組織の“多様性”を結束力に変える3つの秘策──Nstock・Asobica・FinTのCEOが実証する、新時代のスタートアップ経営論
2024年7月、FastGrowは「スタートアップの組織づくりの"解"は明確に変わった」と題したオンラインイベントを開催した。本記事はそのレポートである。
ご登場いただいたのは次の3名。「遊びのような熱狂で世界を彩る」というミッションを掲げ、コミュニティ運営から顧客分析までをワンストップで行うロイヤル顧客プラットフォーム『coorum(コーラム)』をサービスとして扱うAsobicaのCEO今田氏。クラウド人事労務ソフト『SmartHR』を提供するスケールアップ企業・SmartHRの創業者であり、現在は株式報酬SaaS等を展開するNstockの現CEO宮田氏。そして、日本とベトナムでSNSマーケティング支援事業を手がけ、平均年齢26歳の若い組織で日本のグローバルプレゼンス向上に取り組むFinTのCEO大槻氏。
経歴やバックグラウンドはさまざまなこの3名のCEOたちが考える「これからのスタートアップの組織の”解”」とはズバリ……?
イベント中に募集した視聴者からの質問への回答も交え、お伝えしていく。
- TEXT BY REI ICHINOSE
- EDIT BY TAKUYA OHAMA
3名とも、組織の多様化は当然歓迎。データで裏付けられた多様化のすすめ
──(FastGrow編集長西川、以下同様)では本イベントのテーマど真ん中から、ズバリ、組織における「同質性」と「多様性」のバランスについてお伺いします。CEOを務めるのが2社目となる宮田さんからご意見をお聞かせいただけますか。
宮田まずはSmartHRに関してお話をすると、正直、SmartHRの創業期は同質性や多様性を意識して組織をつくったわけではありませんでした。
しかし、今や社員の男女比は6:4ほどで、20代〜50代の方まで働いてくれています。創業時期が早かったスタートアップ企業にしては多様性に富んだ組織だといえるでしょう。
一方、Nstockは最初から強く意識して、多様性に富んだ組織づくりに取り組みました。
というのも、SmartHRでの経験から「多様化したほうが事業の成功に近い」という感覚がありますし、「多様化したほうが事業がうまくいく」というデータもあるからです。
宮田上の青いグラフは多様性をマネジメントできたチームの値。初速は遅めですが、あるタイミングからは急成長しています。次に、真ん中の緑のグラフは、同質化したチームの値。立ち上がりは早いが頭打ちになりました。そして、下の黄緑のグラフは多様性をうまくマネジメントできなかったチームの値。そもそもうまくいっていません。
SmartHRのケースをこのデータに当てはめると、はじめは真ん中の緑のグラフをたどっていたと思います。途中から無意識下で多様化が進んだため、青いグラフに近づいていったイメージです。それが今のSmartHRの多様性ある姿だと思っています。
一方、Nstockの創業当初は「私が創業するんだから、SmartHRのように勝手に多様性も担保されるだろう」なんて高をくくっていました。しかし、気づけば社員数20名の段階で社員の男女比は19:1。採用候補者の母数を見ると、およそ9割が男性でした。
「日本のスタートアップは男性で構成されたムラ」なんて揶揄されることがありますよね。そんなムラで、特に報酬という部分には、今もジェンダーギャップが大きく反映されているという現実があります。
報酬の中でも特に“株式報酬”は、経営層や初期メンバーとして活躍した人のほうが恩恵を受けたり悔しい思いをしているケースが多く、おそらく男性比率が高い。
そんな背景もあり、Nstockの事業ドメインに興味関心を持つのは男性に偏りやすく、女性の応募も少ない状況になっていると解釈しまして、「このままでは自分たちが描いている未来も実現できない…」と危機感を覚え、女性の採用を強化しようと明確に決めました。
──女性の採用を強化するため、具体的に行ったことを教えてください。
宮田「すごいチームにしたいから、女性にきてほしい」というふうにメッセージングを強化しました(実際のメッセージはこちら)。
