資金調達の実践論を、ユニファ、READYFORとM&Aクラウドが語る【イベントレポート】
独立系VCのファンド組成が目立つ中、大企業をはじめとした事業会社も、スタートアップ投資を加速させている。直接投資のかたちもあれば、「CVCファンド」を組成して出資を募り大規模に活動することもある。スタートアップ側も数が増え、双方のニーズが高まっているのだ。
この現状を正しく理解し、どのようなアクションを想定していくべきか。スタートアップ側からの視点で考察するのが、この記事の趣旨だ。なお、2022年11月に開催したイベントのレポート記事であり、経験をもとに話を展開してくれたのは、ユニファ取締役CFOの星直人氏と、READYFOR執行役員CFOの名和俊輔氏の2人だ。
モデレーターを務めたのは、資金調達の支援も最近始めたM&Aクラウドで代表取締役CEOを務める及川厚博氏。この場だから話せるリアルな資金調達の成功/失敗エピソードの数々から、資金調達とその後の事業成長や資本政策に臨むスタンスを学びたい。
- TEXT BY MARI FUJIMOTO
- PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
「業務提携」による成長を、いかに見通すかがスタート地点?
冒頭の自己紹介・事業紹介を終え、話はすぐに「資金調達のエピソード」に入っていったので、そこから紹介し、一気に最後まで臨場感のある掛け合いを読者の皆さんに提供しよう。
及川事業会社・CVCの資金調達は、あまり表に出てこないと思っていまして。私が最近始めた『資金調達クラウド』でサポートしていく中でも、実際の検討過程や具体的な動き方といった情報って、あまり表に出てこないんですよね。その辺りのブラックボックスがクリアになるよう、解き明かしていきたいと思います。
お二人からは最初に、「事業会社・CVCから資金調達を受けて、どんなメリットがあると感じたのか」というところを伺いたいです。
名和READYFORでは、シリーズCで総額17億円を調達した際、事業会社であるフォースタートアップスのフォースタートアップスキャピタルからご出資いただきました。フォースタートアップスは、スタートアップ向けに人材支援と資金支援を軸とした新しい形のハイブリットキャピタルを目指している会社さんですね。私自身も2年前、実はフォースタさん経由でREADYFORに入社しています。
当社のようなITスタートアップは、インターネットを介してサービスを展開するため、即戦力となる人材の確保が非常に重要なテーマとなります。ですが人材エージェント*との関係性は、基本的には求職者が入社し、成果報酬が払われるまでのワンショットごとに途切れてしまう。それだけでは、関係性を強化し続けることが難しく、もったいないと感じていました。
そこでフォースタさんとは、人材支援というだけでなく、資本という面からも関係性を構築しようとしたんです。このことは、当社の事業が大きくグロースしていくことによって、私たちへの人材紹介を実際に担うポジションのメンバーさんたち皆さんに対して、より大きなリターンを返せるメリットを生みます。
及川フォースタさんとの関係性が、出資を受けてから、そんなにわかりやすく変化が生じたんですか?
名和そうですね、READYFORの採用活動も加速しています。というのもフォースタさんの経営陣と定例ミーティングを設けて、組織戦略や採用方針について話し合うという、一歩踏み込んだ関係性を作れました。本当に仲間になった、という感覚があります。
それと、ほかの企業さんとの関係性で言うと、シリーズBのタイミングでは、南都銀行のCVCから投資していただきました。こちらは事業への直接的な影響を感じています。
というのも、南都銀行さんの融資先や融資を検討している企業に対し、クラウドファンディング『READYFOR』の活用を促してくださっているからです。実際に約1.6億円の支援金を集めた法隆寺さんなども南都銀行さんからご紹介いただきました。
及川なるほど。それぞれ興味深いつながりですね。星さんはいかがですか?
