「ハイパフォーマーが最も報われる環境に」大型調達を経た未上場スタートアップが挑戦するカルチャー醸成と報酬設計をFLUX永井・布施が語る
実力主義の外資系企業と、働きやすさの日系企業。そんな二項対立を、意識したことのないビジネスパーソンのほうが、珍しいだろう。時には、日本経済の低成長の要因として語られることもある。そんな“旧来の当たり前”を打ち崩そうと、新たな組織・評価づくりに挑戦しようとしているスタートアップが、実はある。
「テクノロジーをカンタンに。経済価値を最大化する。」をミッションに掲げ、2018年の創業後、急成長するスタートアップとして各界から注目を集めてきたFLUX。2023年6月に発表した44億円という規模の大型資金調達を経て、いよいよIPOも見えてきたかというというフェーズを迎えている。その凄まじいスピード感と躍進を支えているのは、同社の組織づくりに対する妥協しない姿勢と、その根底にあるカルチャーだ。
今回、大型資金調達を機に組織・評価面でも大きなアップデートを実施するという話を聞きつけ、FastGrowは創業期から二人三脚で組織を構築してきたCEO永井元治氏とCOO布施元大郎氏の対談取材を実施。そこで見えてきたのは、FLUXの“ハイパフォーマーファースト”な思想と、それを実践に落とし込む仕組みへの高い視座だ。
ハイパフォーマンスを発揮する人材がその努力に対して正当な評価と報酬を得られる仕組みづくりを徹底し、パフォーマンスに応じて対価としての報酬を青天井に支払うことができる企業を目指すという。日本企業としてはある種鋭角な組織づくりと採用戦略の背景にある想いとその先に描く展望について、FLUXを率いる2人の本音から紐解いていく。
- TEXT BY YUKI YADORIGI
- PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
「High Performer Oriented」が、FLUXの目指す新時代のスタートアップ?
永井資金調達はひとつの通過点ではありますが、市場環境的にも苦しい中でご期待くださっている投資家をはじめとした皆さまにはとても感謝しています。そういった意味では、喜びや達成感よりもむしろ責任感を強く感じます。企業として社会やステークホルダーに対する還元をより一層意識するようになりましたね。
表情を崩さずそう語るのは、ノーコードAIプラットフォーム『FLUX AI』を展開するFLUXのCEO、永井氏だ。FLUXは2018年創業後、翌年シードラウンドで2億円の資金調達を実施。さらにその翌々年のシリーズAラウンドでは10億円の資金調達、直近の2023年6月発表のシリーズBラウンドにおいては44億円の資金調達を経て、急成長を遂げている。Mizuho Innovation Award(リリースはこちら)やEY Innovative Startup 2022(リリースはこちら)といった受賞歴を持ち、いま日本でもっとも注目されるスタートアップの一社である。そのポテンシャルの高さについて、FastGrowはこれまでも記事を通じて紹介してきた。
今回発表となった大型の資金調達も、こうした着実な歩みに対する外部からの評価の証だ。永井氏と布施氏に、それぞれ資金調達について振り返ってもらった。
永井ウクライナ戦争や金融不安などの打撃もあり、「SaaSというビジネスモデルの将来性」への評価が、以前よりも厳しくなっている面があります。そのなかで今回のような調達を実現できたのは、非常にありがたいことだと感じています。シードから変わらずフォローしてくださる既存投資家のDNX VenturesさんやArchetype Venturesさんといった方々がいることも、FLUXの大きな支えになっています。
布施永井が言及した既存投資家に加え、今回は日本を代表する有数の大企業も投資に踏み切ってくださいました。大手企業の名が連なることは、対エンタープライズの事業展開をしていくうえでFLUXのさらなる信頼醸成につながるため、大きな意義があると感じています。
永井今回の調達についてもう1つ補足したいのは、グローバルにおいてビッグネームを持つ企業からも投資されていることです。今は注力領域ではないものの、FLUXは海外事業の展開も始めています。加えて今後の継続したグロースなども考えると、この資金調達で得られたものは非常に大きかったと感じています。
既存投資家であるDNX VenturesとArchetype Venturesからのフォロー投資に加え、新規投資家としてジャパン・コインベスト、あおぞら企業投資、Salesforce Ventures、Sony Innovation Fund、SMBC日興証券、NTTドコモ・ベンチャーズが参画した。誰もが知る大企業の名前に、驚きを覚える読者も少なくないはず。
国内外を問わず、大手企業やVCから厚い信頼と期待を寄せられるFLUX。その評価のポイントは、どこにあるのだろうか。
永井今回私たちの事業が評価されたポイントは大きく分けて3つあります。1つは売り上げ向上とコスト削減に直結するプロダクトに対しての評価です。たとえその事業領域の市場が下火のときでも代替されにくい価値があるプロダクトだと評価してもらえました。