ただし採用という場面では、求人票を公開したのちに性差で選別することはNG(男女雇用機会均等法で禁止されている)。そのため「Nstockに興味を持ってくれそうな女性はいないか?」と社内のメンバーに声をかけ、リファラルでの女性採用に全社で取り組みました。Nstockの業務や制度に関して気になる点を、社内外の複数名の女性にヒアリングさせていただいたこともありましたね。
──ちなみに、国籍という観点での多様化は進んでいますか。
宮田SmartHRもNstockも日本国内に向けた事業なので、国籍という観点では性別や年齢と同じレベルでの多様化はまだ実現できていません。
例えば、株式報酬の法律や契約書の条文なんて、日本語ネイティブの人が日本語で説明を聞いてもかなり分かりにくい部分がありますよね。そのため、どの職種でも日本語を高いレベルで読み書きできるレベルが求められ、外国籍の方は少なめです。
一方、外国籍のビザを管理するAIRVISAというグループ会社では、その事業特性から従業員の国籍の多様化が進んでいるといえる状態です。事業内容・業務内容によって、差がありますね。
──続いて、「組織の多様化」について今田さんのご意見をお聞かせください。
今田非連続な成長を目指すAsobicaは、多様な経験を持つ人材を必要としています。
ただ、正直にお話しすると、創業時はいまほど多様化を意識していませんでした。ですが2人目の社員として入社してくれたのが女性のデザイナーでして、以来男女差はほとんどなく、今の男女比は6:4です。
今田「性別」の多様化についてはこれまでのところ、そこまで大きな悩みを感じる場面はありませんでした。ですが、「新たなメンバーに求めたい経験」での多様性を広げる点では悩みがありました。
たとえばAsobicaは、エンタープライズ企業向けのプロダクトをつくってきたので、「エンプラで働いてきた」もしくは「エンプラ相手に営業してきた」といった経験を持つメンバーを集めていきたかったんです。
しかし、実際にこの方針で募集をかけると、面接に来ていただく方は“スタートアップエコシステム内で働く"という感覚に乏しい方ばかりになりました。この時、「エンプラ企業に勤務した経験もあり、かつ、スタートアップらしいマインドも持っているような方」は、待っているだけではなかなか集まらない、貴重な人たちなのだと気づかされたんです。
そこで、まずは人づてに泥臭く一人ずつ採用しようと決めました。そんな経験を持ち、Asobicaに入社してくれるファーストペンギンになってくださる方に巡り合うのには苦労しましたが、その方々を採用できているという事実が、その後の候補者に対しての「説得力」になったと感じています。採用活動を現場で少しずつ進めながら、多様性を確保していったという流れですね。
アプローチ例1.「部署横断の事業推進室」が、組織の多様化を後押し
──結果として多様性に富む組織になったとのことですが、「そうでない組織と比べ組織が活性化した」「それが事業の成果に繋がった」と考えていますか?
今田そうですね。そもそも、非連続に成長し、Asobicaの事業全体を伸ばしていくためには「コミュニティ市場の拡大」と「Asobicaのシェア獲得」を行わなくてはなりません。そのためにさまざまな経験を持つ方を採用してきました。
さらには、セールスやCSなど部門の垣根を超えたメンバーで「具体的な課題を特定し、詳細な戦略を立て、優先順位をつけてオペレーションに落とし込むこと」に従事する事業推進室を組織したんです。部署横断で分け隔てなく非連続な成長にチャレンジし続けるこのチームの存在も、全社的な多様化を後押ししたと思います。
──多様性に関して、大槻さんのご経験やご意見をお聞かせください。
大槻FinTのメイン事業であるSNSマーケティングは、女性が活躍しやすい分野と言われています。それが幸いしてか、女性の採用数確保という点では困ったことは今のところありません。
ただ、年齢層の多様化は放っておいても進みませんから、意識的に取り組んできました。
FinTはメンバーの平均年齢がおよそ26歳。トレンドをキャッチする能力に溢れたメンバーが揃っています。その一方で、事業・組織を伸ばし続けるためには経験豊富なミドル~シニア層の力も必要だと考えています。そのため、初めて採用できた40代の方には、その後のミドル層採用にも尽力いただきましたね。
また、FinTは「日本企業をASEANで勝たせ、日本を前向きにするグローバル企業」を目指しています。ベトナムにも拠点があり、いろんな国籍・バックグラウンドを持つ方が働いてくれています。
