連載Andreessen Horowitz投資先スタートアップ
自動運転車向け3Dマップから出張予約サイトまで。Andreessen Horowitzの2018年10月~11月の投資先スタートアップ9社
FacebookやTwitter、Skypeといった大手テック企業に投資を行い、 2009年の創業後数年で全米トップクラスのVCに登り詰めたAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)。 “Software Is Eating the World.”の理念のもと、 最先端のテクノロジーを駆使したスタートアップへの投資を行っている。彼らの投資先企業をウォッチすれば、海外スタートアップの最新トレンドを見極められるはずだ。 本記事では、2018年10月から11月にかけて投資した9社のスタートアップを紹介したい。
- TEXT BY NAGISA UMENO
- EDIT BY MASAKI KOIKE
1.出張に特化した旅行予約サイト「TripActions」

調達金額 |
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総額約175億円(1.54億ドル) ※リードインベスターはアンドリーセン・ホロウィッツ |
ラウンド |
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シリーズC |
概要
TripActionsは、出張に特化した旅行予約サービスを提供している。宿や航空会社の利用費を予算内に抑えた社員に、キャッシュバックやギフトカードなどの特典を与えることで、企業の出張コスト削減を目指す。今回のラウンドで同社の累計資金調達額は2億3,150万ドルに達し、ユニコーン企業の仲間入りを果たした。
ビジネス利用に特化した旅行領域では、リワード制を導入して企業の宿泊費や交通費の削減をサポートするサービスが他にもある。たとえば、「Rocketrip」や「TravelBank」などが活発だ。パーソナライズやモバイルフォーカスによって進化を続ける旅行領域は、これからも動きがあるだろう。
2.自動運転車向け3Dマップを提供「DeepMap」

調達金額 |
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総額約68億円(6,000万ドル) ※リードインベスターは、Robert Bosch Venture Capital |
ラウンド |
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シリーズB |
概要
DeepMapは、自動運転車向けの3Dマップを提供するスタートアップだ。走行環境を正確に把握し、安全性を高める技術を開発。GPSではなく、「LiDAR」(ライダーと読む、“Light Detection and Ranging”の略語。レーザー光を用いて物体の検知や、物体までの距離を測量する)を搭載した車を走らせて精度の高いマッピングデータを収集している。
日本では本田技研工業株式会社がDeepMapとオープンイノベーションを推進しているが、3Dマップ領域は、半導体メーカーやIT企業も自動車メーカーに負けない存在感を示している。
3.評価額80億ドルを突破。仮想通貨取引所「Coinbase」
4.受付を無人化し、スマートオフィス化を推進「Envoy」

調達金額 |
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総額約49億円(4,300万ドル) ※リードインベスターは、Menlo Ventures |
ラウンド |
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シリーズB |
概要
Envoyは、iPadを使った受付システムを開発するスタートアップだ。来客リストのプリントアウトや受付対応などの煩わしさを解消するサービスを提供。AsanaやUberなど、ベイエリアのテック企業も早くから導入している。
Envoyが掲げる目標は「スマートオフィス化を支援する『オフィスOS』」。創業者の Larry Gadea氏によると、今後Envoyが取り組みたいオフィス向けプロダクトのアイデアはすでに70以上あるという。
日本ではバックオフィス業務を支援するBizer(バイザー)などがサポート機能の拡充を進めている。今後の労働力不足が課題となるなか、業務効率化をはかるオフィス向けサービスに期待が高まる。
5.営業活動を支援するAIを開発「People.ai」

調達金額 |
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総額約34億円(3,000万ドル) ※リードインベスターは、アンドリーセン・ホロウィッツ |
ラウンド |
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シリーズB |
概要
People.aiは、営業活動の指針を示してくれるAIを開発するスタートアップ。営業とクライアントとの間のコミュニケーションをデータ化し、商談を成立させるためのノウハウを構築する。調達資金は、プロダクトの開発や営業チームの規模拡大のために利用するという。
SalesTech領域の投資規模は、欧米を中心に2011年から拡大し、2015年にピークを迎えている。一方、国内ではCRMやマーケティングオートメーション以上の機能を備えるサービスが普及しておらず、目立ったプレイヤーも現れてない印象だ。「インサイドセールス」という言葉がにわかに活気づくなか、今後も領域としては拡大が予想される。
6.ワンクリックでブラウザ上に開発環境を作る「Repl.it」
7.静的サイトを3ステップで作成。ホスティングサービス「Netlify」
8.低所得者向け住宅購入サービス「Divvy Homes」

調達金額 |
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総額約34億円(3,000万ドル) ※リードインベスターは、アンドリーセン・ホロウィッツ |
ラウンド |
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シリーズA |
概要
Divvy Homesは、低所得者向けの住宅購入サービスを提供する。顧客は希望物件の2%以上の支払いを行い、残りの最大98%はDivvy Homes側が負担。同社の負担額は顧客が毎月返済する。
最大3年をかけて物件所有権の10%に当たる額の返済義務を果たせれば、クレジットが貯まりローンが組めるようになる仕組みだ。ローンの借り入れ額はDivvy Homesへ支払われる。
課題は、3年以内に顧客が破産してしまうリスクだ。顧客をスクリーニングするためのマニュアルの整備も進められているという。
日本でも、「TRAVEL Now」やZOZOTOWNの「ツケ払い」など、後払い決済のスタートアップサービスは増えている。リスクヘッジの仕組み作りも含め、今後も注目の領域となりそうだ。
9.高齢者向け健康管理システム「Devoted Health」

調達金額 |
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総額約340億円(3億ドル) ※リードインベスターは、アンドリーセン・ホロウィッツ |
ラウンド |
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シリーズB |
概要
Devoted Healthは、高齢者向けの健康管理システムを提供している。高齢者の公的医療保険制度を代替するアメリカの私保険「メディケア・アドバンテージ」の関連企業だ。
2018年のアメリカのヘルスケア領域へのベンチャーキャピタルの投資額は、260億ドル(約2.9兆円)を突破した。これは2012年と2013年を足した223億ドルを大きく上回る。それだけ投資が熱くなっている証拠だろう。
今回は、Andreessen Horowitzが2018年10月から11月にかけて投資を行った計9社を紹介した。今後もFastGrowでは、定期的に海外の主要VC / CVCの投資先情報を発信していく。
こちらの記事は2019年03月06日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
執筆
梅野 なぎさ
編集
小池 真幸
編集者・ライター(モメンタム・ホース所属)。『CAIXA』副編集長、『FastGrow』編集パートナー、グロービス・キャピタル・パートナーズ編集パートナーなど。 関心領域:イノベーション論、メディア論、情報社会論、アカデミズム論、政治思想、社会思想などを行き来。
1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。
連載Andreessen Horowitz投資先スタートアップ
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