連載現役BizDevに聞いた「オススメ書籍」

現役BizDevに聞いた「オススメ書籍」Vol.01──5名から計9冊をご紹介

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事業を立ち上げたり、事業を伸ばしたり。あるいは、事業を見直したり。FastGrowの読者の中でも特に比率が高い「BizDev」に携わる者たちは日々、前述のような状況下で、さまざまな悩みに向き合っていることだろう。そんな時、心の支えになる一つがきっと、書籍(本)だ。

実際にこれまで多くのBizDevを取材する中で、書籍についての話が出る機会は多かった。事業や経営に関する意思決定を進める際に、理由や指針、あるいは勇気づけられる言葉として存在感を発揮するのが、書籍で得た知見やヒントであるはず。

そこで、書籍の情報に特化し、現役BizDevの皆様から紹介をいただく記事連載を制作しよう。題して、BizDevに聞いた「オススメ書籍」。

今回は計9冊、

プロダクトマネジメントのすべて 事業戦略・IT開発・UXデザイン・マーケティングからチーム・組織運営まで論点思考

ゼロ・トゥ・ワン

スマートな悪 技術と暴力について

自分の中に毒を持て

「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考

「事業計画書」のつくり方

戦略プロフェッショナル―シェア逆転の企業変革ドラマ

V字回復の経営―2年で会社を変えられますか

ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件

※BizDev、事業開発、事業責任者といったお仕事をされている皆様から、オススメ書籍のご投稿、お待ちしております。こちらのフォームから是非お気軽にご回答ください。

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タッチスポット三宅氏
『プロダクトマネジメントのすべて』


タッチスポット株式会社
執行役員HR統括/CHROclone事業BizDev
三宅真愛氏(Xアカウントはコチラ

プロダクトマネジメントのすべて 事業戦略・IT開発・UXデザイン・マーケティングからチーム・組織運営まで

書籍情報
著者 及川卓也、曽根原春樹、小城 久美子
出版社 翔泳社
出版日 ‎ 2021/3/3
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この書籍から学んだこと

私はこれまでのキャリアで3度、新規事業の開発に関わってまいりました。この本は1回目にメンバーとして新規事業と向き合っていた際に出会い、以降何度も立ち返っている書籍です。

新規事業の立ち上げ期において、「こんなコトをやりたい!」と意気込んで動き始めることは容易ですが、進むうちについ手段⇔目的が混同してしまうことがあります。「どうなった状態がプロダクトとして成功なのか?」を常に念頭に置いて動くことが重要だと常々痛感しています。書籍内では、「ビジョン」「ユーザー価値」「事業収益」の3要素のバランスを意識してプロダクトを成長させていくべきだと書かれているのですが、新規事業はまさにこの3要素が鍵だなと。至極当たり前ではありますが、売上・利益が出てもプロダクトとしてあるべき価値を発揮し、顧客を理想の状態へ導けなければ、ビジョン実現には近づかない。

現在弊社では、書籍内でも原理原則として紹介されている「プロダクトの4階層のCore」の考えに基づき、新規事業『CHROclone』の事業構想を固めています。「プロダクトのCore」⇒「プロダクトのWhy」⇒「プロダクトのWhat」⇒「プロダクトのHow」という階層に分け、ビズサイドとプロダクトサイドが共通言語でコトを前に進められる状態を目指しているのですが、新規事業の味噌はどこまで決めて動くか・いつ立ち返るかのサイクルをいかにスピーディに回すかだなと。市場に出て間もないプロダクトだからこそ、Coreは変わらないものの、その他の3つは変わり得るものとして、階層を行ったり来たりしながら仮説検証を行なっています。

誰に対してオススメしたいか

新規事業やアーリーフェーズでのBizDevを経験する方へ特におすすめしたいです。私の属していた新規事業開発組織がどこも小規模(1~2人)だったからこそ、一般的にPdMやPMMと呼ばれるような開発との接続点の知識も当然必要になり、一方でグロース機能も自身が担うとなると、どうしても局所に目が向きがちになります。

この書籍で1番学んだことは、細かいメソッドは勿論ですが、全体⇔現場を行き来するため視座の違い・今⇔未来/開発⇔ビズを行き来する視点の違い・顧客起点⇔自社起点を行き来するための視野の違いです。そのため、より立ち上げ段階な事業やアーリーフェーズで少数精鋭なチームの方、簡単に言うと「全部できないと!」と思って事業に立ち向かっている方へ、ぜひ読んでいただきたいです!

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hacomono佐藤氏
『ゼロ・トゥ・ワン』
『スマートな悪 技術と暴力について』


株式会社hacomono
BizDev部 プロジェクトマネージャー
佐藤 健輔氏(Xアカウントはコチラ

ZERO to ONE

書籍情報
著者 ピーター・ティール/ Peter Thiel
出版社 NHK出版
出版日 ‎2014/9/25
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この書籍から学んだこと

スタートアップで働き始めた頃に、起業家マインドのインストールと自分自身へのアジテーションのために読みました。前職では比較的安定思考の会社だったこともあり、世の中を変えていくためにチャレンジするんだ、とやる気スイッチを押してくれた本です。ビジネスパートナーとのコミュニケーションや採用活動などに、密かにこの本のエッセンスをまぶしていました。

誰に対してオススメしたいか

大企業から比較的アーリーフェーズのスタートアップへの転職を検討されている方、転職された方

スマートな悪 技術と暴力について

書籍情報
著者 戸谷 洋志
出版社 講談社
出版日 ‎2022/3/31
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この書籍から学んだこと