ただ単に「多様性を出したい」という思いではなく、スキルとマインドのフィットを重視してきました。すると、年齢やバックグラウンド、さまざまな観点から多様性にあふれる企業になりました。
──具体的にどんなマインドを重視しているのでしょうか。
大槻行動指針に基づいているかを大事にしております。チャレンジングという意味の「ナイストライ」の精神があるか、年齢問わずリスペクトできるかなどの意味を込めた「謙虚と素直」などですね。
アプローチ例2.多様化の過程でこそ、MVVのさらなる浸透や進化を狙う
──「組織の多様性が進むにつれ、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の浸透によって統一させてきた“組織内のマインドセット”が薄れるのでは?」という質問が届いています。
大槻詳細はオフレコのお時間にお話ししますが、実はスキル面ばかり重視した採用を実施し、MVV共感が不十分なメンバーが増えてしまったという失敗経験があります。それ以来、「MVVへの共感」は絶対条件として、判断基準も明確化しています。
加えて、「入社後に、MVVへの共感が相対的に弱まるタイミングが来ても、その状態を受け入れてコミットできそうか?」についても、候補者の方の原体験を伺い判断するようにしていますね。
日本だけでなくベトナムのメンバーにも現地での1on1を徹底し、文化の差を言葉で埋めるようにしています。メンバーの行動がMVVから外れていると感じたらしっかり伝え、改善が見られたら感謝の言葉を伝える。これは、FinTが大事にしているカルチャーですが、ベトナムのメンバーにも受け入れてもらえるカルチャーだと感じています。ベトナムに進出して1年経ちますが、ますます会社が強固になってきました。
今田私も「MVVの浸透と多様化はトレードオフにならない」と考えています。
大槻さんのお話と似ていますが、むしろ、「MVVのキャッチアップができるかどうか」という視点も採用基準のひとつにしています。
MVVへの共感度合いをより強くしたり、新たな解釈をしてより良い仕事をしたり、そうした動きができる人は活躍し続けていくと感じます。それに、周りに良い影響を与えることもありますから、多様なメンバーが多様な解釈でMVVをキャッチアップしていくことを歓迎したいですよね。
宮田私も組織の多様化に伴ってMVVが薄まる危機感を覚えたことはありません。
企業の成長に伴って、会社のミッションやビジョンが変わることはよくあることです。実際、これまでMVVをつくる際に“MVVの耐用年数”を決めてきました。組織の納得感を大切にするのであれば企業の成長に合わせ、前のバリューを踏襲したブラッシュアップを行うべきです。
今田昨年、Asobicaも“社員全体”でビジョンをアップデートしまして(経緯などはこちらを参照)。
弊社の社員数が50名ほどになったころから社内の多様化を感じていたのですが、ところどころで意思決定のスピードが遅くなり、コミュニケーションに時間がかかるようになってきたんです。
そのため、社員のビジョンへの理解を深めるべく、全社でビジョンのアップデートを敢行しました。具体的には、総勢70名の社員を10チームに分け、会社の現状と将来のあるべき姿について、全メンバーの言葉で考える機会を設けたんです。各チームが一つの標語を作成し、最終的に10個の標語からHRを中心にマネージャー以上でディスカッションを重ね、新しいビジョンを決定しました。
特に工夫したのは、時間がかかっても(実際700時間以上を要しました…!)トップダウンではなく、現場主導で考えるプロセスを重視したことです。
その結果、新たなビジョンには“Asobicaらしさ”が十分に反映されたと感じています。例えば、「顧客中心」というキーワードは全員が共感するものでした。これは単に目の前のクライアントだけでなく、その先の生活者も巻き込み、経営の意思決定に顧客の声を反映させる世界を創造したいという我々の想いを表現しています。
新しいビジョンに基づき、1年ごとのマイルストーンも設定し、現在はそれに向かって日々邁進している最中です。自分たちで決めたビジョンだからこそ共感度も高く、達成に向けての求心力も強いですね。
結果としてビジョンの浸透度も非常に高くなっています。この新しいビジョンが、多様化が進む我々の組織の一体感を高め、さらなる成長の原動力となっていると実感しています。
