意志だけでも、ロジカルさだけでも事業はつくれない──ビジネスのリアルを体感できるユナイテッドのインターンシップ
Sponsored事業のフェーズによって、リーダーに問われる資質は異なる。0→1、1→10、そして10→100──それぞれで求められる力は、いかに身につけられるのだろうか。
それを習得する近道が、ここにある。ユナイテッドグループを牽引する同社執行役員・米田吉宏氏と、子会社であるフォッグ代表取締役CEO・関根佑介氏が主催するインターンシッププログラムだ。米田氏が主導する『次世代リーダーコース』は1→10、10→100を実現させるリーダーを、関根氏が総合プロデューサーを務める『U-PRODUCE』は0→1を生み出す事業家を育成する。
今回は両氏に加え、第2回U-PRODUCEの参加者である守友暁寛氏を交えて話を伺った。関根氏、米田氏からメンタリングを受けた守友氏は「2人の事業づくりの考え方には、大きく異なる部分もあった」と語る。事業を生み出し、グロースさせる人材に共通する資質、そしてフェーズごとのリーダーに必要とされる力とは?
- TEXT BY RYOTARO WASHIO
- PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
- EDIT BY MASAKI KOIKE
ユナイテッドの役員総出。“本気”のインターンシッププログラム
2019年度の次世代リーダーコースは、約2,000名の応募者から選抜された48名の学生が、2日間のインターンに挑んだ。全3日程で開催され、約16名ずつ参加。チームを組み、事業戦略の策定にトライした。
ユナイテッド経営陣が総出でコミットし、実務を通して学ぶ機会を提供。ボストン・コンサルティング・グループで事業戦略立案や新規事業開発に従事した米田氏がメインメンターを務め、プログラムの中心的な役割を担った。
米田3つのポイントを意識してフィードバックしていました。まずは「何を考えるべきか」。学生がどれだけ優秀でも、議論の目的が不明瞭なケースが多かったので、何度も「いま何を考えるべきなんだっけ?」と投げかけていました。
そして、議論の進め方。プログラムでは、短い時間内に仮説検証のプロセスを繰り返さなければなりません。だからといって、誰かひとりが強い意志を持って推進するだけでは、チームとしての一体感が失われてしまう。
ロジカルさとスピーディさを重視しながら、想いも共有する──両者のバランスを保って議論することの大切さを伝えました。
あとは「ビジネスとして成り立つか」。ビジネスモデル、想定ユーザー、ユーザー行動、なぜそのサービスが使われるのか…事業としての成立可否について検討を深めさせるために、「本当にそうなの?」と、何度も問い続けていましたね。
「業界のステークホルダーみんなが経済合理性に基づいて振る舞うだろう」という楽観的なストーリーは簡単には実現しません。
"プログラムを終えてみると、10年分にわたる事業計画を作成するチームも出てくるなど、「想定よりも意欲的に取り組んでもらえた」と米田氏。ただ与えられた課題に答えるだけでなく、短期間で目一杯考えたアウトプットが得られたという。
参加者がボロ泣きするほどの圧倒的熱量
一方、0→1人材の育成を目的に開催されたU-PRODUCEでは、フォッグCEO関根氏が主となり、参加者の事業づくりをサポートした。関根氏は歌詞表示音楽プレイヤー『Lyrica』(※現在はサービス終了)や、アーティストとファンをつなぐプラットフォーム『CHEERZ』など、数々のヒットプロダクトを立ち上げた経験を持つ。
参加者には最低でも2ヶ月間のフルコミットが課され、事業アイデアの見つけ方から事業計画書の作り方までを実践を通して学ぶ。FastGrowは、募集スタート時から候補者の選抜過程、そしてフェーズ1の最終審査であるピッチまでプログラムを追いかけてきた。
ビジネスの経験がない学生を事業家に育成するプログラムに対して、不安も覚えていたという関根氏。しかし、杞憂に終わったようだ。
関根参加した2名の学生は、想像以上のアウトプットを出してくれました。たとえば、関秀真くんが提案した、「旅行」をよりパーソナライズし、“その人だけの旅行体験”を可能にする事業案。