星私は、事業会社なのかVCなのかという話の前にまず、株主になってくださる方への期待をしっかり言語化して、解像度を上げてから資金調達に臨むのが大事かなと思っています。
本当はお金にも色々な性質があるのですが、敢えて単純化すると、お金そのものに色はありません。3人から計30億円を集めるよりも、例えばAさんからは事業シナジー、Bさんからは人材・組織関連、CさんからはESG関連のサポートをしていただいて、組み合わせて30億円にした方が総体として企業成長につながるかもしれないという発想を持ちつつ、資金調達をしています。だから、事業会社やCVCという粒度感よりは、とにかく相手先がどんな知見や経験をお持ちなのかを理解するのが大前提です。
ユニファの例で特にわかりやすいものとして、凸版印刷さんからの出資をご紹介します(当時のリリースはこちら)。実は凸版印刷さんの100%子会社に、保育商社のフレーベル館さんがあります。
私たちユニファのメイン事業は、保育園や幼稚園やこども園等のDXです。その営業チャネルは、開拓し続ける必要があります。そこで、凸版印刷さんからの出資をいただくと同時に、フレーベル館さんとの業務提携も結び、新たなチャネル戦略を立てたんです。
他に手を組ませていただいたCVCはいくつかありますが、例えば、セールスフォースさんや博報堂さんですね。セールスフォースさんからは、システム的な側面のみならず、SaaS経営の要諦を勉強させていただいておりますし、博報堂さんからはSDGsのプロモーションをしてきた経験や知見をご提供いただくことで、ユニファが企業として社会的価値をどう伝えていくかというご相談をしていきたいと思っています。
及川「事業成長につながるシナジー」という言葉がありましたが、その戦略は上位概念となるユニファさんの経営課題から落とし込んで考えるということなんですか?
星これを「上位」と呼ぶのが適切かどうかはわかりませんが……。私たちスタートアップはお金以外にもさまざまなリソースがありません。足りないファンクションがたくさんあるので、それをどう埋めるのかという手段のひとつが事業会社・CVCからの出資だと思っています。
例えば、弊社は資金調達と合わせて監査等委員設置会社への移行を公表し、ユーザベースさんから取締役 Chief People & Administrative Officerである松井しのぶさん、西村あさひ法律事務所さんからはパートナーの岩瀬ひとみさんに、社外取締役となっていただきました(当時のプレスリリースはこちら)。
ユーザベースさんは一定期間前に上場しており、企業のフェーズとしては我々の2〜3周くらい先を行っているので、企業成長におけるポイントや落とし穴を教えていただいています。岩瀬さんからは、個人情報の専門家という強みを活かした助言をいただいています。これらは今後の事業成長に必要不可欠なファンクションなので、外部の力も借りて埋めていくことを考えているんです。
「シナジーの解像度」「スピード感」
「コミットメント」を見極めよ
及川メリットについて、具体的な相手企業さんとの取り組みと合わせてお聞きすることができ、非常に参考になります。
及川次に、お聞きしたいのが、関係構築について。事業会社・CVCから投資をいただくまでのやり取りで、契約に落とし穴があったり、担当者との関係性が上手くいかなかったりというケースが起こりがちです。そのあたりの事例の共有や、事業会社・CVCから投資を受ける際の注意点、気をつけるべきポイントについて教えてください。
名和いくつかあるとは思うんですが、やっぱり事業シナジーが重要で、わかりやすくいえば「Win-Win」になることが大事ですよね。
各々の会社がそれぞれ目指していることがあるので、投資先になったからといって、対応の優先度が筆頭になるわけではありません。いくら良いプランを作ったとしても、その通りにずっと継続するのは難しいんです。だから、関係性の希薄化をいかに抑えるのかを考え続けなければなりません。
エンゲージメント(契約)にどう盛り込むのかというテクニカルな部分もそうですし、密なコミュニケーションをどのように取っていくのかという部分もすり合わせられると良いですよね。お互いにイメージをちゃんと持っていて、コミットを持っていれば、すぐ始まってちゃんと上手くいく。
でも、協業後の解像度が低かったり、実は担当者のリップサービスだっただけだったりということもあり得るかもしれません。担当者が乗り気でも、現場がそうでないこともある。資金調達を受ける際のキープレイヤーを見つけて、そこを握っていくのが重要です。
及川出資者とのコミュニケーションってすごく大変だと思うんですが、事業会社の担当者にどの程度の体制を求めていますか?担当者をつけてもらうとか。
名和先ほどの南都銀行さんとの事例で言うと、私たち向けの専任担当者として1名のアサインをお願いしました。さらに、南都銀行から当社へ1名出向に来ていただきました。
1.6億円を超える法隆寺のプロジェクトが注目されましたが、ほかにもたくさんのプロジェクトをご紹介いただいています。また、南都銀行からの出向者の方はREADYFORで培ったファンドレイジングのノウハウなども持ち帰ってくださったようでした。
及川ありがとうございます。星さんはいかがですか?
