連載大企業にも負けてない!働き方の革命に挑むベンチャー企業12選

大企業にも負けてない!
働き方の革命に挑むベンチャー企業12選(前編)

近年、フリーランサーの増加やリモートワークの普及により、個人のワークスタイルに合わせた多様な働き方が認められるようになってきている。

企業側としても優秀な人材の獲得チャンスを逃すことになると、勤務制度の改革に積極的な企業もあるようだ。

今回はFastGrow注目の、働き方改革をリードするベンチャー企業12社を紹介しよう。

  • TEXT BY FastGrow Editorial
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ワークライフバランスを重視しながら、ビジネス職もエンジニア職も平等に評価される環境

Fringe81株式会社

Fringe81は、2005年に創業されたAdTech関連システム・ツールの自社開発、および広告企画・運用代理業を行うベンチャー企業だ。最近では、2017年5月23日に上場が承認され(上場予定日:2017年6月27日)たことでも注目を集めた。

広告技術を中心とした事業開発会社 | Fringe81株式会社

全従業員130名のうち3分の1をエンジニアが占めている同社だが、驚くことに「3年以上エンジニア離職率ゼロ」を誇っている。

その秘訣は、ビジネス職とエンジニア職が平等に評価される環境である。一般的に営業職に付与しやすい「成果給」をFringe81では全社員に導入している。また、『発見大賞』という名のMVP制度も注目だ。自分以外の良い働きをしている社員を投票しあい、一番『発見』された人を表彰する、という仕組みだ。

一般的にMVPというと、定量的な成果を上げやすいビジネスサイドのメンバーが表彰される傾向にあるが、この制度の導入により、短期的に成果にはならないが組織に対して重要な貢献をしているメンバーにフォーカスが当たる機会が増えたという。

この他にも、13~15時の2時間のみをコアタイムとするフレックス制を導入するなど、個人のワークライフバランスを重視できる勤務制度も働きやすい環境構築に貢献しているであろう。

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働きやすさ×事業家輩出を目指す上場企業

株式会社LIFULL

”世界中のあらゆるLIFEを、安心と喜びで『FULL』にしたい”という思いの元、2025年までに100ヵ国に進出し、100社の会社を展開することを目指す「LIFULL」

現在子会社の数は20社弱まで増加しているが、100社100ヵ国を達成するためにも、同社には事業開発を活発化させる制度が設けられている。

1つ目は新規事業提案ができる『Switch』

同制度を利用して、2012年には新卒2年目の社員が優秀賞を獲得し、新卒3年目で『HOME'Sトランクルーム(現LIFULLトランクルーム)』を立ち上げた。

2つ目は、googleの20%ルールのような制度『クリエイターの日』

希望者は特設プロジェクトを提案し、業務時間の10%を使って合宿形式の研究開発を行うことができる。

このプロジェクト内の成果として、過去には『LIFULL HOME'S』のアプリや、いくつかの社内ツールが開発されている。

LIFULL – あらゆるLIFEを、FULLに。 | 株式会社LIFULL(ライフル)

その他にも、社員の約3割が利用する社内大学が開校していたり、男性の育児休暇取得率18.2%(国内平均2%)、2015年以来育休復帰率が100%であったりと働きやすい環境が整えられている。

そうした取り組みの結果、株式会社リンクアンドモチベーションが主催する『ベストモチベーションカンパニーアワード2017』において第1位を受賞するなど、社外からも『働きやすい会社』として注目を集めている。

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シリコンバレーのような快適な環境を求めた神山のサテライトオフィス

Sansan株式会社

Sansanは、 社内にあるすべての名刺を集約し管理するクラウド名刺管理サービス「Sansan」を提供している。TV CMやWEB上での露出が多いため説明不要かもしれないが、名刺の価値を最大化しようというのが同サービスのコンセプトだ。

Sansan株式会社

例えば、個人に紐づいていた営業先の情報を、部署の垣根を超えて共有することで、営業チャンスを広げるというような使い方だ。

Sansanを語る上で避けられないのは、徳島県神山のサテライトオフィスであろう。

サテライトオフィスをつくることを決めたのは代表取締役の寺田氏。シリコンバレーでの勤務時代、おおらかな西海岸でストレスなく働き、成功してきた数々のスタートアップを目にしてきた。

その経験から、働きやすい環境で働くことも、成果を出すための必要条件ではないか、と考えるようになり、通信環境が良い神山にオフィス開設を決めた。

現在では新卒の社員研修のほか、新サービス開発時の合宿に使用する、期間限定で滞在しながら普段と同様の業務を集中環境で行う、というように活用されているようだ。

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個人の事情を考慮しながら、勤務制度を柔軟に創り上げていく

