コロナ禍でスタートアップが生み出す“採用の新常識”とは?──FastGrow Pitchレポート
「イノベーターの成長を支援し、未来社会を共創する」をミッションに掲げるFastGrowが、「この会社、将来大きなイノベーション興しそうだ!」と注目するスタートアップをお呼びして、毎週木曜朝7時にオンライン開催する「FastGrow Pitch」。
登壇するスタートアップが目指すビジョンや事業内容、創業ストーリー、どんな仲間を探しているのかなどをピッチ形式で語るイベントだ。
本記事では、2020年7月9日に開催したピッチの模様をダイジェスト形式でお届けする。登壇したのはオースタンス、POPER、ROXX、WealthPark、ログラスの5社だ。
株式会社オースタンス:会員数34万人のシニア向けコミュニティサービス
最初に登場したのは、おとなコミュニティ事業やウェディング事業、アーティストサポート事業などを手がけるオースタンス。なかでも、ディー・エヌ・エーから事業譲渡を受けたシニア世代が趣味でつながるコミュニティサイト『趣味人倶楽部(しゅみーとくらぶ)』は、会員数34万人・月間2,000万PVの人気サービスだ。
登壇した代表の菊川諒人氏は2010年にリクルートへ入社し、営業や人事、新規事業開発を経験した後、2015年の1月にオースタンスを創業。その3年後にシニア事業への注力を決断。現在は『趣味人倶楽部』だけでなく、シニアインフルエンサーを活かしたサービスやシニア向けDtoCサービスなども展開している。
菊川私たちは、さまざまなサービスを通じて、メインユーザーとなる50〜60代の方々が、子育て後の新たな目標を掲げたり、同世代間のつながりをより豊かにしたりするサポートをしています。
2019年末には、エンジェル投資家の方々から数千万円の資金を調達しました。今後は『趣味人倶楽部』を中心にユーザーデータベースをより充実させ、それを活かした企業のマーケティング支援事業などに挑戦していきます。
私たちが一番大切にしているのは、「私の好きが、世界を、動かす」というビジョンです。かつて医者になりたいと熱望していた自分にとって、「身近な人をどれだけ幸せにできるか」は重要な視点。このビジョンに共鳴いただける方と、ぜひ一緒に働きたいです。
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株式会社POPER:国内トップの利用生徒ID数を誇る教育特化型SaaS
続いて登壇したのは、「『教える』をなめらかに」をミッションに掲げるPOPER代表の栗原慎吾氏。同社は、家族や地域、先生が一緒に子供を見守り育てていく世界の実現を目指し、塾や予備校向けの業務管理・コミュニケーションアプリ『Comiru』を運営している。
栗原氏はPOPERが3度目の起業となる。1度目は、新卒入社した化学・電気素材メーカーのスリーエムジャパン時代の同僚と起業したものの失敗。その後、2012年から学習塾の立ち上げに共同経営者として参画し、経営から講師まで幅広い業務に担った。そして2015年1月、学習塾が抱える課題を解決すべく創業したのがPOPERだ。
栗原自分で塾を経営していたとき、教育者が指導報告などのバックオフィス業務に多くの時間を費やし、教育に専念できない実情を知りました。『Comiru』は実経験をもとに、アナログなバックオフィス業務の効率化を支援すべく開発したサービスです。
『Comiru』は、国内の塾・予備校の業務支援サービスで利用生徒ID数1位になるまで成長しました。今後は業務管理サポートで得たデータを活用し、周辺領域における新規事業にもトライしていきます。
2020年4月には、オンライン授業の運営と動画コンテンツ制作を支援する塾向けシステム『Comiru Air』のβ版をリリースしました。業界特化型SaaSとして、さまざまなマネタイズポイントを構築していくプラットフォーマーを目指します。
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過去記事:「コロナ禍で揺れるEdTech市場の“ダークホース”。市場シェア10%に迫るSaaS企業、POPERの成長秘話」
株式会社ROXX:コロナ禍で9億円調達、「リファレンスチェック」普及の担い手
続いて登場したのは、人材紹介プラットフォーム『agent bank』と定額制リファレンスチェックサービス『back check』運営のROXX。なかでも『back check』は、サイバーエージェントやメルカリなど累計300社以上の企業が導入し、順調に事業成長を続けている。
登壇した『back check』の事業責任者を務める草野氏は、新卒でキャリアデザインセンターに入社し、大手からスタートアップまで、幅広く採用と転職の支援に携わった経験を持つ。2019年4月にROXXへジョインし、『back check』一人目のビジネスサイドメンバーとして、同サービスの拡大に貢献してきた。