そして2つめは、そのプロダクトのコア技術であるAIテクノロジーをプラットフォーム化することによって、他領域での汎用性が大きくあることです。
さらにこれらに加えて、3つめとして組織やカルチャー醸成への高い評価がありました。
さて、今回の対談記事で焦点をあてるのは、資金調達の評価ポイントの最後に挙げられた「FLUXの組織づくり」だ。FastGrowではこれまでもFLUXに対し、事業面だけでなく組織面にフォーカスした取材を重ねてきた。
FLUXは今回の大型資金調達を機に、また組織に対してある試みを始めるという。そのキーワードは、「High Performer Oriented」。
これは、「ハイパフォーマンスを発揮する人材を最大限レバレッジさせる組織づくりを仕組み化する」というものだ。その先に、FLUXは「プロのスポーツチームのような組織」へと成長することを目指しているという。その具体的な内容と狙いについて、永井氏、布施氏に語り尽くしてもらおう。
「High Performer Oriented」な組織づくりへ、あらゆるインセンティブを徹底検討
FLUXはそのすぐれたプロダクトや事業成長のスピードによって各界からの注目を集めてきた。そしてそれらを根幹で支えていたのが、組織づくりに対する思想だ。開発力に焦点をあてた記事でも、開発組織の独自性については触れていた。
今回の組織戦略アップデートのキーワードとなるのは、「High Performer Oriented」という考え方と、その制度導入である。概要についてまずは聞いていこう。
布施フロントオフィスからバックオフィスまであらゆるメンバーが、自分の役割と期待値を理解していて、業務に能動的に取り組めているかどうかによって、パフォーマンスに差が生じます。
同時にスタートアップにおいては人的・経済的リソースは限られています。なので常に、経営者の判断として、貴重な資源をどこに集中して投資をするのかが重要になります。
FLUXでは、ハイパフォーマーが質の高い経験を積み続けられ、金銭的にも経験的にもリターンが大きく出る組織づくりを仕組み化しようと試みています。
これまでもFLUXのバリューを体現しているハイパフォーマーが事業における経験はもちろんのこと、SOを始めとして多くの金銭的なリターンを得られるような設計をしてきました。つまりカルチャーとしてはもう根付いていると思っています。
現場の前線で営業をしているメンバーから、バックオフィスで献身的にチームを支えるメンバーまで、全員が事業のグロースのために一丸となって取り組むのがFLUXの良さ。そのカルチャーをハード面・ソフト面共に、より一層強めていきたいんです。
永井パフォーマンスを出した人が報われる実力主義の組織であることは、資金調達の際にも高く評価されたポイントのひとつです。
この「報われる」という部分が非常に重要となる中、議論が避けられがちなのが、経済的な報酬設計です。目標達成度合いや功績の度合いに応じて額が上下するいわゆる“インセンティブ/ボーナス”制度もフル活用していきます。「パフォーマンス(貢献価値)の評価」という観点では、この部分が重要になるでしょう。
弊社の行動指針であるバリューとOKRに紐づいたフェアな評価制度とオープンな報酬制度の運用は組織に根付いているので、次なる施策としてインセンティブ/ボーナス制度を向こう2年くらいのスパンで組織全体として根付かせたいです。
あらゆるかたちのインセンティブを検討し、制度案をくみ上げてきたわけだ。その「経済的報酬」について質問を重ねると、永井氏から出てきたのは、プロスポーツチームに近いような組織の考え方である。
永井まず、ハイパフォーマーには大きなリターンが期待できるSOとともに、もっと短期で期待できる金銭的インセンティブを設けます。そうすることで、メンバークラスでも、外資金融やコンサルティングファームのような世間一般で高年収として知られている有名企業と比べても、遜色のない報酬を稼ぐことが不思議ではないかたちを目指していきます。
FLUXは採用の過程において妥協していないので、全メンバーがバリューを体現して、素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれるという強い期待があります。この期待を、報酬制度というかたちで、より明確に示すというわけです。
布施ハイパフォーマーに注力することは、私たちは“真のフェア”だと捉えています。“フェア”であることは昨今の社会全体で重視されていることであり、特にスタートアップでは採用や評価といった観点で最重要なポイントのはずです。
ただし、この“フェア”という言葉が指しているのは、「機会の均等」であって「結果の均等」であってはいけないとも強く思うんです。
企業はまず、個々のメンバーが平等にオポチュニティを得られるようさまざまな部分を設計すべき。永井も私も、前職などで海外のビジネスシーンにおけるキャリアの価値観に触れることが多かったためか、このような考えを共通して持ち、取り組んでいます。
ここでしっかり2点、FastGrowの目線で補足をしておこう。
1点目に、FLUXはそもそも退職率が低い。採用時点におけるバリュー評価を妥協せず突き詰めていることがその主な要因だ。加えて、創業期から従業員サーベイを始めるなど、組織開発にも余念がない(こうした取り組みの背景は、2022年のこちらの記事で布施氏が語っているのでぜひ確認してほしい)。
