増えるスタートアップのM&A。プロが感じる2019年展望と課題

登壇者
及川 厚博
  • 株式会社M&Aクラウド 代表取締役CEO 

大学在学中にマクロパス株式会社を創業。東南アジアの開発拠点を中心としたオフショアでのアプリ開発事業を展開し、4年で年商数億円規模まで成長。別の事業に集中するため、2015年に同事業を数億円で事業譲渡。その際に、売却価格の算定と買い手探しのアナログな点に非常に苦労した。また、自分自身が事業承継問題の当事者であり、中小ベンチャーのM&Aに興味を持った。これらの課題をテクノロジーの力で解決したいという思いから、株式会社M&Aクラウドを設立。Forbes NEXT UNDER 30選出。

本間 真彦
  • インキュベイトファンド株式会社 General Partner 

慶應義塾大学卒業後、ジャフコの海外投資部門にて、シリコンバレーやイスラエルのIT企業への投資、JV設立、日本進出業務を行う。アクセンチュアのコーポレートデベロップメント及びベンチャーキャピタル部門に勤務。その後、三菱商事傘下のワークスキャピタルにてMonotaRO社等、創業投資からIPOを経験。2007年にベンチャーキャピタリストとして独立。ネット事業の創業投資に特化したファンド、コアピープルパートナーズを設立。10倍のファンドリターンを出す。2010年にインキュベイトファンド設立、代表パートナー就任。国内投資に加えて、シリコンバレー、インド、及び東南アジアの海外ファンドの統括も行う。

寺田 修輔
  • 株式会社じげん 取締役 執行役員 CFO 

東京大学卒業後、2009年、シティグループ証券入社。不動産、REIT、住宅、建設、住宅設備業界の株式調査業務、財務アドバイザリー業務に従事し、2014年より不動産チームヘッド。2016年、経営戦略部部長としてじげん入社。現在は取締役執行役員CFOとして経営戦略部、経営管理部を管掌。2016 Thomson Reuters Analyst Awards Japan 1位(家庭用耐久財収益部門)。Chartered Financial Analyst(CFA協会認定証券アナリスト)。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)。

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2018年12月18日、インキュベイトファンドオフィス (六本木) にて、FastGrow x M&Aクラウド共催のイベント「【M&A 2018】買収・売却のプロ3名が語る、今年を彩るM&Aと今後のトレンド」が開催されました。

モデレーターには、国内唯一の「買い手が見えるM&Aプラットフォーム」を運営するM&Aクラウド代表 及川厚博氏を、登壇者には、国内・東南アジア・インドなど300社以上に投資する、シードステージに特化したVC・インキュベイトファンドで代表パートナーを務める本間真彦氏、およびライフメディアプラットフォーム事業を運営し過去12件のM&Aを実施してきた株式会社じげん取締役執行役員CFO 寺田修輔氏をそれぞれお迎えし、2018年M&A市況を、プロの視点でディスカッションしていただきました。

※このコンテンツはM&Aクラウド社により制作されたものです。

  • TEXT BY TAKUMA MORI

及川インキュベイトファンドさんはM&Aクラウドの株主であり、じげんさんは、弊社のサービスである『M&Aクラウド』の立ち上げ当初から掲載いただいたという、僕にとっても深い関わりのあるお二人にお越しいただきました。本日はよろしくお願いいたします。まず、お二人の簡単な自己紹介をお願いします。

本間よろしくお願いします。我々は約8、9年前にスタートしたベンチャーキャピタルで、主にシード・アーリーステージのスタートアップを中心に、現在約300社、約440億円の運用をしています。M&Aクラウドさんにも今年、投資させていただきました。GP4人は全員VC出身で、起業家の創業当初からサポートしています。最近では海外スタートアップへの投資も加速し、東南アジアで30社、インドで10社投資しています。

我々のチーム編成も大きな特徴で、投資を実行する「Investmentチーム」の他、アカウンティングやHR、リーガルも含めて投資先を直接支援する「Operation&Platformチーム」、マーケティングのグロースハックやテクノロジーの監査を支援する「Professionalチーム」などを有し、支援方法の充実化を図っています。