星「シナジーの解像度」「スピード感」「コミットメント」の3つが大事だと思うんですよね。
まずシナジーの解像度ですが、スタートアップ側は自社の事業を伸ばすことだけに集中しています。ですが、事業会社側にとっては多くの場合、その協業が多くの取り組みの中でのワンオブゼムでしかありません。我々のためだけにリソースを投下できるわけではないので、本当にWin-Winの関係になるために、スタートアップ側から提供できる価値をさまざまな角度から考えていかないと、長続きしません。
次にスピード感ですが、当然ながら大企業さんはVCさんに比べ、出資決定や協業戦略の承認といった稟議に時間がかかります。シナジーの解像度が上がらないと、そもそも稟議を通せないこともあります。このことをしっかり理解して取り組む必要はありますね。
そして最後にコミットメント。事業会社さん側の担当者や意思決定層が交代して、関係性が良くも悪くも変化してしまうことがあり得ます。ユニファの場合ですと、凸版印刷さんには、経営陣の方にも担当者にも両面でコミットして頂いており、本当に有難く感じております。
及川ここすごく気になるんですが、いわゆる「イケてる担当者さん」みたいな存在をどうやって見極めればよいか、お考えはありませんか?
星あくまで人と人との関係性なので、様々なコミュニケーションで見極めるのみでしょうか。ディスカッションを重ねて思考回路を見たり、その方に関する理解を深めます。
その中で意識しているのは、「フェアなディスカッションができる」という点ですね。スタートアップって、良いことも良くないことも当然起こります。フェアにお互いの立場を理解して、お互いにWin-Winになろうと率直なやり取りができることが大事ですよね。株主さんになってもらうというのは、「一緒に経営していく」ということなので、信頼できる人間関係を構築できないと難しい。
及川率直な聞き方になりますが、大企業がマウントを取ろうとするとか、そういうことってあったりします?
名和うーん、どうでしょう。繋がりそうな話をすると、私は昔GMOにいたんですが、ご存知の通りM&Aを何度も活用して大きくなった会社なんですよね。その時の経験から言うと、将来的に買収するための1歩目として、マイノリティ出資という手段が使われることもあります。
大企業側も、いくつもの選択肢の中からスタートアップ投資や業務提携を考えて動いています。なので、マウントをとられるのを防ごうという考えを持つよりもまずは、どう見られているのかをフラットに考えて意識したうえでやり取りできるようにすることが大事だと思います。
星スタートアップだと、経営者も比較的若い世代が多いですが、大企業側は一定のシニオリティが存在しているケースもありますので、年齢的な側面から多少のバイアスがかかってしまうということは、起こり得るかもしれません。
及川ちなみに、どうしても提携したい事業会社・CVCがあるが、実際に会ってみたらいい担当者ではなかった。どんなことが生じたらどうしますか?担当者を変えるとか。
名和あー。そういう経験、私はないですね。担当者を変えるという選択肢もなかったです。
星実際にご一緒で来ている株主さんで、そういったことはさすがにないですね。ただ……そうですね、弊社を御支援頂いている会社さんに対して、あちら側の担当者と弊社の現場チームとの相性が必ずしも良くなく、お互いの為に担当を変えてもらったほうがいいかもと相談したことはあります。
これは単純に相性の問題が大きかったと思うのですが、結果としてはその後、うまく進んだので、先方の為にも、弊社のチームの為にも、言ってよかったとは思っています。
あくまでも「事業戦略あっての、ファイナンス戦略」
及川次はさらに実践的な内容をお聞きしたいです。資金調達の検討のタイミングや、ファーストタッチをどう進めると良いのかという点について、いかがでしょうか?
名和事業会社にせよCVCにせよ、フォーメーションの話でしかないんですよね。何を実現したいのかを考え、ストラクチャーを考え、プライオリティを置くのが大事です。その上で、どんな「A社は資金、B社は拡販、C社はアドバイザー、……」といったフォーメーションをどのように組んで株主になってもらうのか。ただ、このフォーメーションが崩れる形でお断りされたことももちろんありました。
2022年7月に発表したシリーズCラウンドでは、クローズの1年以上前からコンタクトを始めて、本格的に契約の話が進んできたのは年始くらいのタイミング。それ以前に簡易DDも進めていた形です。
昨今の不況が始まる前からやっていたので、バリュエーションは当初想定からけっこう変わりました。事業会社さんの多くが、企業価値の評価をDCF法(*1)をメインでやるんですよね。一方、VCさんはマルチプル法(*2)で計算した結果を重視します。
だからなのかはわかりませんが、コミット度というか、数字がどう変わるのかというのはめちゃくちゃ見られたという印象を持っています。
また、上場企業が投資を行う場合、P/L上での有価証券の減損リスクがあり、強制評価減とかになってしまうと、通期業績の見通しに対して影響がタイムリーに出てしまいます。そのようなことからも、業績の進捗状況はどうなのか等を見る基準が、厳しいイメージがありますね。
及川昨今の不況に関する生々しいお話が聞けて、面白いです。星さんはいかがですか?
