない。そんな佐山氏が、他でもないSOMPOケアに入社を決めた理由とは一体。

佐山他社にはない、フランクな雰囲気ですかね。就活時代、他社の施設見学に行った際に、採用担当の方はニコニコと対応してくださるんですが、すれ違うケアスタッフさんは皆さん業務に追われていたのか切羽詰まった様子で働かれており、当初は「まあそういうものなのかな?」位に捉えていたんです。

ところがその後、SOMPOケアに見学に行くと、事務所に入った瞬間に「こんにちは!いらっしゃいませ」と温かく迎えてくれて、さらに業務中ですれ違うケアスタッフさんからも「ようこそ、こんにちは」と全員が挨拶してくれたんです。「あれ、他の施設ではこんなことなかったぞ?(笑)」と感じまして。

佐山また、ケアスタッフとご入居者さまが他愛のない話をされている様子がところどころで見られたことも好感が持てましたね。

このように、いち内定者だった私に対してもSOMPOケアはとても丁寧に向き合ってくれたんです。そのおかげで、自分がここでキャリアを築いている姿を明確に描くことができた。それが入社を決意した理由ですね。

もちろん佐山氏のように、介護が好きで、介護に携わりたくてSOMPOケアに入る人も少なくない。一方で湯浅氏のように、「社会貢献がしたい」「介護に携わりたい」という気持ちではなく、「伸びていく業界でチャレンジしてみたい」という想いで入社する人たちもいる。つまり、全員が介護に興味を持って入社しているわけではないのだ。

こうしたエピソードを聞くと、介護領域がそこまで遠くに位置するものではなくなってきたのではないだろうか。

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「テクノロジー」と「人」の魅力が交差する、SOMPOケアの魅力

今まで介護に対して特別な想いを抱いていなくても、今後間違いなく伸びていく市場の中で、「チャレンジしてみたい」という気持ちが芽生えてきた人もいるかもしれない。

最後にあらためて二人には、介護領域で働く魅力・SOMPOケアで働く魅力を問うてみることにした。すると、佐山氏は「“テクノロジー”と“人”のいいところどりができるところだと思う」と口を開いた。

佐山介護って、ただご入居者さまの身の回りのお世話をするだけじゃうまくいかないんですよね。ご入居者さまやその家族が何を望んでいるのか、相手を深く知って気持ちを理解していくことが大事なんです。そうすることで、ご入居者さまから発せられる日々のちょっとした変化にも気づくことができるんです。

世の中は今、テクノロジーによる革新がどんどん進み、人が行っている単純作業はAIやロボットに取って変わられるだろうと言われていますよね。今日お話しした通り、介護ももちろんその範疇ですし、恩恵を受けています。

一方で、そうしたテクノロジーによって取って代わることのできないものも、介護にはあります。それが、「人」の部分です。思いやりや気遣い、愛情溢れるコミュニケーションといったところでしょうか。こうした人と人との触れ合いがあるからこそ、ご入居者さまや家族の方々から感謝の言葉が贈られるのだと思うんです。

SOMPOケアは、ICTやAIといった最先端のテクノロジーを追いかけるだけでなく、「人」が手掛ける魅力も同時に味わうことができる。そんないいところどりができる環境だと私は感じていますね。

湯浅そうそう。テクノロジーだけであれば他の業界でも携われますからね。そこに加えて、生身の人と人とのやりとりを経験できるというのは、介護の中でもSOMPOケアが持つ強みであり、魅力ですよね。

ただ、この仕事は大変です。けれど、社会に対して貢献しているという満足感は何事にも代えがたいものだと思いますよ。「人」との触れ合いの中で周りから感謝されたり、存在価値が認められる介護という仕事において、それ自体が嫌で辞める人というのはほとんどいませんからね。

介護領域、SOMPOケアで働く魅力を掛け値なしに語ってくれた湯浅氏と佐山氏。読者にとっては将来の先輩となるかもしれない、そんな二人は今、SOMPOケアでどんなキャリアの展望を抱いているのだろうか。最後に思い思いの見解をうかがった。

湯浅SOMPOケアは、これまで介護のリーディングカンパニーとして業界の最先端を走ってきました。介護現場で積み上げてきたノウハウはもちろん、近年のDXを組み合わせて、これまでの常識にはないまったく新しい介護サービスをつくっていきたいと思っています。

世界の中でも最速で超高齢社会という状況に突入している日本ですが、その日本から世界に向けて新しい介護の仕組みを発信していきたい。SOMPOケアであれば、このような大規模な事業チャレンジができると期待しています。

佐山湯浅さんの壮大な話の後だと小さく聞こえてしまうかもしれませんが(笑)。私は今、採用担当として、学生に介護の魅力を伝える機会が多いんですね。そこで現場の話をさせていただくと、「今の介護ってテクノロジーが進んでいるんですね。イメージが変わりました」と、それまで介護に対して興味を抱いていなかった学生の目の色が変わるんです。

佐山その瞬間「よし!また一人、介護のイメージを変えることができた」と、介護の現場とはまた違ったやりがいを感じています。今後もより多くの学生に介護の魅力を伝えて、誤ったイメージを払拭していきたいと思います。

SOMPOケアでは、新卒入社の8割以上が一般学部からだという。つまり、あらかじめ「介護領域で働こう」と考えて学生生活を送ってきている人ばかりで構成されている訳ではないのだ。その中には、湯浅氏のように「業界の変革に携わりたい」「日本の最重要課題に取り組んでみたい」と、事業に魅力を感じて介護業界に飛び込んでいく人も多い。それでいいのだ。

これまでFastGrowではさまざまなレガシー産業に挑む企業を紹介してきたが、SOMPOケアが取り組む「介護」という領域も、今後間違いなくマーケットが伸びていく分野だ。少子高齢化待ったなしの日本において、今後ますます需要が高まる介護業界。そこでテクノロジーを武器に挑むことができる環境は、事業的にも、キャリア的にも期待が持てそうだ。もはや「介護=3K」などと呼んでいる時代ではない──。

こちらの記事は2023年03月20日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

山田 優子

写真

藤田 慎一郎

編集

大浜 拓也

株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。

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