今年はLINEによるGateboxの買収や、マネックス証券によるコインチェックのような大規模M&A案件にも携わり、投資先の中から、年に3-4社はM&Aを果たしているというところです。IPOでも、過去、gumi、VOYAGE、GameWithなど、創業当時から投資、支援させていただいたスタートアップがIPOを果たしています。

時代の潮流に合わせて投資注力領域を変え、日本を代表するスタートアップをゼロから立ち上げています。時価総額上位のスタートアップのうち、IT系だけを見れば4割程は我々の投資先です。M&Aクラウドさんも、早くここにきてほしいです(笑)。

寺田じげんはメディアのプラットフォームを運営しており、人材、不動産、自動車、最近では旅行などに領域を広げています。私は現在CFOを担当しております。元々は投資銀行で株のアナリストとして、不動産・建設・住宅セグメントを担当していました。

じげんでは、「メディアユーザーやそのアクション数を増やす、送客力の強化」「プラットフォームに参画する法人数を増やす、顧客基盤の拡大」「ユーザーと企業・情報をマッチングさせるテクノロジーを横展開する、領域の拡張」という3つの方向性を成長施策として考えています。

中でも、「顧客基盤の拡大」、特に中小規模の法人企業アカウン数トを数千数万単位に増やし、かつ領域を広げることを優先課題としており、その手段としてM&Aを活用しています。創業以来増収増益を続けておりますが、毎年、何らかの新規事業立ち上げ、又はM&Aによる新事業展開を行っております。M&Aにおいては、ハンズオン型の事業成長をコアとしており、M&A後にその事業を大きく伸ばしている実績も多数有しています。

現在弊社では、採用も積極的に進めており、本日お越しの皆様の中でキャリアをお考えの方がいらっしゃいましたら、ぜひこの後にでもお声がけいただければと思います(笑)。

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テーマ1: 3名が取り上げたい2018年のM&Aトレンドと注目事例は?

及川それでは、さっそくパネルディスカッションに写っていきたいと思います。まずお二人から見て、今年を象徴するM&Aはどんなものであったかをお聞かせいただけますか。

トレンド1: インターネット業界の成熟化が徐々に進行

寺田まず大きなトレンドとしては、事業環境として、インターネット広告ビジネス自体が、これまでの成長産業から徐々に成熟産業に移行してきたことは大きな風潮だと思います。電通とセプテーニ・ホールディングスの資本業務提携や、伊藤忠商事とフリークアウト・ホールディングスの資本業務提携などにもみられるように、インターネット事業とリアルとの結合や、大企業と連携していくことが一層求められるようになってきているのだと思います。

本間マーケットの成熟が進んでくると、上場して独立独歩で歩んでいくのではなく、M&Aを含めた金融的アプローチによる成長戦略が一層求められてくるのではないかと思います。スタートアップのみなさんにとっては『インターネット業界のマーケットが成熟してきた』という点が、注目すべき点です。上場した会社がマーケット上で競争の結果、、統合していくというシチュエーションは、日本のIT業界においてこれまであまりありませんでした。

インターネット業界においては、皆さんご存知だと思いますが、GoogleやFacebookのような巨大企業による市場の寡占化・成熟化が進み、同じようなことが広告業界にも生じています。そんな中で、独立独歩ではうまくいかない中、今後マーケットで勝ち抜いていくにはどうすれば良いかと、大企業同士がお互いに考え抜いた結果であると思います。

トレンド2: 上場企業へのTOBの加速

寺田日本の上場企業約3,600社の中には、時価総額で数億円、数十億円といった企業も多く存在します。上場には決算や内部統制の対応コストかさみ、むしろ経営戦略の幅が狭まってしまうというリスクも伴います。