また、評価制度を仕組みとして早期に整えてきたことも奏功している。日々の言動がバリューの体現となっているかどうか、1on1でつねに確認し、記録を徹底している。そしてどのような給与につながっているのかまで、透明性が保たれているのだ。こうした仕組みによって、納得性が担保され、モチベーションの維持・向上も当たり前に進んでいるわけだ(この背景はこちらの記事に詳しい)。
2点目は、「個人<組織」という前提が全メンバーで適切に共有されていること。もし、自身の報酬だけを意識して、組織よりも個人の成果だけを追い求めるメンバーがいたとしたら、この制度改革が成功することなどありえない。そもそも設計の検討すらされにくいだろう。つまり、そうしたいわゆる“個人主義”に走ってしまうメンバーがほとんどいないことが、重要な前提になっているのである。
布施なお、永井が話したインセンティブ/ボーナス制度の導入が具体策の大枠ですが、ハイパフォーマーに提供すべきものは、そうしたかたちで生まれる一時的なリターンだけではありません。
まず、そもそも給与テーブルが高水準であることが重要です。必要な見直しは、常に検討していきます。この取り組みを抜きにして、「スタートアップは年収が低い」というイメージを払拭していくことはできません。
加えて、経済面以外のことも改めて検討しています。たとえば「業務で得られる経験」は、非常に重要なリターンとなるでしょう。具体的には、新規事業の立ち上げや、P/L責任を負い続ける機会があることなどが、中長期的に魅力的な経験的価値(リターン)だと言えるはず。
むしろ「経験こそが価値」だと捉えることのできる“事業家精神”を持つ人が、IPOを経ても、従業員規模が数百人・数千人にまで膨らんでも、集まってくる企業であり続けたいと考えています。事業をつくる人、伸ばしていく人、既存顧客のグロースを支援する人、採用する人、請求や法務対応などの業務を担当する人、様々な人がこれからのステージでは必要です。
その全ての立場の人が、事業を伸ばしていく為に、日々のアクションと真剣に向き合うことこそが、企業・組織の成長に繋がります。
一定以上の結果を残す人材を正当に評価するためには、パフォーマンスを基準とした差別化がどうしても必要。そんな考え方を避けることなく直視し、向き合っていることが、2人の言葉からひしひしと伝わってくる。
なおFLUXの求める「パフォーマンス」とは、「売上や利益の創出」や「完璧なオペレーション設計」というよりもむしろ、「バリューを体現した言動をし続けることによって成果の創出に向かうこと」である。たとえ「売上を想定通りに創出できなかった」「オペレーションでミスがあった」という失敗のような話があっても、それがバリューに基づいた言動の結果であるならば。
一見して“シビア”なこの判断をFLUXが表に出していく姿勢に、ある種の強い覚悟が垣間見える。平均化が是とされがちな日本企業として、あるいは印象の一つひとつが経営を左右するフェーズにあるスタートアップとして、リスクを背負った挑戦とも捉えられるかもしれない。この覚悟の背景には、どのような想いがあるのだろうか。
「思い付きでつくった制度」ではなく、もともとあったカルチャーを仕組み化しただけ
見出しにもあるように、この制度導入は決して、経営陣の思い付きなどではない。創業期から大切に育ててきたカルチャーを、持続的成長のため、さらに強めていく。その過程における一つの大きな意思決定である。
永井もともと私や布施を始めとしたFLUXのメンバーのなかには、「High Performer Oriented」に近い思想がありました。その背景には、新卒入社先として外資系コンサルティングファームを経験し、当たり前のものとしてハイパフォーマーを優遇する文化の中にいた自身のバックグラウンドもあります。外資系企業においては自然な考え方ですが、これを日本企業でやりきるとなると、「成果を出せないメンバーの給与を下げるのか」や「一部のメンバーだけを優遇するのか」といった批判にさらされるリスクももちろんあります。
それでもなお決意したきっかけとなったのが、今回の資金調達です。FLUXはいよいよ、上場やその後の持続的成長を具体的に見据え、企業としての効率性や社会的価値を一層深く細かく考えていくフェーズに入りました。その中では、採用競争で勝ち続けていくことが何よりも重要です。
ですから、High Performer OrientedをFLUXの組織づくりの根幹を支える仕組みとして言語化していきます。そうすることで、どんな企業でも活躍できるような優れた人材から「FLUXで働くことこそが魅力的なキャリアになる」や「FLUXで働けることを誇りに思う」など、そう思ってもらえる環境をつくり、アピールしたい。そのほうが、企業として強くなり続ける採用・組織づくりにつながると判断しました。
「ハイパフォーマンスで勝負して、とにかく高い評価を受けたい」と感じるのなら応募し、そんな雰囲気に少しでも不安を感じるならば他の企業を選択する。そういうかたちを健全に目指したいんです。
