父の死、イジメ、起業失敗......から年商40億へ。
「ゼロイチを生み出すマインド」をアルゴリズム副社長金田の人生観に学ぶ
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シリアルアントレプレナー、連続起業家と呼ばれる存在が日本でもかなり増えてきた。主に「2回以上起業した経験がある」起業家のことを指すこの言葉。今回は、“尊敬や期待を集め続ける対象”としての連続起業家にスポットライトを当てたい。
まずはその条件を、野暮とは感じながらも言語化しよう。「2回以上の起業を経験し、事業拡大あるいは組織拡大で大きな失敗をしながら、それを乗り越え、売却や上場を果たした」といった具合で、いかがだろうか。
FastGrowの独自リサーチから、この条件に合致し、かつ今後が楽しみな存在として取り上げたいのが、金田卓也氏だ。創業4年で年商40億円にまで成長したスタートアップ、アルゴリズムの取締役副社長である。
起業や事業の経験もさることながら、幼少期に父親ががんで病死し、小学校で壮絶ないじめを受けながら、母子家庭を支えるために13歳で個人事業主として活動を始めたという稀有な経験の持ち主だ。一方で、19歳で創業した会社は大失敗し30人いた社員は解散、一人残され大きな借金を背負っての再創業......など、華やかさだけではない、まさに絵に描いたような波乱の人生を歩む人物でもある。
「何者かになりたい」と、理想と現実のギャップに焦りを覚え、モヤモヤした日々を過ごすビジネスパーソンへ。ぜひ一度、ゼロイチ......いやビハインド状態から成功を掴み始めた金田氏の人生観に触れてほしい。きっと“不屈の起業家マインド”なるもののヒントが眠っているはずだ。
- TEXT BY SATORU UENO
- PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
父の死、イジメ、起業の失敗、挫折、それでも光をたぐり続けた起業家の素顔
冒頭で触れた通り、金田氏の幼少期はまさに“壮絶”だ。
だがその表情からは慢心の類などは一切感じられない。むしろ「ここからが本番」と言わんばかり。その力強さの源はどういったものなのか、そして“事業”に向き合い続けるマインドはどのように醸成されたのか。
金田小学校3年生の8歳の頃、父をがんで亡くしました。急に「体調が悪い……」と言い出し、病院に行ったら「末期がん」と診断されて、1年間の闘病もむなしく、という感じです。
しかも、がんとわかる直前に「無駄だから」という理由で保険を解約していたことが重なり、保障を全く得られず、一家全員で無一文になってしまいました。
自身のFacebook投稿やnoteの記事(主なものはこちら)でもすでに語っているエピソードだが、何度聞いても同情を禁じ得ない読者が多いだろう。
詳しく聞くこともやはりためらわれるが、「運良く保険に入っていたら、自分がそこまで必死で努力しなくて良くて、起業などせず凡庸に生きていた可能性もある」と、金田氏は悲壮感漂う感じにも、冗談交じりにも聞こえるトーンで語り続ける。
金田母は僕と妹を育てるため、朝はお弁当のお惣菜を詰める仕事に出かけ、昼は市役所の掃除の仕事をして……。肉体労働を掛け持ちして、月になんとか十数万円を稼いで暮らしていました。家賃と食費を払ったらほとんど残りません。高齢出産だったこともあり、親父がなくなったときには母親は40代後半で、就業経験も少なく働き口もほとんどない。客観的に見れば、相当に厳しい状況でよく僕たちを育ててくれたと思います。
学校には「メシ食いに行く」ってノリで通っていました。でも、父親が亡くなってからある日を境に「あいつに触ると金田菌が移る!」と言われてイジメられるようになりました。親父がなくなってからは、汚い日陰者みたいになっていって……。それがいじめという形でどんどんエスカレートして、最後はクラス中の女子に、廊下ですれ違うだけで「キモイ」「死ね」と罵倒を浴びせられるようになっていきました。
それで、だんだんと対人恐怖症になって、スーパーの買い物にいくのも怖くなっちゃって……学校に通うのも「親を悲しませたくない一心」でした。そうしたつらい日々を何年も過ごしました。
そんな鬱屈した幼少期を過ごして、そのエネルギーが中学生になった13歳の頃にインターネットに向かった。事業家・金田氏の誕生だ。個人事業主としてビジネスを始め、才能が開花する。
金田学校生活の記憶はひたすらネガティブですが、今となっては自分自身のアイデンティティを形作ったわけで、ある意味で必要なものだったと理解している部分もあります。