この案は既存サービスとの差別化が不足しており惜しくもフェーズ2に進めませんでしたが、事業立案のプロセスを一通り経験することで、関くんは事業家としての第一歩を踏み出せたと思います。
学生はビジネスへの固定観念を持っておらず、吸収力が高い。社会人のように自分なりの成功体験やフォーマットを培っていないからこそ、短期間で多くを学び、成長してくれたのだと思います。
2019年度のU-PRODUCEは「フェーズ1」と「フェーズ2」に分かれて進行した。フェーズ1では、2ヶ月間で事業プランを練り、最終審査に臨む。プレゼンテーションを経て、審査に合格した者のみがフェーズ2に進んだ。ユナイテッド役員会での事業化承認を得るために、徹底したリサーチを繰り返しながら事業案をブラッシュアップしていく。
守友氏は、唯一のフェーズ2進出者だった。少なくないコストを投下して実施した徹底的なリサーチから算出した、サービスの利用意向と売上見込み、立ち上げに必要なリソースを精緻に検討。惜しくも事業化は見送られたが、同氏の熱量の高さは関根氏の予想を超えていた。
関根事業化の見送りが決まったとき、守友くんが悔しさでボロ泣きしていたんです。号泣してしまうほどの熱量を事業に持てる人って、なかなかいない。彼は別の場所でも、きっといいサービスを作ってくれる。そう思える人材に育ってくれましたね。
2019年度の実施を通じて、「このプログラムを、より多くの学生に提供していきたいと考えるようになった」と次回以降への士気が高まったという。
事業づくりで最初に大切なのは「意志」だと知った
守友氏は自身の経験から湧き上がった、「大学研究室の環境を良くしたい」という想いをU-PRODUCEにぶつけた。企業と研究室の共同研究における負を解消するサービスを、事業案として提案。フェーズ1を詳細に振り返ってもらった際には、「アイデアの磨き込みに自身の成長を感じている」と語った同氏に、プログラムで得た学びを総括してもらった。
守友U-PRODUCEへの参加が決まった時点では、事業をつくる当事者としての意識を強く持てていたわけではありませんでした。でも、フェーズ2の3ヶ月間を通して、大きく変わっていった感覚があります。
フェーズ1では、自身のアイデアを形にすることに全力を注いだ。しかし、フェーズ2では、ユナイテッドの事業として成立させるべく、役員会の決議を得なくてはならない。米田氏から答えるべき問いを説明されたが、「言っていることを理解するために時間がかかった」と守友氏。フェーズ2の最初の1ヶ月は「何を考えるべきか」を具体的に理解し、行動に落とし込むための時間となったと振り返る。
そして、守友氏は事業計画を練るなかで、人手が足りないことに気付く。フェーズ2では、リソースの獲得も参加者に一任されている。SNSなどを駆使して仲間集めに奔走し、ひとりのメンバーを迎え入れた。仲間ができたことが大きな転機となった。
守友ジョインしてくれたメンバーと共に計画を磨いていくうちに、互いの熱量が高まっていき、毎日遅くまで残って議論するようになりました。このサービスを世の中に広めたい気持ちが、より一層強くなったんです。
僕がやりたいと思っていたことに共感し、同じ熱量で動いてくれる人がいる。そのことに、心が動かされました。
仲間を得たことで、守友氏の事業づくりは加速していった。大学の研究室、企業研究者、共同研究を実際に仲介しているプレイヤーをなど、あらゆるステークホルダーにアンケートやインタビューを実施。約1ヶ月で、1,000人を超えるターゲットユーザーのデータが集まった。多くのステークホルダーに話を聞いていくなかで、守友氏は事業づくりで最も必要とされる力に気がついた。
守友意志こそが、最も重要だと知りました。U-PRODUCEに参加した当初は、多くの方々からアドバイスを取り入れれば、良いサービスができると思っていました。
でも、実際にヒアリングを進めていくと、「インターネットで介入できる部分はもうない」「人の力が介在してこそ、共同研究は成り立つ」と言われることも多かった。
もちろん、そうした意見も理解できます。でも、僕は研究室の環境を良くするサービスを生み出したいと思って、事業をつくっている。