布施「企業と個人が、どれだけフラットな関係であり続けられるか」が重要です。フェーズが進み、この意識の重要性はさらに高まってきています。いわば「選ばれ続けるための努力」を、あの手この手でしていく責務があります。そのための手段として、「ハイパフォーマーに報い続ける」という方針を今、明確に示すんです。
High Performer Orientedという仕組みに落とし込んだ思想や考え方自体は、FLUXのDay1からあったものです。以前の取材でCxOやマネージャーレイヤーが語っていたように、徹底して無駄を省き、インパクトの大きな施策を見極め、的確に実行していく仕組みをつくりさえすれば、しっかり評価されます。決して、新規事業を作ることや新しいパートナーシップを組むなど派手な施策に限らず、タスク管理や会議の議事録作成などの通常業務でもバリューに沿って行動を行っていけば評価はされます。
そうしたカルチャーを今、明文化し、報酬や経験といった価値への反映をさらに強めました。「新たなFLUX」を世に魅せていくきっかけとして、大きな一歩になると捉えています。
FLUXが踏み出した新たな組織づくりの挑戦は、今に始まったことではなかった。永井氏のバックグラウンドも色濃く反映されたものであり、すでにカルチャーとして組織に浸透していた。それを、このタイミングで大きな組織進化へと昇華させ、対外的にも発信していくことに決めた。そのトリガーとなったのが、資金調達におけるさまざまな投資家とのやり取りだった。
確かに、企業成長や事業拡大と共に、社外に対する企業の印象は変わっていく。そこから生じるブレを事前に回避する意味でも、High Performer Orientedな仕組みは理にかなっているのかもしれない。
布施大型の資金調達を達成すると、それだけ安定している企業という印象がつきやすいものです。一方で、FLUXは今なお、あらゆる面でいわゆる“0→1”の動きが多い企業です。特に、ビジネスをゼロからつくりたい人にとって魅力的な企業であり続けるということを、採用候補者に伝えていかなければなりません。
そういった意味でも、High Performer Orientedによってさらに強い企業になっていく過程を伝えていくことが、非常に良い影響をもたらすのではないか、と期待しています。
今回の主テーマとなっているHigh Performer Orientedは、その根幹にあるFLUXのカルチャーと密接に紐づいたものとも言える。だが一方で、スタートアップ界隈においてユニークなもので、かつ多くの経営者は敬遠・妥協してしまうような内容でもある。
日本におけるスタートアップエコシステムの発展、さらには日本経済の成長まで見据えた意思決定と言えるだろう。単に、FLUXがより強くなるというだけでなく、企業が永続的に成長するための新たな在り方について、先進的な仮説検証を進めているわけである。
まだまだ、大人ぶって「最適化」を考えるフェーズではない──FLUXが重ねてきた試行錯誤
さて、High Performer OrientedはあくまでFLUXのカルチャーの一側面を仕組み化したものだと先ほどまとめたが、そうであればすこし視点を拡げたFLUXの組織づくりの全貌についても触れておきたい。これまでFLUXがどのような意識で組織づくりに臨んできたか、過去のエピソードを交えながら永井氏と布施氏に振り返ってもらった。
永井これまで一貫して心がけていたことは、バリュードリブンな経営を組織づくりと採用戦略に落とし込むことです。
しいて言えば、初期は履歴書に基づいた採用……いわば経歴やスキルを重視した採用をすることで、結果的に人材のミスマッチが生じることはありました。だからといって、もしも今の自分が過去に戻れるとしても、そのミスマッチを軽減する目的でHigh Performer Orientedを初期から取り入れたとは思いません。
High Performer Orientedは、今やるからこそ意味があることです。たとえば10人規模の企業で同様の制度を導入しても、意味がありません。実際に、初期のFLUXは現CxO4名で作り上げていたこともあり、もう「やるしかない」というか、成果のために細かなコミュニケーションを図る必要なんてない状況でしたから。
布施あの頃の採用や組織づくりについて、私も失敗があったとは全く思っていません。ただ、人が多くなって初めて生じてくる問題がその時々にはあって、それに応じてFLUXは変わってこれたのではないかと思います。
永井ごく最近で言えば、組織づくりについて「CEOとして、もっとドラスティックに意思決定しよう」と改めて思いました。これまでは慎重にコミュニケーションを取ろうとするあまり、手が遅くなることもありました。今は「これがいい」と思ったらすぐに行動に移すよう心がけています。
布施もちろん組織の人数が増えてくれば意見の幅も増えてくるので、合意形成においては難しい部分も出てきます。でも、これを今の100人の組織でできなければ、1万人の組織には勝てませんからね。
永井本当に、そう強く思いますね。というのも最近、とあるアドバイザーの方と話をする中で、最適化だとか分業だとかを目指せばうまくいくという単純な話ではない、と改めて気づかされたんです。
永井今のFLUXの組織規模だったら、あくまで「CxOが最前線に出て、現場と一体となり数字を作る!以上!」という世界なんですよね。「横串で最適化しよう」とか「分業してうまくやろう」とか言っている段階ではないんだと指摘され、確かにそうだなと強く実感したところです。