──「MVVを変えるおすすめのタイミングやその方法はありますか」と質問が来ています。
宮田SmartHR時代は社員数が100名のタイミングで、部長レイヤー以上の10名で検討したことがありました。外部にMVVの作成を委託してみたこともありますね。
いずれにしても「MVVを浸透させるメンバーの納得」を重視しました。検討して出たMVVにどうしても納得しきれず、ビジョンを紙に書いて家に持ち帰り、一晩中向き合い考え続けたメンバーもいたくらいです。
今日ちょうど、SmartHRからバリューの変更が発表された(2024年7月29日発表のリリースがこちら)のですが、SmartHRにはMVV検討チームがあり、変更のタイミングやメンバーアサインを決めて進めています。今日発表されたバリューは数カ月をかけてアップデートしたのですが、全社的にポジティブな反応が得られています。
ちなみに、「出社したら必ず唱和する」のような何かを強制する浸透手法だと逆効果になりがちだと感じています。「MVVにマッチした行動を取ったメンバーを褒める」のような浸透のさせ方がおすすめですね。
アプローチ例3.社内SNSやシャッフルランチなど「関係構築のソフト施策」は非常に重要
「スタートアップは人材の新陳代謝が激しい」「スタートアップの組織ではスクラップアンドビルドは致し方ない」など、巷で飛び交う“従来のスタートアップの常識”に話は移った。
──スタートアップの組織だと常識とされていることが、それぞれ3社のなかでは常識でないケースが多いと聞きます。
大槻FinTのカルチャーにマッチしている方には、できるだけ長く働いてほしいと考えています。
そのため、適切な距離感だけでなく、毎週水曜日に昼会(全社会)を開いたり、メンバーの勤続年数を祝ったり、シャッフルランチを実施したりしています。メンバーに自らすすんで長く働いてもらえるよう、組織の心理的安全性の担保に尽力しています。
一方で、先ほどお話ししたとおりFinTは平均年齢が若い組織です。心理的安全性という観点から、同世代同士の関係性がラフになりすぎてしまうことがあり、課題を感じています。
メンバーの友人がメンバーとして入社してくることもあり、役員とメンバー、代表とメンバーの距離感だけでなく、メンバーとメンバーの関係性さえも、どう保つべきか模索中です。同僚の友人が入社するとなると、周囲の人が両者の関係性を気にしてしまうので、了承を得たうえでメンバーの友人関係を周知したこともあります。現在はメンバー全員が互いに敬語を使い、適切な距離感を保つ施策を実施している状況です。
今田Asobicaも、メンバー全員が高いパフォーマンスを発揮しつつ、中長期的に働ける組織を目指してきました。
Asobicaが目指すのは、メンバー一人ひとりが会社の歴史を自らつくっていける組織です。そのため、社内SNSを自社のプロダクトで構築しました。そこでは飲み会の話題から期末目標達成を祝うプロジェクトまで、入社のタイミングにかかわらず社内の情報をキャッチアップできるよう、さまざまなコンテンツをストックしています。メンバー一人ひとりの貢献に寄り添う気持ちから、「成功の果実は全員で分け合う」ことを掲げ、ボーナスを全員平等に分配する取り組みも行っています。
人材の過剰な新陳代謝は歓迎しませんが、プロダクトも組織も市場環境も、変化が激しいのは“スタートアップの定め”とも言えます。ですので、社内で新たなチャレンジをし続けられるよう、メンバー一人ひとりが置かれている環境について、マネジメントレイヤーではよく議論を交わすんです。業務や役割のフィット感を高めるべく、ポジション変更は他のスタートアップに比べて頻繁に実施しているかもしれませんね。
社内にはポジションを変更し、メンバーのパフォーマンスが一層アップしたという成功事例がいくつも生まれました。メンバーのパフォーマンスを最大限発揮してもらうために、メンバーのWillと事業やポジションとのマッチングも重視しています。
宮田「従来の常識」といえば役員同士の関係性についても意見が分かれますよね。一般的に「役員は仲良しこよしではないほうが良い」と言われます。しかし、私は「役員同士は互いの弱みを見せられるくらい、仲が良くないといけない」と考えています。
自分が関与している範囲で「起こりそうなトラブルや悪い知らせをいち早く共有し合える関係性」が理想です。そのためには心理的安全性を感じられ、気兼ねなく雑談できる関係性がポイント。その関係性を測る指標として、「どこか出張する際には新幹線で隣に座って楽しく過ごせるかどうか」を考えてみるのはおすすめです。