星私なりにまとめたものとして、原則の話とイレギュラーの話をそれぞれできればと思います。
まず原則論ですが、あくまで「事業戦略あってのファイナンス戦略」です。事業の損益・キャッシュフローがあって、それを支えるファイナンス戦略があります。事業を安定的に運営する為に、ランウェイを管理して、保守的な方針を考えています。
その上でイレギュラーなこともあるにはあります。事業会社さんとの間では、資本云々の前に事業面での協業を検討しているケースがあります。そんな中でたまたまスタートアップ側の調達ラウンドが近づいてきたら、お互いに感じているシナジーがあって、両者の関係をより濃くするという話ができて、そこで初めてファイナンスの話になる。資本のところは資本、事業のところは事業。点と点が結ばれたら、業務資本提携に進むという感じですね。
ちなみに、私は資金調達完了直後の1年間でも、IR活動として100名以上の投資家さんとの面談を行いました。調達のタイミングで「初めまして」の人から、短いタイムラインで出資を受けられるなんてことは、なかなかハードルがあると思っているからです。会社のことも、私のキャラクターもわからないわけなので。
そのため、調達を実行しないタイミングでも先方の希望があればお会いして、それから日々のコミュニケーションをとって、必要な時に本格検討をお願いをするわけです。
といっても、スタートアップは資金調達の検討というのは常に何かしらしていますから、いろんな人と会っておいて、いざという時にアクセルを踏めるようにしているという言い方もできます。
なお、こうした活動のための小さなノウハウで言えば、他社さんの資金調達のプレスリリースが出ていたら確認して、出ていた株主さんのリストは大体頭に入れるようにしています。その中で、他社のCFOさんに連絡して紹介してもらうケースもあります。
当社もIRチームがあるわけではないので、こういうところを地道に勉強して、頑張って対応しております。
名和星さんがおっしゃった通りで、私たちもマーケットが変化する前に準備したことが最終的に自分達の納得する形に繋がったように思います。私も星さんに負けないくらい頑張らないとと気が引き締まる思いです。
星ここまでマーケットが酷くなってしまうと、調達は全然簡単じゃないですよね。徹底的に準備しなきゃダメだなと思います。
でも、準備したから完璧にできるかというと、そうでもない。スタートアップって、成功確度が高いか低いかというと、基本的には低いともいえます(笑)。だからこそ一定数の種を蒔くというか、断られることも経験の一部くらいで動き続けるべき。数件どころか、もっと断られてもいいはずです。波長や考え方が合う人を見つけていくために、一種必要なプロセスだと個人的には思っています。
事業会社側の企業フェーズと、出資活動の特徴を、細かくリサーチする
及川かなり具体的な話をしてくれていますが、もう少しだけ深掘りさせてください。お聞きしたいのは、事業会社の選定方法やアプローチ手法についてです。
アプローチについては大体出たと思うんですが、選定について追加のお話を聞かせてください。シェアのせめぎ合いや契約条件、出資先の競合、いろんなケースがあると思います。そのあたりについてはいかがでしょう?
名和事業会社は株式のシェアを意識していないという印象を持っています。キャピタルゲインで儲ける部分はもちろんありつつも、それがメインではないことのほうが多い印象ですね。業務提携を通じて、自社のP/Lにどう返すのかに、重点を置いていると感じます。
あとはおっしゃる通り、投資検討してくれている事業会社の視点から、競合会社への影響、取引先の共通化、既存株主に誰がいるかとか、自分達のぱっと見では見えない部分の問題も発生しやすいところかなと思います。
及川出資してもらう事業会社の選定基準として、一つ持っていた方がいいと言えるポイントはどういったものになるんでしょうか?