当たり前ですが、世の中にないサービスの成否は誰にもわかりません。他の誰でもなく、自分自身が信じた可能性を形にしていくしかないんです。
最終的には自分の「やりたい」をベースに事業づくりを自分ごと化できれば、仲間が集まり、事業は加速するのだと知りました。
意志だけではスケールしない。0→1、1→10、そして10→100、それぞれフェーズで求められる能力
U-PRODUCEのフェーズ1では関根氏、フェーズ2では米田氏からフィードバックを受けた守友氏。両氏に共通していたのは、ロジックとファクトを重視して厳しくフィードバックしながらも、最終的には守友氏の判断に委ねる点だった。
一方で、目的を実現するためのプロセスについての考え方には違いがあった。
守友米田さんは、実現したい姿から逆算してサービスの要件を導き出すこと、そして企業が共同開発を進める際のフローや現状の課題について事細かに調べ上げることをアドバイスしてくださいました。抽象と具体を行き来しながら、仮説検証を繰り返す方法を教えてくれたんです。
関根さんは、僕のやりたいことを実現するために、「こんな方法もあるんじゃない?」とたくさんのアイデアを出してくれました。そのアイデアをたたき台に議論し、一つひとつ壁を超えていくスタイルでしたね。
米田関根さんは、ビジョンドリブンだと思います。「こんな世の中になったらおもしろいんじゃないか?」といったアイデアを次々に生み出すことで、メンバーを巻き込み、0から1を生み出す。
対して僕は、ゴールに向かって、具体的な事象から抽象的な仮説を立てるのが好き。たとえば、競合の戦略を分析して事業の方向性を決めることに楽しさを覚えるんです。
関根具体的な情報から仮説を膨らませ、どんなに些細なことでも実行・検証を繰り返せるストイックさが、米田さんのリーダーとしてのすごいところ。
徹底的に市場や競合を分析し、他事業との投資バランス、リスクなど、多様な変数を鑑みながら事業をグロースさせる。1→10、10→100を実現させる経営者には、そうしたきめ細かさが絶対に必要だと思っています。
僕は30%くらいの完成度でOKを出してしまうのに対して、米田さんは100%まできっちりと詰めているイメージです。
0→1を得意とする関根氏と、1→10、10→100に長けた米田氏。事業の異なるフェーズを担うリーダーである2人は、それぞれのフェーズを担うリーダーに求められる力をどのように定義しているのだろうか。
米田氏は「1→10を実現し、さらに100までグロースさせるリーダーに求められるのは、知的好奇心と胆力だ」と述べる。
米田具体例から仮説を立て、検証する──そのプロセスを幾度となく繰り返すには、いかなることに対しても「なぜこうなっているのか」と疑問を持つ知的好奇心が不可欠です。それなしには、仮説検証のサイクルを回し、1→10を成し遂げることはできません。
そして、続く10→100フェーズで求められるのは、胆力です。ビジネスの規模が大きくなり、ひとつの意志決定が与える影響が大きくなるからこそ、より揺るぎない覚悟が問われるんです。
関根氏は、0→1を生み出すリーダーには「事業を楽しみ、人を巻き込む力」が求められると語る。
関根0→1フェーズでは、事業が形になっていないからこそ、アイデアを信じ抜き、事業づくりを誰よりも楽しむことが大切です。
「こんな世界を作るんだ!」とビジョンを掲げて走っていくと、仲間が増えていく。もちろん定量的な観点は必要ですが、エクセルをいじりながら数字とにらめっこしているだけでは、仲間はついてきません。
前回のU-PRODUCEでは、守友くんを応援したい人が社内外でどんどんと増え、「手伝うよ」と声を上げてくれました。事業を自分ごと化して、さらには“仲間ごと化”していくことが、0→1を成功させる秘訣です。
U-PRODUCEでは、自分ごと化してもらうために、あらゆる作業を進めてもらう際に、あえてフォーマットを提示しないことに気を配りました。与えられた型を埋めるだけの作業とならないよう、まずはひとりで資料もシミュレーションも作ってもらう。
そこから僕とふたりで、一緒に同じモノを見ながら直していくようにしたんです。やり方がわからない中でもなんとか形にできる、自走力が高い人でないと、続けるのは難しいかもしれません。