また、資金を持っているけど効率的に経営できない上場企業に対する、資本市場からの圧力は近年強まりつつあります。XTechグループによるエキサイトのTOBなどは、その大きな事例です。またくふうカンパニーの事例 [オウチーノとみんなのウェディングの共同株式移転により設立。クックパッド元代表の穐田誉輝氏が取締役会長に就任 :筆者追記] もあわせて、小規模な上場企業が資本構成を大きく変えて攻めの姿勢に転じようとする動きには、今後も注目したいです。

本間くふうカンパニーの穐田さんは実は私の先輩ですし、XTechの西條さんも、XTech Venturesに我々も出資しているということもあり、二人とも近しい間柄です。お二人の場合もそうでしたが、このようなTOBの場合、自分が経営者として乗り込めるような、投資家兼経営者になれる人がいれば成功に導きやすいという点があります。まだまだそうした人は少ないですが。ただし、キャリアとしてはビジネスチャンスであると思います。『1回社長を経験者したには、社長のポジションが回ってきやすい』です。TOBにおいて、被買収企業側の経営ポジションに適する人というものを、オーナー側は常に求めますので、そうしたキャリアの面でオポチュニティが増えるという側面もありますね。

トレンド3: M&Aによる取得企業の減損の動き

寺田M&Aのディールというのは、初めて発表したときを除けば、減損損失が計上されたときに最も注目されやすい、という皮肉があります。スタートアップ界隈及び比較的オールドエコノミーと呼ばれる領域においても、今年はM&Aをした企業や事業の減損損失だったり取得簿価以下での売却だったりというニュースが世を騒がせました。特に、『売った側』のレピュテーションを事後的にお金で取り戻すことはできません。売却金額はもちろん大事ですが、売り手企業の経営陣や株主の皆様には、バイアウトを考える際、どの買い手と組むことで将来的に事業を伸ばせるか、という点をより真剣に見て頂きたいなと思います。

及川本間さんから見て、VCとして、減損はどのように映りますか。

本間僕らも、出資先の企業が、ワンタイムでうまく売り抜けるのではなく、中長期的に成長していけるようなエグジットを目指さなければならないと思っています。やはり、自分が出資してきた会社を綺麗な形で受け渡し、中長期的に、ハッピーな形で成長を続けていってほしいと思います。高ければ売ってもいいというわけではなく、起業家側には中長期で見て正しい判断をしていただきたいと思います。

トレンド4: M&Aプラットフォーム事業者の台頭

寺田M&Aマーケットという意味では、今年は、トランビが11億円の資金調達を行ったり、ビズリーチが事業承継に特化した『ビズリーチサクシード』をローンチしたり、また日本M&Aセンターが『バトンズ』というマッチングサイトを立ち上げたりするなど、新たなプレーヤーが続々と登場した年でもありました。日本の人口は既に減少局面に入っていますが、各産業におけるオーパーサプライという構造課題は解消しておらず、企業の統廃合、新陳代謝はあまり進んでいません。。日本でM&Aがなかなか活性化しない要因として、組織文化や資本市場の構造、税制等が挙げられることも多いですが、個人的には仲介業者の高額な手数料や会計上ののれんの問題なども一因ではないかと考えています。

M&Aのプラットフォーム型サービスが増えてくれば、ソーシング、マッチング、交渉、エグゼキューション、クロージングといった各段階がもっと分業化され、そこで様々な特化型プレーヤーが登場し、M&Aマーケットが活性化していくのではないかとの期待を持っています。

及川M&Aクラウドはどうすれば勝てますか?(笑)

本間VCというのは、Face to faceでミーティングして潜在性の高いスタートアップを発見するというオールドファッションなやり方が、実はVC誕生以来50年変わらず行われているのです。起業家と会うための手段、ミーティングやアドバイス、投資の実行、その後のハンズオンなど、すべてをVCが一手に行う必要はなく、分業化してそれぞれの分野に特化するなど、テクノロジーの力で効率化をする可能性は十分にあると思っています。同じようなことがM&Aにも起きていて、例えばソーシングの部分では、まだまだ人脈を利用したソーシングなど、属人的な要素が大きく残っています。今後事業承継問題といった社会的テーマもある中、M&Aは巨大なマーケットであり、成長市場にあると思います。

寺田新興のM&Aプラットフォーム事業者の中には、新しい付加価値を提供するというよりは、既存の仲介業者のフォロワーに過ぎないプレーヤーもいます。もちろんM&Aの実行にあたりフルカバレッジでサービス提供してくれることはメリットですが、その時のフェーズに応じた多様な選択肢を提供してくれることも、買い手にとっては重視したい部分です。例えば、自分たちでM&Aのエグゼキューションノウハウを蓄積してきた買い手にとっては、ソーシングの部分だけ仲介の手を借りたいというニーズも存在するはずです。

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テーマ2:M&Aを成功に導くためには?