さすがに今でも時折、僕をイジメたり蔑んでいた人たちに対して「自分はここまで成功して、うまくいったぞ!ざまぁみろ」というようなネガティブな気持ちを抱いてしまうことがあります。ただ、こうした負のエネルギーが、当時の自分を突き動かした原動力・原点だったというのは偽らざる事実でもあるんですよね。
近所のおばちゃんから、当時ブラウン管で動くレトロなパソコンをもらって、タイピングも出来ない少年が、そこから裸一貫でWebの仕事でお金を稼げるくらいにまでスキルを高めることができたのは、この反骨精神があったからだと思うんです。
最近はこうした感情をようやく飼い慣らせるようになったと語る。「何者かになって必ず全員を見返してやる」、そのような反骨心だけで走り抜けてきた10~20代を「自分の動力源は質の悪い石炭みたいだった」と、独特の表現で振り返った。
金田この負のエネルギーは、質の悪い石炭みたいな、燃焼効率の低いものでした。駆動はするけれど、煙がめちゃくちゃ出て、周りに公害を撒き散らす、そんなイメージです。それだけで走っているとだんだんうまくいかなくなるんです。
中高生の頃は「自分が家族の分の収入を稼ぐ」ぐらいのスケールで、小さな成功を味わうこともできましたが、19歳くらいからは事業拡大を目指して起業に挑戦しました。でも、そうした遠大な目標、険しい道程を登っていこうとするには、石炭みたいな動力だけではエネルギーが足りないし、回りで巻き込んだ人とも上手く行かずに最後は失敗する、という日々でした。
周囲の起業家が事業を売却してお金を得ているのを横目に見ながら、僕は頑張って起業したものの空回りの日々で、それがいきつくところまでいった結果ついには会社が大失敗して倒産寸前になりました……。
メンバー30人全員が退職し、会社の資金もわずか数十万円、見栄だけで入ったおしゃれなオフィスも家賃が払えなくなって半ば夜逃げ状態で4畳半のボロアパートに引っ越しました。借金をしていた人に取り立てで物凄く追い込まれたり、風呂もないアパートだったので、お金をひねり出して週に何度か銭湯にいくような生活で。「なんで人生こうなっちゃったんだろう……?」って毎晩泣いてました。大学も学費が払えずずっと休学していました。
同期は外資系企業に就職して初年度から何千万円も稼いでいたり、同じ時期にスタートした起業家が成功していたり。そんな姿を見て、劣等感と焦りで狂いそうになっていました。「東京って、敗者には徹底して容赦がない。大きな劣等感を抱かせる街だな」と感じたりもしていましたね。
だから僕にはゼロイチが作れる。
“負のエネルギー”はいつしか強烈な推進力へ
一方でこの“負のエネルギー”が、実はプラスの効果も多く生んでいた。ここ数年の話になると、とても魅力的な笑顔を輝かせて語りだす金田氏の姿に、聞いているこちらも明るい気持ちになる。
金田燃焼効率の悪い石炭で頑張ってきたからこそ、自分には誰にも負けない貪欲さがあります。「絶対に結果を出さなければ!」という局面での執着心は、ものすごく強いです。
以前「金田さんって、もし歩む道を間違えてそのエネルギーを発揮していたら、オレオレ詐欺とかで何百億って稼ぎ出しそうですよね」と言われました(笑)。「ビジネスの推進力が凄まじいけど、その推進力をどこに向けるかは重要だよ」というアドバイス、ジョークだったらしいのですが……。
ただ、自分でも稼ぐこと、結果を出すことだけ考えて突き進む圧倒的なエネルギー量、推進力については誰にもひけをとらない自信があります。
それくらい、「このやり方で成果を出すぞ!」と決めたら、暴走列車ではありませんが、とにかくひたすら成功するまで突き進みます。
例え話はなんだか妙にキャッチーだが、快活に話し続ける様子に、これが金田氏の強みなのだろうと納得させられる。
とにかく強い推進力で、事業のゼロイチを実現させるわけだ。
方向を誤ると大変なことになってしまうという膨大なエネルギーをコントロールし、よりよい大義の為に昇華させるべく、ここ数年は意識の持ち方をかなり大きく変化させることができていると話す。
金田2社目となるアルゴリズム社を起業してからの数年、自分のエネルギーをポジティブに昇華させることができたのは「自分が生まれてきたことには、何か重要な意味があった」と強く信じられるようになったからだと思っています。
以前、1社目の会社が倒産しかかったとき、すがれるものがなくて、とにかくスピリチュアル系の本を読み漁って救いを求めていた時期があるんです。どん底の状況で、「○○すれば人生が変わる魔法のルール」みたいな自己啓発本を読んでも、正直全然救われないんですよね(笑)。