ロジカルさだけで事業が作れないことを、ぜひ体感してほしい
このように、役員やグループ会社代表が本気でコミットするプログラムを学生に提供しているユナイテッド。2020年に開催される22卒向けの次世代リーダーコースと、守友氏が参加したU-PRODUCEは、2019年度のものよりも大幅なアップデートが予定されているという。
次世代リーダーコースは、参加人数を48名から30名に減らす。プログラムにコミットする戦略系コンサルティングファーム出身のメンターの数も増やし、これまでよりも丁寧にフィードバックできる体制を構築。「プログラムの難易度もアップさせる」と米田氏は意気込む。
米田次世代リーダーコースでは、より難易度の高い戦略策定に挑んでもらいたいと考えています。ユナイテッドグループ全体を俯瞰し、強みと弱みを精緻に分析。そのうえで、勝ち目のある事業領域の仮説を立て、具体的な課題を洗い出してもらう。
そして、課題を解決するために有効なビジネスモデルを検討する──ユナイテッドの経営陣と同じプロセスで、事業戦略を立案してもらう予定です。
U-PRODUCEの大きな変更点は、プログラムの実施日数だ。2019年度までは、選考に通過した3名が、2ヶ月間のフェーズ1に挑んだ。しかし2020年度は、より多くの学生に事業づくりのエッセンスを伝えるため、過去のU-PRODUCEを凝縮した2日間のインターンシッププログラムを実施する。その2日間で事業の芽を見極め、選抜された者が長期の事業計画立案へと移行する。
米田氏と関根氏は、2020年度のプログラムに懸ける想いをこう語る。
米田自らの手で事業をつくることを、キャリアプランとして視野に入れているのであれば、ぜひ次世代リーダーコースに参加してほしいと思っています。
優秀な学生の新卒入社先として、最近では戦略系コンサルティングファームが人気ですよね。たしかに、ロジカルに状況を整理して事業課題を見つけるためのプロセスは、コンサルティングファームのインターンでも学べるでしょう。
しかし、事業づくりは全てが論理的に進むわけではありません。0→1を成功させるためには、ときには感情を優先したり、清濁併せのんだりして、困難に対峙しなければいけない局面もある。論理を超えた熱量を持って、事業を推進するダイナミズムを経験するのも良いと思います。
関根僕の目標は、U-PRODUCEを経験した人に、いずれ事業を立ち上げてもらうこと。プログラムの期間内でなくてももちろんいいのです。
そのために、事業づくりの楽しさを伝えていきたいと思っています。0→1をやったことがない人は、その楽しさを知りません。
これまで0→1を数多く経験してきた僕だからこそ、学生たちに伝えられることがあるはず。若手事業家を育成し、新しい価値を社会に創出できる人の総数を増やすことは、僕の使命だと思っています。
事業家育成にかける熱量は、どこのインターンプログラムにも負けませんよ。
こちらの記事は2020年03月17日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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執筆
鷲尾 諒太郎
1990年生、富山県出身。早稲田大学文化構想学部卒。新卒で株式会社リクルートジョブズに入社し、新卒採用などを担当。株式会社Loco Partnersを経て、フリーランスとして独立。複数の企業の採用支援などを行いながら、ライター・編集者としても活動。興味範囲は音楽や映画などのカルチャーや思想・哲学など。趣味ははしご酒と銭湯巡り。
写真
藤田 慎一郎
編集
小池 真幸
編集者・ライター(モメンタム・ホース所属)。『CAIXA』副編集長、『FastGrow』編集パートナー、グロービス・キャピタル・パートナーズ編集パートナーなど。 関心領域:イノベーション論、メディア論、情報社会論、アカデミズム論、政治思想、社会思想などを行き来。
1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。
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