メンバーには、とにかくバリューを体現し続けてほしいので、バリューと評価を紐づける仕組みをさらに洗練させることを最優先にして、今後も注力していきます。
それと、評価と同じくらい重要だと思うのが、エンゲージメントですね。従業員のエンゲージメントを可視化するため、eNPS℠導入や1on1への注力といったほかの取り組みも進めています*。
順風満帆な事業成長を遂げてきたように見えるFLUXだが、組織拡大の過程では、失敗とまで言わずともさまざまな気付きや葛藤があったことを、2人の話から想像できる。一方で、FLUXが立ちはだかる課題にすぐさま対策し、新たなかたちの体制づくりや仕組みづくりを繰り返すことでスピードを緩めることなく走り続けてきたのも、また事実だろう。
永井また、たとえば権限移譲に伴うデメリットの解消について。一般的に組織の規模が大きくなってくると、現場の仕事をメンバーに任せるようになっていきます。そうした権限移譲や分業は当然重要である一方で、新しい事業や施策を始めるためにはCxOやVPが現場に出てオペレーションをリードしてプロジェクトを推進する姿勢もなくしてはいけない。
何も、上からのマイクロマネジメントをしなければ、と言いたいわけではありません。初期の仮説検証を的確に進めるため、経営陣も含めて手を動かしていった上で、各レイヤーの考えを集約し、すり合わせていくくらいの行動量・熱量があって初めて、新しく大きな成果を創出できるわけです。この学びは、実際に私たちが組織規模を大きくしていくなかで経験から得たものです。
現場のメンバーに「新しいことをやってね」とすべてを任せるのは、なかなか難しいものです。推進力を必要とする新しい取り組みでは、トップダウンで大きく盤面を動かさなければならない局面も多々あります。
では、マネージャーはどれくらいの粒度で現場に指示を出せばいいのか。そうした課題意識を持ちつつ、推進力やスピードを落とさずに挑戦し続ける組織であるための一番いい手法は、やっぱりCxOのように決断力や推進力を持つ人間が現場にも入ることなのだろうと思いますね。
もちろん、これからまたフェーズが変わっていけば、最適解も変わるでしょうが。
2人の話を聞いていると、事業フェーズと結びついた組織づくりや意思決定の方針がいかに重要かがわかる。そのときどきの最高速度で最適解を導き出そうとしてきたからこそ、2人には「失敗」という感覚はない。その結果が、今のFLUXの快進撃につながっているのだろう。
採用を、「採用としてこなす」にならないため、CEOがすべきこと──バーニングニーズを考えよ
ここまで、組織面の取り組みに触れてきた。関連する話として、採用面のこだわりについても改めて確認したい。この「High Performer Oriented」の成否は、引き続き良い採用をしていけるかどうかにかかっているとも言えるからだ。
これまでの取材でも語られてきた「採用において一切妥協しない姿勢」。それを改めて振り返ってもらうと、永井氏のさらに強い想いが見えてきた。
布施「特に注力すべき採用対象」となるポジションやスキルセットって、事業フェーズや組織規模によって変わりますよね。このことを、しっかり意識して取り組むことができるようになってきました。歩みを進める中で実感が強まっていますね。
たとえばシード期においては、スタートアップがネームバリューを獲得することなど不可能です。なので、相対的には営業ポジションが重要になると言えます。「知らない会社から商品を買う」というお客様が多いフェーズですから。
永井現在FLUXが置かれているミドルフェーズにおける採用の難しさは、「0→1に携わりたい」という事業家精神を持つ人材から、「シリーズAのスタートアップと比べられ、見劣りすると感じられてしまうこと」です。
アーリーフェーズの他社であればCxOになれる可能性もある、でもFLUXのフェーズではCxOになれる可能性が低いと思われてしまう。そういう観点で比較されて「もう落ち着いた企業だ」と思われてしまうようになると、私たちが求める優秀な人材からは選ばれません。
布施事業や経営に興味がある方には、シリーズAのスタートアップでCxOになるよりもFLUXの部長レイヤーや今後M&Aをした際の会社様の役員を目指していただいた方が、トータルで考えると良い機会になり得ると考えています。なぜなら、より本質的な意思決定を積み重ねるための裁量権を明確に持つことができますし、比較的盤石な経営基盤があるために失敗を恐れず大きなインパクトを狙った挑戦ができるからです。
これらの「経験としての報酬」を、これから明確に示し、しっかり訴求していきたい。
加えて、「High Performer Oriented」で、「経済的な報酬」も明確に高めていきます。
組織づくり同様、採用戦略においてもFLUXは改善を繰り返して現在に至っている。特に採用基準は非常に厳しく、一切妥協せずに取り組んできた。その一端を、改めて示してもらおう。