そうしたときに救いを与えてくれたのは、古今東西あらゆる人達の精神的支柱になってきた宗教であったり、その源流となる「どう人は歩んでいくのか」といった考え方を説いた古典でした。そうした本を山のように読み漁り、その時にたどり着いたのが、「人生においては、すべてに意味があり、何一つ無駄なものはないということ。これが自分の歩む人生だと、生まれる前に選んでこの世界に出てきているということ。そして、出会うべき人に会うべくして会っていて、だから人生の出来事にはすべてに意味がある」という考えでした。
綺麗事とか本の受け売りとかじゃなく、「他人との関わりによって自分自身は生かされている」そう腹の底から感じるようになりました。こうした考えかたを持つことで苦しみが和らいで、人生を生きることがすごく楽になって、ものすごくしっくり来たんです。
そして、その考えに連なる今この瞬間において、僕自身を金田卓也足らしめてくれているのは、まさにアルゴリズムという会社の起業を経て出会えた全ての人達だし、一緒に人生を歩んでくれている経営陣や会社のメンバーみんながいてくれているからだと思えるのです。僕は個としてどれだけスキルや経験をもっていても、アルゴリズムのみんなとの関わりの中でこそ、はじめて僕という存在が活かされているんだということを確信しています。
この思いは、死生観にまで広がる。
金田死ぬときに「みんなのことを幸せにしてくれたよね」と言われたいという想いが強いです。父の死を目の当たりにした時の記憶をたどってみると、「人って死ぬときには本当にあっけないほど一瞬なんだ。そして何も持って行くことができないんだな」と痛感します。どんなに成り上がって財を成したとしても、死ぬときは裸一貫、何も持たずに死んでいく。
だからこそ、目指すべきは、自分が人生で努力して得たもの、見出した何かを、しっかり世の中に還元していくこと。それが自分がこの世に存在している理由なんじゃないか。そうしたものを世に残し、関わった人に良かったと感じてもらえるような人でありたい。そう心に誓っています。
以前は自分ひとりで「良いことをしよう」と思っていただけだった。しかし、共同創業者の勝俣氏と組めたことで、方向性の見えなかった「膨大だが、不安定なエネルギー」が、正しい向きを取れるようになってきた。勝俣氏はいわば、金田氏にとっての強力な羅針盤になったのだ。
“10秒”輝くために“4年”を賭す。
そんなアスリート集団が集う場所でありたい
一心同体で経営と事業に向き合う、勝俣氏と金田氏。先の記事で触れた通り、約2年前の組織崩壊期を乗り越え、アルゴリズムという知的探究集団が正式に産声を上げた。創業4年で年商40億円にまで拡大した直近の急成長は、この2人の役割分担と化学反応が機能し始めたからこそなしえたものである。
金田勝俣が少年時代からずっと心に抱えていた「知的探究」という志。これに心から共感しています。僕は、ビジネス・事業を徹底して探究したいんです。
昔から、「モノゴトを抽象化して考える」のが好きなんですよね。「なんでこれって、こんな風になってるんだろう?」と背景を考えるのが好きで。それがビジネスというフィールドに移り、強いビジネスを生み出す背景にある「組織」や「場」の科学に大きな関心を持っています。
例えば、旧日本軍の研究をするのが最近一番おもしろいテーマだったりします。ビジネスと戦争は非常に近い部分もあります。血の通った組織をつくり、熱く精神論を語り、局地的な戦術の実行に向けて途方もない鍛錬を重ねる。こうしたことを徹底して突き詰めて、”鬼神のごとく”と言われるような練磨の境地に達しても、最終的に日本はアメリカに負けたという事実があります。
なぜか?それは、そもそもの仕組み・戦略のレベル、もっと言えばより抽象的なメタレベルで正しい判断・ゲームプレイができていなかったわけです。言わば「始める前から負けていた」わけですね。超抽象的に世界を見たうえで、「負けない戦いは何か」「自分自身を打ち倒すにはどうすればいいのか」を描けないと、結局どこかで運頼みのゲームで天井に突き当たることになる。
ビジネスに置き換えれば、こうした上流の戦略設計は経営陣の仕事です。僕はひたすら「勝てる戦略・勝てるゲーム」とは何かを考え、研ぎ澄ましていきます。自分の強みが最も活きるのが、ここですから。
一方で、具体的な実行フェーズはすごく自由に現場に委ねています。そもそも、現場がいちいち上司にお伺いを取って判断したり戦い方に迷ったりすることで試合の大局が動くような状況というのは、戦略不在の最たるものだと思っています。そういったことが起きないようにしつつ、伸び伸び朗らかに仕事ができる、そしてその中で圧倒的に突き抜けた成果を享受してもらえるという環境を提供できるように腐心しています。