及川M&Aの成功を何に置くかという点も含めて、成功に導くためのコツを教えてください。

本間M&Aの成立を成功とするなら、まず、高く売れることが良いディールであるとは限りません。高い給料の会社に就職することが良い就職ではないということと同じです。売却価格も含め、どのような事業を行って、どのようなことを成し遂げていきたいのかという価値観を見極めることが最初です。

また、売りたい人が売れない不思議なマーケットだとも思っています。かつて投資先で起きたM&Aは、増資のタイミング、スタートアップが成長を見込んだ資金調達のタイミングで、事業会社から「それならこういう組み方したい」という提案があり、出資・M&Aに至るという絵が多くありました。「売りたい」という気持ちよりも、いいアセットを作るのにまい進していれば、従業員にもそれが伝わるし、買い手にもそれは必ず伝わるものです。

寺田我々は買い手として、『持続性のある資産』を見ています。スタートアップがJカーブを描く中で、ユーザー獲得だけに躍起になるのではなく、取引先基盤の獲得を狙っているようなプレーヤーには注目しています。ユーザー獲得と比較して、法人顧客を集めるには時間も労力もかかるためです。

及川買い手として、M&Aの成功とは何だとお考えでしょうか。

寺田成否はPMIで決まります。自主経営に任せすぎるのでも買い手の価値観を押し付けすぎるのでもなく、アップサイドを共創するため、お互いに出せる知恵と労力を惜しまないことが肝要かと思います。

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テーマ3:加速するスタートアップのM&Aについてどう思う?

本間我々は、はじめからM&Aを意図しているわけではなく、スタートアップとして価値あるサービス・製品をつくり、スケールしていくということが第一です。その中で、マーケット想定の差異や競争環境の変化に応じて、その時点で適した変曲点での選択としてM&Aがあると思っています。そうした中で、自社のリソースだけでこのまま成長を続けていくのか、それとも大企業に売却して成長を見込むのか、オーナーだけでなく従業員の将来も考えた冷静な判断をする必要があるんじゃないかなと思っています。

寺田変曲点という意味で、業界が成熟して変曲点にくることもあるが、景気悪化で、ファイナンスが難しくなるというケースもあります。ファイナンス環境が悪化し、M&Aが加速しなかった場合、どうなるのでしょうか?

本間そうした可能性も十分考えられます。我々の投資先でも、シリーズAを超えても、上場を目指すにあたって、業界のポジショニングやサービス自体のグロースの限界が見え始め、かつIPOまで時間を要する場合には、資金調達に苦労するケースが見られます。

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テーマ4:今後M&Aのトレンドはどうなっていく?

及川実は、僕自身、父が不動産会社を経営しており、事業継承の当事者でもあります。事業継承にも様々な形があると思いますが、今後どのような動きがあるとみていますか。

寺田M&Aプラットフォームの運営会社が必ずピッチに入れているのが、日本では事業承継先がいない中小企業が何万社あって、それが巨大なビジネスチャンスで…という話です。ただ、確かに後継者不足に悩む事業者が多いことは真であるものの、トラディショナルな業界において、そこまで優良な案件というものをあまり見たことがありません。そこに何かのボトルネックがあるのかはわかりませんが、事業継承M&Aにあたって良い案件を発掘することが、最初の課題になると思います。