さすがに遠慮がちに、ではあるが、「今でも最終面接は私が全て行っていますが、一切の妥協をしないため、結果的に半数近くの割合でお見送りになってしまっています」と明かす永井氏。ほかの面接官は、明確な基準に基づいて最終面接にまで候補者を上げているわけで、CEOの貴重な時間的リソースの使い方として本当にそれでいいのだろうか?という疑問もわく。
だがしっかり聞いてみれば、それがFLUXの強さをかたちづくっていたとわかった。CEOの永井氏のみが持つ“観点”が、良い採用の実践においては欠かせないのだ。
永井最終面接まで進んでいれば、カルチャーやスキル、マインドといった面では、もはや私がジャッジするまでもありません。入社すれば必ず活躍する、そんなみなさんだと感じています。
そんな中、私が常に考えているのは、自社におけるバーニングニーズです。つまり、候補者に向き合った上で最終的には、事業と組織の全体状況を基に、そのJob Discription(募集要項)の重要性を改めて検討しているんです。このことこそ、CEOがやるべき検討・判断だと思います。
布施永井は面接を経て、それだけで単に人材を落とすのではありません。少しでも気になることがあればまず、人材を求めるそれぞれの責任者レイヤーに対して「本当にこの人材は、今、新規採用が必要なのか?」と問います。その答えに対して納得したら、もちろん採用のGOを出しますが、そうではないことも少なくないわけです。
私も恥ずかしながら、永井に問われて「やっぱり今、絶対に新規採用が必要かと問われれば、そうではない課題(採用ニーズ)だった」と気付かされることがありました。
それであれば、そもそも募集ポジションを公開しなければいいのではないかと思われるかもしれませんが、最終的にどういった方にご応募いただけるのかは、蓋を開けるまではわからない部分でもあるため、このように健全な議論を深めながら、厳しく採用を進めているんです。
永井常に、「組織の強度」を優先しています。誤解を恐れずに言えば、採用はどこまで行っても「量より質」です。これは、組織規模が大きくなってきたり、事業が明確にPMFしたり、といったフェーズになった今でも変わりません。
逆に、たとえ募集していないポジションでも、「この候補者さんの特性を、新たな○○という役割で活かしてもらうことで、中長期的に組織が強くなる!」と思えれば、新たにポジションを用意して採用したこともあります。
布施多くの企業は、募集ポジションを決めて人材要件をもとに母集団を形成して……というような、いわゆる“採用活動”をこなしてしまいがちですよね。一方、FLUXは採用、育成、組織、事業をすべて常に連携させて考えています。
「特定のポジションの募集を決めたら、その採用を間違いなく進める」ということにこだわるのではなく、「このポジションとこのポジションを、この人材に任せることで合わせてしまえば、事業と組織の効率がものすごく良くなるなじゃないか!」といった考え方を探っています。
単に枠があいていたら採用するのではなく、組織としての最適解と手段を柔軟に考えるのが、FLUXの採用戦略の特徴です。
取材に同席していた人事部長の鷲田諒氏も、大きく頷きながらこの流れを聞いていた。常日頃、「採用は手段でしかない」と繰り返す同氏の姿勢が、経営陣の思想とも密接にリンクしていることがよくわかるやりとりだった。
真に必要な人材のみを厳選して獲得するからこそ、採用活動全体での内定率は決して高くない。そもそも、採用だけがすぐれた組織づくりの手段ではない。こうしたFLUX流の採用戦略が、今の強い組織をつくるための骨となってきたわけなのだ。
バリューを中心とした生産性向上へ、妥協せず突き詰める仕組みづくり
FLUXの企業成長を支えてきた組織づくりにかける想いや採用戦略の背景について聞いてきたが、改めてそれらの結びつきと今後についてまとめていこう。永井氏に、次のマイルストーンについて聞くと、意外な答えが返ってきた。組織づくりにおいて、そうした設定はしていないというのだ。
永井事業のグランドビジョンはもちろんありますが、じつは組織づくりのマイルストーンはあまり具体化していません。というのも、それによって事業成長の伸びしろが小さくなってしまう可能性があるからです。
事業のグランドビジョンと連動した組織づくりのマイルストーンは、およそ半年くらいのペースで柔軟に変えていきます。今回お話ししたHigh Performer Orientedがどのような結果を残していくかは、ひとつの指標となりますね。それが見えてから、また次のステップを検討します。
企業成長は一人あたりの生産的なアウトプットに依存しています。今は、あくまでトップライン(売上)の成長が一番の指標ですね。非連続的な成長を生み出し続けるための生産的なアウトプットを分解すると、「適切な目標設定」「適切なアサインメント」そして「心理的安全性」の三つの要素になる。
これらを確実に担保するために、FLUXではこれまで紹介してきた組織づくりに関するさまざまな施策に取り組んできました。これらの施策は、いずれも業績に結びついてきたと感じています。そして今後High Performer Orientedを設けることで、私たちは全員が同じスピードで走れる組織を目指します。組織規模の拡大に伴い生じてくるブレに引っ張られないよう、最高速度のメンバーと同じ速度で全員が走れる組織づくりを心がけていきます。