個々の仕事を細かくマイクロマネジメントしないという会社のスタイルは、僕の勝利に対するこだわり・考え方から来ている部分もあるかもしれませんね。
僕にとっての勝利とは、「一つひとつの局面で勝ちをもぎ取ること」ではありません。根本的に、勝負に勝つことです。例えば、「甲子園に行く」という目的があったとき、最終的に公式戦のトーナメントで勝ち進めさえすれば良い。そのためならば、練習試合はたとえ負けたって何の問題もありません。アメリカ軍もそういう面がありましたよね。
最後に勝つためのデザインをどうするのか、それを考えるのが、僕は好きですし、現場にも一つ一つの打席に立つことを楽しんでほしい。99回のエラーだって最後に一度ヒットを出すために必要な試行だと思えばむしろ楽しめると思っています。
「抽象的な次元」の戦い、事業戦略に徹底してこだわるのが金田氏だ。戦争に負けた日本軍の研究は、ビジネスで戦う組織作り活かせる宝の宝庫だという。「熱中して社内で語ってたら、『また始まった』といじられることすらあるくらいです(笑)」。
そしてもう一つ、金田氏が自身を重ね合わせる存在がいる。アスリートだ。
金田アスリートたちは、一瞬の勝負における勝利のためにずっと鍛錬をする。オリンピックの100m競争なんて、本当にたった10秒足らずで決着がつきます。でも、その10秒のためだけに4年間もがき苦しんでいる。
その過程の9割9分は苦しいかもしれませんが……。人は「自らが選んだ道」で味わう苦難はどんなものでも乗り越えられると思っています。自ら選び取った苦しみを乗り越えていった結果、大きな楽しみや喜びを味わうことができる瞬間は、人生の無常の喜びだと思います。僕がいまだに、常に仕事をしていないと落ち着かないのも、同じような感覚があるからです。
そういう意味で、ビジネスにおける自己鍛錬・探究の道を歩みたい人なら、アルゴリズムでは「同じような価値観をもった人」と無限に切磋琢磨できるような環境を提供できるんじゃないかと思います。
お金も愛もすべてをばら撒いて死のう。
だからこそ“今この瞬間”に向き合える
事業家として酸いも甘いも経験した金田氏が、事業推進の全責任を負う。社内のほかの若き事業家、いや、知的探究者のメンバーと、どのように事業に向き合っているのだろうか。
金田アルゴリズムで学べることとして、僕が強く意識しているのが、「コトへの向き合い方」です。
例えば、アスリートが練習するにしても、筋トレするにしても、相手に代わってやってあげることはできません。実行するのはあくまで、自分自身です。でも、練習の仕方や向き合い方は僕と一緒に学ぶことができます。「失敗は、失敗じゃない」という取り組み方や困難・チャレンジを楽しむマインドを、しつこく伝えています。最近は、そういうメンバーがどんどん増えていて頼もしいです。
そのためにも、僕自身の失敗談をよく語るようにしていますね。相手に対して何かプラスの影響を与えようと思うのなら、偉そうにやりかたを伝えるというより、血の通った生の経験をそのまま何度も伝えるのが大事だと思うからです。
人によって、何を困難と感じるか、その基準は異なりますよね。僕の場合は、たくさんのハードシングスを経験したことで、そのラインがかなり高くなっている感じがします。だからこそ、僕が感じた過去の苦しい経験や乗り越えたチャレンジを伝えていくことで「あ、そんなことが出来るんだったら、目の前の挑戦だってなんとかなりそうじゃん」そう思ってほしいんですよね。
モノゴトをどう捉えるのかは自らの色眼鏡次第だからこそ、僕と一緒にいることで、端から見れば困難な挑戦であっても、「探究者としてどこまでも楽しんでいく」という心持ちを伝染させていきたいんです。
目指しているのは、勝俣や僕と一緒にいることで視座が自然と引き上げられて、大きなチャレンジに向き合っても「なんだ、難しくないじゃん、楽しめそうだな」と思えるようになっていくような組織ですね。
金田氏は社内外で常に“やり切った姿”を見せている。いわば「背中で示す先輩」だろうか。そんな存在から日常的に「やれるじゃん、一緒に挑戦しよう」と鼓舞し、終わりなき探究の旅に巻き込まれる中で、知的探究を志す20代の若者たちの心が少しずつ変化していくのだ。
さてここまで、金田氏を突き動かす原動力や、それを基にした事業戦略や組織戦略の考えを聞いてきた。最後に聞きたいのは、将来の姿だ。やはり「アルゴリズムを偉大な企業に」ということなのだろうか。いや、そんな期待はあっさり裏切られる。