草野私たちが『back check』を提供する背景には、「候補者への信頼に価値を与えたい」という想いがあります。候補者に集まる信頼を可視化できるリファレンスは、採用する側にとってもされる側にとっても、貴重な情報になると考えています。
日本の採用手法は、70年前に適性検査という方法が生まれて以来、大きなイノベーションを起こせていない。私たちは、リファレンスチェックを積極的に用いる新たな採用文化を生み出し、質の高いマッチングをより多く実現できる社会をつくります。
現在は『back check』のビジネスサイドを中心に、採用を強化中です。事業としての成長を通して、新たな採用文化づくりに挑む仲間を大募集しています。
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WealthPark株式会社:グローバルで存在感示す、資産管理プラットフォームサービス
4社目は、不動産オーナー向けモバイルアプリ『WealthPark』や不動産オーナーと管理会社をつなぐデジタルプラットフォーム『WealthParkビジネス』などを運営するWealthPark。同社は資産管理プラットフォーム領域におけるNo.1を目指し、まずは不動産業界でのサービス拡大に力を注いでいる。
登壇したのは、CBO(Chief Business Officer)を務める手塚健介氏。同氏は新卒で富士フイルムに入社し、海外営業やマーケティング、化粧品『アスタリフト』の事業立ち上げなどを経験した。その後はロンドンのビジネススクールでMBAを取得し、WealthParkにジョイン。2019年7月からCBOとして、SaaS事業責任者と人事管掌役員を担う。
手塚私たちは国内はもちろん、上海や台北、香港、ニューヨークの拠点を活かした海外展開も積極的に行っています。2020年1月には、スイスに本社を構える不動産AI査定サービス提供のPriceHubble AG.と業務提携を開始しました。
また、自社のメンバーにもアジアから欧米、ヨーロッパまでさまざまな国の出身者がいます。個人投資家と資産管理会社をつなぐグローバルプラットフォームの構築に向けて、今後もクロスボーダーな挑戦を続けていきます。
世界を見据えて挑戦したい人にとっては、とても良い環境だと自負しています。バックグラウンドを問わず、興味のある方はぜひご応募ください。
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株式会社ログラス:前田ヒロ氏も出資した、経営管理業務に特化したSaaS
最後に登場したのは、2020年7月8日に正式リリースしたばかりの次世代型経営管理クラウド『Loglass』を運営するログラス。前田ヒロ氏がマネージングパートナーを務めるALL STAR SAAS FUNDなどから総額8000万円の資金を調達した同社は、FastGrowが主催した「XTech Ventures起業家輩出合宿」でも3冠を受賞するなど、多くの期待を集めている。
登壇した代表の布川友也氏は、約3年にわたりSMBC日興証券の投資銀行部門でIPO・M&Aのアドバイザリーを務めた経験を持つ。その後はGameWithへ入社し、上場直後に経営戦略を担当。自身が経営企画部門で勤めた経験から、多岐にわたる経営管理業務の課題を解決すべく、2019年5月にログラスを創業した。
布川私たちのサービスのターゲットユーザーであるCFO・経営企画は、定型化しきれず、工数も大きい経営管理業務に多大なリソースを投下しています。それによって、投資や経営分析といった付加価値の高い業務に割く時間の多くを失っているのが現状です。
いまだに業務の95%近くがエクセルで行われていたり、関係者が多いゆえにマネジメントコストが多くかかったり、経営管理業務が組織全体のパフォーマンスにおけるボトルネックになっていることも少なくない。そうした企業の根幹に関わる課題をSaaSで解決するとともに、経営管理の業務体験をより良くしていきたいと考えています。
組織自体は創業1年、まだマンションオフィスで仕事をしているシードフェーズです。だからこそ、これからログラスのカルチャーを土台から共につくりあげていく気概を持った、創業期メンバーに出会えたら嬉しいです。
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第4回目となったこの日は、EdTechからHRTechまで、さまざまな領域で革新を試みる企業が登壇。2020年5月に総額9億円の資金を調達したROXXや、先日資金調達の実施を発表したばかりのログラスといった、直近に注目のリリースを出した企業が複数登壇したことも印象深い回となった。
今後も毎週木曜朝7時の「FastGrow Pitch」では、注目スタートアップが登壇し、自ら事業や組織について語る機会をお届けしていく。ぜひ、チェックしてほしい。
こちらの記事は2020年07月15日に公開しており、
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