5人のチームに1人のローパフォーマーがいると、そのチームはローパフォーマーの速度になる──。これは『NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く(光文社、バティ・マッコード著)』に出てくる言説だ。永井氏が語るハイパフォーマーを重視した組織づくりの考え方は、Netflixの影響を色濃く受けているということも併せて教えてくれた。
しかし、パフォーマンスが高いことを重視するという言葉からは、成功を積み重ねられる、つまりミスをしない人材を求めているという印象も強く感じられる。もしかすると読者は怖気づいてしまうかもしれないが、この話に続いた布施氏の言葉がそれを払拭してくれるだろう。
布施永井の話に補足して、あくまでFLUXはバリューを重視しているということをお伝えしたいです。たとえ最初は売上成長につながるようなアウトプットが出ていなくても、バリューフィットさえあれば、入社後のラーニングによってその後のパフォーマンスが間違いなく向上していくと思うんです。
永井そうですね、もちろん業務やカルチャーに慣れていくためのある程度の助走期間は必要だと私も考えています。失注だとかチャーンだとか、あるいはクレームを受けただとか、そうした失敗そのものが悪だとは、一切捉えていません。
布施むしろ失敗する回数が多ければ、理論上その失敗を通じて最適な選択肢の数は減っていくので、スタートアップを成長させていくためには、ある程度失敗は必要だと考えています。つまり、短期間で失敗を重ねられる人こそが、最短で成功に到達できるということです。
ただもちろん、「各々でバリューを理解して、それぞれで成長してくれ」と突き放すわけでは一切ありません。ハイパフォーマーが、さらにハイパフォーマーになっていけるような成長支援の制度や仕組みについて、経営陣はもっと強めるために考え抜いていきます。たとえば、パフォーマンスの状況に関係なく、さらなるバリューフィットやそれに伴う成長につなげるためのプログラムや研修なども新たに取り組んでいます。「採用して、あとは各々で成長すればいい」といった話ではありません。すべての中心となっている今のバリューだって、完成形とは言い切れません。
最速で走り抜ける組織が、必ずしも失敗を忌避するわけではない。むしろ失敗という仮説検証の機会を歓迎するということがわかったことで、未来のメンバーに期待する姿勢も見えてきた。
企業フェーズの変化に伴い、採りうる手段は増えていく。FLUXは、新たな施策を必要に応じて的確に増やしつつ、軸はブラさない。言葉にするのは簡単だが、実践を続けるためには並々ならぬ思考量と行動量が必要になるはずだ。
だが、意志と自信に満ちたこの2人の受け答えを聞いていると、その裏にある思考量・行動量の多さを感じずにはいられない。「妥協せずに取り組み続けること」が、あなたはできているだろうか?今一度問い直してみるとよいだろう。
努力した人が報われる人材評価のデファクトスタンダードを生み出したい
ここまでのエピソードでFLUXの思想は十分伝わったと思うが、改めて今回の主テーマであるHigh Performer Orientedと結びつけつつ、FLUXのカルチャーについて2人に総括してもらおう。
布施FLUXは総じてバリュードリブンな組織です。そのためバリューに対するちょっとした意識のズレは、メンバーのパフォーマンスに大きく影響します。実際、なかなかパフォーマンスが出ないメンバーに1on1でその理由を訊いてみると、バリューへの期待値が私と上長、あるいは上長とメンバーの間でずれているケースが多いことがわかります。
そこをすりあわせ、期待値を超えるパフォーマンスを出せる組織を作っていくことがスタートアップの成長には必要不可欠です。私たちは、フィードバックの型を言語化したものがバリューだと捉えていて、バリューを軸とするからこそ評価の属人化を防げると考えています。
FLUXとしてどう動いてほしいか、そしてその成果が個々のキャリアにどう反映されていくのかを具体的なアクションまで落とし込みながらメンバーに伝えることが、いま組織づくりにおいて注力していることです。バリュードリブンな組織づくりと仕組み化が進むと、PDCAがどんどん回り、仮説検証を通じたポジションごとの期待値の精度も向上していきます。組織拡大のフェーズでは、この期待値そのものを高めていく必要もあるので、それも併せて意識しているところですね。
FLUXの組織づくりにおいては、採用、人材育成、そして事業成長がすべてつながっている。「さらなる事業成長」を求め続ける中で、人材を増やすのか、それとも現状のメンバーのパフォーマンスを高めるのか、あるいはほかの手段はないのか、常にそんな課題に向き合っているということだ。それがFLUXの独自性かと問えば、より本質的な答えが永井氏から返ってきた。
永井採用や人材育成が事業成長と連動していること自体は、言ってしまえばごく自然なことです。どちらかと言えば、その自然なことをカルチャーとして浸透させていることがFLUXの特徴かもしれません。
メンバー全員のなかに事業成長と人材のパフォーマンスが連動している感覚があるからこそ、できる意思決定があります。たとえば、あるメンバーが、所属部署の枠を超えてプロジェクトに新たな人材をアサインすることが成果に向けての最短距離だと思ったのなら、多少無理をしてでも取り組んでほしい。