株式会社UNCOVER TRUTH

UNCOVER TRUTHはサイト内でのユーザー行動を可視化するヒートマップツール『USERDIVE』を開発・提供するスタートアップだ。また、ツールの提供と合わせて、購入や申込みといった「WEBサイト上のゴール」に到達するユーザーの割合を向上させるCRO(Conversion Rate Optimization、コンバージョン率最適化)コンサルティングを得意とするのも同社の強みである。

株式会社UNCOVER TRUTH(アンカバートゥルース)

そんなUNCOVER TRUTHでは、様々なライフステージの従業員を雇用し、それぞれに合わせた勤務制度を整えている。「プロフェッショナルとして結果が伴えば、働き方は個人の自由」「能力以外の理由で優秀な人材を採用できないのはもったいない」という企業スタンスの現れだ。

これは裏を返すと「自由と責任は同居する」という考え方でもある。自己の業務に責任を持ち結果を出すことと、仲間に配慮した行動をすること、この2点が自他共に認められれば、個々の事情に合わせて柔軟に勤務形態を整備する方針を取っている。

例えば「育児のために退社時間は早くしたいが、時短勤務ではなく正社員と同じ条件で働きたい」という女性を採用する際には、時短勤務後の平日夜に1時間の在宅作業を認め、正社員同様の条件で雇用している。

他にも「思考する日とプログラムを書く日を交互に確保したい」というエンジニアには、1日おきに出社と在宅勤務を切り替えられる出勤体系を認めていたり、東京勤務が困難な場合、フルリモート勤務を認めているケースもある。

しかし、初めからこのような雇用状況を意図して勤務制度が設計されているわけではない。

「やってみて問題が起こったときに改善するほうが早い」という方針により、個人の事情を考慮しつつ、勤務状況や成果への細かいフィードバックを重ねながら制度を固めていくというプロセスがUNCOVER TRUTHのユニークな点である。

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ホラクラシー型組織で全社員に自由と責任を与える

株式会社アトラエ

アトラエは、『世界中の人々を魅了する会社を創る』というミッションの元日々、社員一丸となって理想的な組織作りを目指す会社だ。

その結果行きついたのが、社員1人1人が本気で夢や目標に向かって仲間とともに切磋琢磨する“スポーツチームのような”組織形態である。

“スポーツチームのような”組織形態とは、出世や役職という概念をなくしたフラットな組織のこと。現在では同様な組織を『ホラクラシー型組織』として認知され始めている。

しかし同社は創業の2003年以来この組織運営を行っており、日本において最も先進的なホラクラシー型組織だと言えよう。

では、ホラクラシー型組織には、どんなメリットがあるのか?

1つ目のメリットとして、新規事業が社員のアイデアによって生まれやすいことが挙げられる。

主力サービスの求人メディア『Green』以外の2つの事業である、マッチングアプリ『yenta』、従業員の満足度やストレスを図る『wevox』は、社員のアイデアから生まれた新規事業だ。

株式会社アトラエ | Atrae, Inc.

2つ目のメリットは、フラットな組織であるため、基本的に人を管理する必要がないことであろう。そのためアトラエでは、社員自身が自分の働き方を、最高のパフォーマンスで働けるように設計することができる。

自由な働き方としてリモートで働く社員もいれば、子供を連れてくる社員もいる。また、昼寝も自由で、ペットと一緒に出社することも許されているという。

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新規事業が続々立ち上がるのに、19時退社を推奨

イタンジ株式会社

イタンジは、無店舗型のインターネット不動産仲介サービス「nomad」をはじめとしたAIを用いたシステムを提供している不動産×ITのテクノロジー企業である。

イタンジ株式会社

最も特筆すべき制度は、「新規事業は稟議や社内申請を必要とせず、誰でも自由に立ち上げて良い」というルールだ。

なぜそのようなルールが生まれたのか。

イタンジでは過去に、社員のアイデアから生まれ、現在コア事業となっている事業『ぶっかくん』が倒産の危機を救ったことがあるからだ。

それ以降社内では、「イノベーションに繋がる事業はロジックではうまくいくかどうか説明できない」という考えが定着したという。

また、イタンジは社員30人前後、資金調達もしているスタートアップでありながら、働き方はベンチャー企業にありがちな、“夜遅くまで働くハードワーク”とは一線を画す。

19時退社を推奨し、エンジニアを始めとしたメンバーが学習したり、社外の人と交流し新しいインサイトを従業員が得たりできる制度設計を意識している。

「投入する労働量を増やすのではなく仕組みそのものを見直し、改善ではなくイノベーションを起こすことに集中するべき」という考え方が社内で共有されているためである。

こちらの記事は2017年06月09日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

FastGrow編集部

連載大企業にも負けてない!働き方の革命に挑むベンチャー企業12選

2記事 | 最終更新 2017.06.12

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