先週もSmartHRの現CEOの芹澤さんと取引先へ出張しましたし、SmartHR・Nstockいずれも、誰が隣でも苦痛は一切感じません。
──ちなみに、そういうシーンではお仕事の話をされるのですか。
宮田もちろんします。たとえば、先日のSmartHRの現CEOと出張した際の新幹線内の会話は、プライベートの話が4分の1、仕事の話が4分の1、そしてそれ以外は世間話という割合だったと思います。
──「仲良くなるための方法を教えてください」という質問が届いています。
宮田楽しい時間を一緒にすごすのが1番ですね(笑)。
ただ、対人コミュニケーションが苦手な経営者がたくさんいることも知っているので、参考までにフレームワークを1つご紹介したいと思います。一般的に、人は「類似性、相互性、近接性、返報性、外見に魅力を感じる」というものです。
外見などどうしようもない部分もありますが、できるだけ会話のなかで共通点(類似性)を探したりとか、会う機会を増やしたり、できるだけ力になれることはサポートしたり、という意識はしていますね。
また、このフレームワークに加え、“利害の一致”も重視しています。「会議の構成員の利害が一致しなかったため、議論が進まなかった」なんてことはよくありますよね。
SmartHRでは、強制的に毎週30分役員が集まって雑談する時間を設けています。役員同士なので双方の利害がずれることはあまりありませんが、近接性という観点からもこの時間は重要です。
今田CxOでは、COOの小父内と私も新幹線では隣に座りますね。かといって、仲が良すぎるわけでもないというか(笑)。適度な関係性を保っていると感じています。
この後はオフレコ前提のディスカッションタイムとして、「あのときこうしていたら……」という、“組織に関する具体的な後悔”を3名に伺った。発言者を特定せず一部を紹介しよう。
「代表として採用面接に一切出ないことを決めたデメリットとして、『自分が責任を持って採用したと言えないメンバーが増え、経営者としての違和感を覚えるようになった』というのはある」。
「人数不足を感じる創業期にはスキルもカルチャーもマッチしていない感覚の人を採用してしまい、早期退職せざるを得なくなったこともあった」。
「まだ社員数名程度の頃、カルチャー構築に時間を使っていたが、そうではなくカルチャーマッチする人を採用すること自体にまず時間を使うべきだった」。
より具体的にお伝えできないのが残念なほど濃い話が披露されたので、またこうしたイベントがあった際にはぜひ参加を検討してほしい。
さて、Asobica、Nstock(SmartHR)、そしてFinTはいずれも、意識や行動のタイミングや密度こそ異なれど、組織内の多様性から成長を生み出している共通点があると言えよう。
スタートアップには難局がいくつもある。難局ばかりと言っても過言ではないだろう。その難局を乗り越えていくために、“組織”の強度こそが重要なのだ。その生々しい感覚を、この3名が実体験を基に語り合ってくれた。
なお「多様性」という言葉に内包される要素は、このイベントで語られた年齢・性別・国籍に限らない。たとえば個人の特性・文化・価値観・経験・興味関心などさまざまな個性の尊重が、「多様性」に含まれる。
個々の要求と個人の尊重は決してイコールではないが、どれほどの企業で「多様化」という言葉が持つ要素を受容できているだろうか。個人としては多様化を受容しつつも、組織として多様化を拡大させる一手が打てない、といった声も少なくないだろう。
成長を遂げているスタートアップによる“多様性がもたらす効用”や“その実現への意識や行動”が明確に語られる機会は残念ながらまだまだ貴重。引き続き、FastGrowとしてもこうしたスタートアップとともに発信を続けていこうと思う。
こちらの記事は2024年09月30日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
執筆
いちのせ れい
編集
大浜 拓也
株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。
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