前例がなかったり、突飛な行動に見えたりしたとしても、「それが成果のために必要なんだ」という認識で私は一旦、受け止めますね。上長だからと言って、その行動を取ろうとしたこと自体を咎めてしまっては、バリューに反することになります。
こうしたカルチャーを前提としているからこそ、人材採用の際にはポジションやスキルよりもカルチャーフィットを重視する、と続ける永井氏。その志のもとバリュードリブンな組織づくりを徹底し、妥協しない採用を続けてきたからこそ、FLUXはここまで急成長を遂げたのだろう。そしてその成長を支えるメンバーに対し、永井氏は「報いる」という意識を忘れない。
永井ハイパフォーマーに報い続けることを、常に意識しています。先ほど新たに導入する報酬の制度を紹介しましたが、もちろんまだまだ改善の余地はあります。株式インセンティブで言えば上場前の追加SOもあれば上場後のSOやRSU(譲渡制限付株式ユニット)などもあり得ます。金銭的インセンティブで言えば、利益額や利益率を向上させていけばより大きな報酬を設計することができるようになります。実際に、給与テーブルに関しても、直近でのアップデートも検討しています。
よく「仕事を仕事で報いる」という表現が使われますが、成果に報いる新たな制度を、今後も加えていく必要があるステージにきています。
「経営陣が、より強い組織のために努力し続ける」という姿勢が、ここでも見えてくる。制度が完成することはない。さらなる改善を、経営目線で抜本的に検討し続ける、そう力強く語る永井氏。
この取り組みがうまく進めば、たとえばGAFAMのようなテックジャイアント、あるいは外資系の戦略コンサルティングファームやPEファンドといった世界的な好待遇企業で活躍する人材が、日本のスタートアップエコシステムにも流入してくるような状態が実現されるかもしれない。そんな期待を抱かせる思想を、じっくり読み込んでほしい。
永井FLUXはバリューを核(コア)として変化・成長し続けるプロスポーツチームのような企業を目指しています。そのためにも、ハイパフォーマーに対してあらゆるリターンで報いていくことが重要なのです。
たとえば、一流のプロスポーツ選手たちは世間一般では高級取りにあたるわけですが、スタートアップにおいても同じような現象は起きて然るべきではないでしょうか。FLUXの新しい報酬設計では年収2,000万円以上を稼ぐことも現実的なラインに入ってくるようになります。そういったリターンは、アメリカのスタートアップなら決して珍しくありません。アメリカの場合はその分パフォーマンスに対する評価も厳しいですが、それは成果を重視した評価に基づいた自然な判断でもあると私は感じています。
それをそのまま真似るわけではなく、良い部分を大胆に取り入れるわけです。
これくらいの水準になれば、スタートアップにも、もっと多様なプロフェッショナル人材が入ってこれるようになるでしょう。以前から意識しているDE&Iの観点でも、重要な意味を持つと考えています。
布施大企業では、良い意味で仕組み化されていることから仕事のできる範囲に限界が見えやすいため、年収2,000万円のプレイヤーが400万円のプレイヤーの5倍の成果を出すことは難しいです。しかし、スタートアップであれば工夫の幅も広いのでプレイヤー間で3倍や5倍ものインパクトを出すことが可能です。日本企業ではこの考え方自体あまり一般的ではないかもしれませんが、そこまで突き詰めて考えることで、新たな示唆が得られます。
「仮説と検証を繰り返した、正しい努力こそが報われる評価」がデファクトスタンダードになっていけば、生産性が高まる面もあり、創出される企業価値・経済価値は増え、日本経済の成長にも貢献していくのではないでしょうか。
永井ただし、あくまでこれはFLUXにとって最適なカルチャーである、ということも添えておきたいです。他社には他社のやり方がありますし、必ずしも実力主義のカルチャーが全企業にとって正しいとは思いません。
組織づくりの在り方は業態とも密接に結びついています。たとえば製造業であれば、一般的には現場で働く人の母数が一定数必要なので、人件費を抑えつつ人数を確保する必要があるはずです。一方、無形のサービスを提供するFLUXは、そのサービスの付加価値をどれだけ生み出せるかが事業成長の鍵を握ります。だからこそ一人あたりにかける人件費を惜しまず、仕組み化する方向性を際立たせたかたちが最適だと判断しました。
より強く、より速く。企業として走り続けるために、ハイパフォーマーが最も活躍し、その中で最高水準のリターン(経済・経験)を得ることのできる環境を本気で目指す。それがFLUXなのだ。
制度についてはもちろんだが、そもそもそうした思想を本気で追い求めているということ自体に、共感する人も少なくないはず。“最高水準”を“最高速度”でつくりあげていく、そんな思想が当たり前のカルチャーを持つ唯一無二の企業が、ここにはある。
こちらの記事は2023年07月11日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
執筆
宿木 雪樹
写真
藤田 慎一郎
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