名和担当者との相性が全てなんじゃないかなと思います。調達のコミュニケーションがうまくいかなかったら、その後もうまくいかないはずです。
例えば、初めてのミーティングが終わったらすぐFacebookの友達申請をお送りして、メッセージを送ってみて、お互いの状況をいつも連絡して、土日に話ができる関係性になれるかどうかを見るとか。
スタートアップなんて土日も含めてずっと働いているところが多いので、その関係性に巻き込めるかというところで、大体のことが決まるんじゃないかと思います。
星そうですよね、本当にそれが全てですよ。辛い時や困っている時に、時間を捻出してくれて相談できる人。人間の信頼関係のようなものができるかが本質的には大きいと思いますね。
それ以外で言うと、事業会社さんの場合、シナジーを生むのがトップダウンで考えた上で大事になります。
例えば、クラウド録画サービスのセーフィーさんは、セコムさんから調達しているんですよね。僕はプレスリリースで、それを見て「そういえば保育施設には、セコムさんが入っているケースも多いな」と思ったのがきっかけで、そこから前職時代の上司にも協力してもらい、なんとか繋がって、ユニファと業務提携をさせていただきました。
まずは理想を頭の中でしっかり描きつつ、現実的に事業会社がどんなフェーズにあるのか、どんなスタートアップと繋がっているかという情報収集をして、そのうえで「自社にとって最適なアクションは何か?」というのを冷静に判断しています。
時代に即したプロダクト『資金調達クラウド』の真価とは?
及川ありがとうございました。事例も交えながら、具体的なお話を多くお聞きできて、勉強になるばかりでした。
ここからは大変僭越ながら……CFOのお2人から見た、弊社サービス『資金調達クラウド』へのフィードバックをいただくというありがたいお時間を少し進められるとありがたくてですね……(笑)。
改めて少しだけ紹介しますね。事業会社から資金と事業シナジーを調達できるプラットフォームサービス『資金調達クラウド』を、最近リリースしました。登録していただくと、事業会社がどういうところに出資したいとか、どういう経営課題があるのか等がわかるようになっています。
スタートアップ側はCEOやCFOの方を中心にご利用いただいていて、今はITの上場企業が多いので、出資が決まるのも早いです。出資企業の担当者が資料を掲載・登録・依頼・マッチングを行うことができて、無料という形のサービスになっています。
ではすみませんがぜひ、コメントをいただけませんでしょうか?
星非常に良いサービスだと思いました。スタートアップは財務的に余裕があるケースは稀なので、相対的に余裕のある大企業側からフィーをとってマッチングを行うモデルは、スタートアップファーストでありがたいですね。逆にいうと、ダウンサイドが大きくないともいえます。
名和私は『M&Aクラウド』を前の会社の時に利用していて、その時からいいサービスだなと思っていました。
やっぱり今でも、着手金だのなんだのがいろいろとかかるような、ハードルの高いサービスをしている仲介会社は多いです。M&Aのハードルを下げてくれたプロダクトが『M&Aクラウド』だと思っていますし、さらに資金調達として使えるようにしてくれたと思っています。
今、私たちが出資検討をする際にM&Aクラウドを使わせていただいていて、調達したい側からいくつかお話をいただくのですが、ここにすごく温度差が出るというか、定型文をばら撒くような企業さんもいらっしゃれば、明確にコンタクト先をターゲットとして文面を作っている企業さんもあります。
サービス自体の問題ではないと思うんですが、使う側の企業の真剣度をどう捉えるかによってサービスの使い勝手が大きく変わってくるので、資金調達を検討している会社はこのような側面も意識した方がいいんじゃないかなと思います。
星難しい面もあるかもしれませんが、ビズリーチさんのように評価やレーティングを入れるのも一つのアイディアかもしれないですね。会話をしたスタートアップ側が出資の成否を別にしてどう感じたのかが分かると、一定の安心感につながりますよね。
及川具体的にありがとうございます!そうですね、慎重に検討する必要はありますが、かなり意味のあるアイデアだと感じます。
もしくは、スタートアップ側の行動に基づくのもアリかもしれません。最近は資金調達が苦しいので、なんとかお金を集めたいという思いで登録される例が増えました。それが見えると良くないのかもしれませんね。改善に活かします。
それではイベントはここまでとさせていただきます。本日は幅広く、示唆に富んだ話をありがとうございました。
この後、登壇者と参加者の交流会となり、さらに具体的な資本政策の相談などのやりとりが行われた。またこのようなイベントを引き続き開催していく。
資金調達の結果やその後の狙いについて語られる機会は増えてきたが、このイベントのように「裏側」が語られる機会は、まだまだ希少だ。そんな中で、名和氏と星氏は特にアグレッシブなCFOとして、余すことなく経験と知見をシェアしてくれた。
スタートアップエコシステムの発展において欠かせないのが出資=資金調達である。アメリカや中国に比べるとマーケットが大きくないという指摘もなされるが、大きな価値を生み出そうと奔走している存在がいることを軽視してはいけない。そんな印象を抱く、良いイベントになったのではないかと思う。
次回開催も決定。オフレコあり!?詳細以下からご確認ください
こちらの記事は2022年12月27日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
執筆
藤本 摩理
写真
藤田 慎一郎
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