金田将来の夢や野心を聞かれることは多いのですが、僕個人という意味では、会社を成功させてお金をたくさん得たいと思っています。その理由は、母子家庭を支援する財団を作りたいから。
ロールモデルとして尊敬しているのは学研ホールディングス(旧学習研究社)の創業者である古岡秀人さん。幼少期に父親を炭鉱事故で亡くしつつも、母子家庭で努力を重ね、教育事業の先駆けである「学習研究社(現・学研ホールディングス)」を創業しました。さらに、財団を作り、母子家庭の子たちに返済不要の奨学金支援を行っています。
先ほども触れたと思いますが、僕自身の基本的なスタンスは、「人生の全てに意味があったと思いたい」です。もっと考えれば、「最後の最後に、これまでのすべてに意味があったと思えるような生き方をしてやろう」と思っているんですね。
自分が経営者として輝ける才能を持って生まれてきたことも、苦闘の末に今の仲間に出会えたことも、人生の最後にどのように在れたのかで決まると思うんです。だからこそ、自分がこの人生を生きている意味として、与えてもらったものをすべて社会に十二分にしてお返しできれば、それこそ「金田」という人間がこの世界にいた意味があったんじゃんないかなと。だから個人として「どこまでも貪りたい」とか、「財産を子供に残したい」とかいう欲は一切ありません。
「無一文になってもいいから、お金も愛もすべてをばら撒いて死のう」と思っています。
ですから、僕自身も今は経営者という役割を舞台で演じさせてもらっているだけで、舞台から降りたらただの人です。究極的にはそれくらいのスパンで捉えていて、会社を永続させようとか、無限に利益成長させようとかは考えていません。株主さんから怒られるかもしれないので少し補足すると、「僕以外の経営者に譲るべき時が来たら譲る」という感じでしょうか(笑)。
そして、ある種の達観した一面も金田氏は見せてくれた。
金田人生って、必ず浮き沈みがあると思っています。
同じように、会社だってうまくいかない時が来ることもあれば、死んでしまう時も来るかもしれない。始まりがあるものには終わりがあります。
資本主義社会における株式会社、もっと言えばスタートアップという仕組みは、無限の成長を宿命付けられているように思わせていますが、そんなことはないはず。僕は、この有限の世界で無限の成長を生み出そうとする営みは必ずどこかで歪みや負をもたらすものになると考えています。
だから、その意味では、人が生まれ成熟して死んでいくまでの過程を、法人でも同様に描けたらいい。100年続くとか1,000年続くとか、そういう会社を作ろうという想いは全く持っていません。終わりがあるから、一瞬一瞬、なんのために在るのかということに向き合える。人が青年を経て、成熟した大人になり、最後には死を迎える中で、個々人がもって生まれた役割を果たせたらその人生には意味があったと思えるように、会社にも、その会社が持って生まれた使命があって、それを法人という(仮想の)人が紡ぐ一生の中で果たせてあげられたらと思っています。
アルゴリズムは、とにかくメンバーたちが楽しく、とことん面白がって知的探究をする場であり、知的探究を通じてモノゴトの真理を見出す面白さ、事業創造を続ける奥深さと、チャレンジを通して自分の限界を超えることの喜びや達成感を社会に伝える場でありたいと思っています。それを、この記事を読む方や一緒に働く方を含めた、遍く多くの人に伝播できたときには、この会社が生まれた意味や使命を果たせるのではないでしょうか。
今後、まだまだ彼には大きな試練が降りかかるかもしれない。しかしどんな苦難も、これまで通り跳ね除けてくれそうな期待を抱かせるその発言の数々。ここまで読み進めた読者は、きっと彼の人生観から多くのものを得たのではないだろうか。
「やってやれないことはないし、やらずに出来るわけがない。どんな人にもどんな事業にも、無限の可能性と面白さが眠っています。だからこそ、その可能性を一緒にトコトン探究していきましょう」
金田氏の言葉には、常にそんな強いメッセージを感じる。どこまで行くのかアルゴリズム。FastGrowからもエールを送るとともに、今後の同社の発展には益々目が離せない。
こちらの記事は2022年08月22日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
執筆
上野 智
写真
藤田 慎一郎
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