及川いい案件とは、どのような定義でしょうか。

寺田例えば、『地方にある会社で売り上げ10億円、営業利益1億円』と聞くと確かにすばらしいですが、先ほど述べたような『持続性のある資産』がなかったりします。大手企業の下請けの仕事だけに依存しているケースなどです。それも、仕事を取ってくるのがオーナーの人脈に依存していたりすると、キーマンであるオーナーがいなくなった瞬間に、その持続性が疑われます。

地方銀行などは、企業の財務情報持っているはずなのにもかかわらず、それがマーケットに出てこないという現状もあります。事業継承に困っている企業が何万社、という見方ではなく、その中で実際にマネタイズできるのは何社くらいか、という視点が、事業継承をする側としては注目したいところです。

及川事業承継の売り手の選択肢として、VCというものはあり得ますか?

本間プライベートエクイティの人からも「事業継承にあたって良い案件はそれほど多くない」という声を聴きます。PEファンドが事業継承の助役として名乗り出て長いですが、言われ続けているほど大きなマーケットなのかというのは、わかりません。。事業継承については、すでに事業内容も、顧客基盤も、ある程度確立しています。スタートアップの若い人材が事業継承に乗り出すというトピックも増えては来ると思いますが、こうした中で、VCが関わることは少ないと思います。

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テーマ5:さらなる国内市場の活性のために、M&Aマーケットはどうなるべきか?

及川金融面や法律面なども含め、M&Aが行われやすい世の中とはどのようなものかを教えてください。

寺田ひとつは仲介業者の手数料の最適化ですが、もう一つは、のれんの問題を感じます。日本には『超過省益力への対価であるのれんを毎年一定額償却して費用計上する』という会計基準があります。これは、IFRSの『超過収益力が落ちているかどうかを毎年テストし、帳簿価額よりも公正価値が毀損したと判断した段階で費用計上する』というものと異なる部分です。例えばじげんは、2014年にリジョブという理美容特化型求人メディアを運営する企業を完全子会社化しました。株式取得後、増収増益を続けているわけですが、そのリジョブの超過収益力が毎年減耗しているとは考えづらい。にもかかわらず、日本の会計基準に則って償却費を計上する必要がある。取得価額と対象企業の純資産との乖離が大きくのれんが巨額になると、のれん償却費が償却前の利益を上回ってしまい財務会計上は赤字になることを『のれん負けする』などと言いますが、これが買い手のM&A意欲をそぐ一つの要因であると思います。

本間インターネットやソフトといったサービス業において、成長の一つの大きな手段として、M&Aがあると思っています。しかし、M&Aを行うことがまだまだ特殊であるという見方が日本では強いです。事業会社側に金融が分かる人材が必要ですし、逆に金融側にも事業のわかる人材が必要です。Softbankの孫さんのように、事業と金融の両面を持ち合わせて、金融的アプローチで会社を成長させていくような手法をとる経営者が少ないということです。

及川スタートアップのExitとして、大型のM&Aというものがあると思います。そうしたものが増えていくためにはどのようなことが必要でしょうか。

本間大型M&Aをやるためには、それだけのキャッシュを持っている必要があります。本業への投資や従業員への還元も含めると、M&Aで使えるキャッシュというものはそれなりに決まってきます。大事なのは、このまま単独でやっていっては、いずれ自分たちの事業が縮小するという危機感からM&Aが生まれるということであり、M&Aが目的になるのではなく、戦略ドリブンでM&Aの手法をとる必要があります。

寺田我々はこれまで計12件のM&Aを発表し、その総額は約100億円です。1件で100億円規模のM&Aを検討したこともあります。M&Aは大きな労力がかかるため、リスクマネジメントや体制が整っていることが重要です。またM&A後、ハンズオンで経営を担っていける体制が整っている必要があります。ディールの手法自体はある程度体系化できるものですが、ハンズオンでM&A先の会社に経営陣を派遣することも考えると、案件の件数をひたすら重ねていくことは容易ではありません。一件あたりの規模が大きいほうが、総合的に見て、企業の経営効率が高まるというメリットはあるかもしれません。

こちらの記事は2019年02月14日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

森 琢麻

M&Aクラウド ライティング担当

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