幅広い属性の方が利用されるサービスを提供しているため、良い製品フィードバックをするためにも様々な立場を想定して自社サービスを批判的に見る必要があります。プロジェクトの状況によっては思考が凝り固まってしまうこともあるので、そんなときにこのような本を読んで意識的に頭を解きほぐしています。

誰に対してオススメしたいか

プロダクトマネジメントに携わる方やフィードバックを行う方、またはサービスを利用されるお客様の声に近い方

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SHE松尾氏
『自分の中に毒を持て』『13歳からのアート思考』
『「事業計画書」のつくり方』


SHE株式会社
プロジェクト推進室長
松尾 真里氏(Xアカウントはコチラ

誰に対してオススメしたいか

いずれも、新規事業立ち上げに興味がある方、これから新規事業をつくろうとしている方、また新規事業開発に携わっていて行き詰まっている方におすすめの本です。ぜひ読んでみてください!

自分の中に毒を持て

書籍情報
著者 岡本 太郎
出版社 青春出版社
出版日 ‎2017/12/9
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この書籍から学んだこと

新規事業立ち上げはひとつの表現•作品づくりといっても過言ではないと思っていて、「何を表現し、誰に届けたいのか」を考える上で、まず「自分は何者なのか」「どう生きたいのか」を考えざるを得ないと思っているのですが、そんな時に力強いヒントと鼓舞をくれた本。

「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考

書籍情報
著者 末永 幸歩
出版社 ダイヤモンド社
出版日 ‎2020/2/20
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この書籍から学んだこと

新規事業開発を進める中で、何が競合差別化なのか?は常にある問いだと思っているのですが、そこに対して「当たり前で考えもしなかった固定概念に問いを立てて、自分なりに解を出すこと」がアートだと説いた本で、過去の美術史の進歩とともに、その時代時代の当たり前をどう壊していったのかが具体作品と共に紹介されていて、発想のヒントになった一冊。

「事業計画書」のつくり方

書籍情報
著者 原 尚美
出版社 日本実業出版社
出版日 ‎2011/11/25
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この書籍から学んだこと

私自身が新規事業アイデアをまとめるときに参考にした本で、かなり具体的な問いと解答事例とテンプレートで、その問いを埋めていくと事業計画書ができあがる超実践的本。

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スニダン田中氏
『戦略プロフェッショナル』
『V字回復の経営』


株式会社SODA(『SNKRDUNK/スニーカーダンク』運営)
事業開発部 マネージャー
田中 寛人氏(Xアカウントはコチラ

誰に対してオススメしたいか

・これから新規事業やスタートアップ起業を考える方
・事業成長に課題を抱える方

書籍から学んだこと

本書籍では、現場で誰しも使ったことがある(古い書籍なので)PPMやセグメンテーションなど、基本フレームワークの事例が展開されています。ただ、フレームワークの教科書としてだけで用いるのは勿体無い。本書籍の肝は上記に至るまで、大局的・局地的に本質をついた戦略の軸となる仮説設定ができるか、そして、勝ち筋のフィジビリティとソリューションフィットをとにかく泥臭く検証し、実現していくことであると考えています。

 

また、組織は戦略に従うことがベースですが、戦略を実現する背景はあくまで組織であり、組織に属する人(仲間)です。戦略の重要性だけではなく、それを実現すること、すなわち戦略と組織をセットで考えることの大切さを改めて教えてくれます。

戦略プロフェッショナル―シェア逆転の企業変革ドラマ

書籍情報
著者 三枝 匡
出版社 日本経済新聞出版
出版日 ‎2002/9/1
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V字回復の経営―2年で会社を変えられますか

書籍情報
著者 三枝 匡
出版社 日本経済新聞出版
出版日 ‎2006/4/1
Amazonリンク
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Terra Drone可部氏
『ストーリーとしての競争戦略』


Terra Drone株式会社
事業責任者
可部 健二郎氏(Xアカウントはコチラ

ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件

書籍情報
著者 楠木 建
出版社 東洋経済新報社
出版日 ‎2010/4/23
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この書籍から学んだこと

この本は、自社の強みを活かした顧客価値の提供と競争優位性の構築を実現するための独自の戦略を設計し、そこに向けてストーリーのように方針や施策を一貫性を持たせて集中させていくことの重要性と面白さを教えてくれました。

スタートアップで事業を立ち上げ、成長させていく中で、数字や時間に対するプレッシャーから目の前のKPIにコミットすることに集中しますが、そこに目線が偏ると、時にチームが自分たちの事業の意義を見失って疲弊し、施策もより短期的な施策に偏ってしまうリスクがあります。

自分たちの事業の意義・顧客価値から戦略を設計し、方針や施策、各メンバーの仕事をそこに集中させることで、各メンバーがやりがいを持って個人の力を最大化したうえで、それらを一つの方向に集中させ、強力な競争優位を構築し、中長期的な事業成長が実現できます。

このように戦略からメンバーの仕事までをストーリーのように一貫して繋げられたときは、まさに思わず人に話したくなるようなワクワク感があり、それが各メンバーの仕事に対する誇りに繋がると思います。

言うは易く行うは難しで、スタートアップという変化の早い環境で、実際優れた戦略を構築していくのは非常に難しく、私自身も決して完璧にできているわけではないですが、完璧でなくてもまずは形からでも戦略を作りメンバーの行動までストーリーを繋げていくように意識し、日々一歩ずつ精度を上げられるように取り組んでおります。

誰に対してオススメしたいか

グロース期にいる事業責任者、Bizdev、企画職の方

こちらの記事は2024年07月10日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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