連載スタートアップを知りたいならここを見よ!FastGrow注目スタートアップ特集──FastGrow Pitchレポート

“サブスク型”複業マッチング、プログラミング学習の先駆者。独自路線を走るスタートアップが集結──FastGrow Pitchレポート

登壇者
大林 尚朝

複業エバンジェリスト。1992年生まれ、大分県出身。早稲田大学法学部卒業。パソナグループに新卒入社後、株式会社ビズリーチ(現.ビジョナル株式会社)での事業立ち上げ経験を経て、2019年、株式会社Another works創業。著書『スキルマッチング型複業(副業)の実践書』。

宮林 卓也

1983年生まれ。大学卒業後、大手不動産企業で営業を担当。その後人材系ベンチャー企業で経営管理や人事責任者を歴任し、経理業務や評価制度の策定などに従事。株式会社ZUUではIPOを達成。2019年1月に株式会社Progateに入社。財務、バックオフィス業務全般、組織戦略に携わり、海外進出や事業拡大において会社の成長を支える。

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「イノベーターの成長を支援し、未来社会を共創する」をミッションに掲げるFastGrowが、「この会社、将来大きなイノベーション興しそうだ!」と注目するスタートアップをお呼びして、毎週木曜朝7時にオンライン開催する「FastGrow Pitch」。

登壇するスタートアップが目指すビジョンや事業内容、創業ストーリー、どんな仲間を探しているのかなどをピッチ形式で語るイベントだ。

本記事では、ピッチの模様をダイジェスト形式でお届けする。登壇したのは、株式会社Another works、株式会社Progateの2社(登壇順)だ。

  • TEXT BY OHATA TOMOKO
  • EDIT BY HARUKA MUKAI
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株式会社Another works
成功報酬は無料!
人と企業をつなぐ“サブスク型”複業マッチングプラットフォーム

株式会社Another works

最初に登壇したのは、『Another works』を開発・運営しているAnother works代表取締役の大林尚朝氏。

『Another works』は、複業をしたい人と企業をつなぐマッチングプラットフォームだ。複業をしたいユーザーが職種やスキルなどを登録すると、自分に合った複業案件にエントリーしたり、企業からメッセージを受け取ったりできる。企業ユーザーは、求める職種やスキルから複業を希望している人を探し、直接メッセージでやりとりが可能だ。

最低で月額29,000円と安価に利用できる点が大きな特徴で、企業ユーザーは成約手数料や採用手数料も不要。“1万4千人を超える複業人材”から何人でも採用できることだ。大林氏は「Netflixの複業人材版を目指している」と形容する。

サブスクリプション型を選んだ背景には既存の採用サービスをめぐる課題がある。

大林既存の人材マッチングプラットフォームの多くは、企業ユーザー側が一定の成約手数料や採用手数料を支払う必要があります。正社員の場合は平均して年収の35%前後、業務委託社員でも50万円前後はかかります。支払う余裕のない中小企業やベンチャー企業も少なくないでしょう。

『Another works』の月額料金はそうした企業の方にとっても手の届く価格に抑えています。中間マージンなども一切発生しません。

もう一つの特徴として大林氏が挙げたのは、人材のデータベースを企業ユーザーへ公開している点だ。「営業担当から該当するレジュメだけを受け取るのではなく、自分たちで求めている人材と出会うことができる」と言う。データベースには営業やエンジニア、マーケター、人事労務など幅広い職種の複業人材が登録しているそうだ。

こうした特徴的な仕組みには、大林氏の「採用」と「プラットフォームビジネス」にまつわる知見や経験が活かされている。

大林大学時代から新卒採用コンサルのベンチャー企業でマーケティング責任者を担当していました。パソナに新卒入社してからは、顧問やフリーランスなど複業の人材紹介事業に携わりました。

その過程で採用現場の課題感や変えたい部分を見つけ『Another works』の仕組みを着想したのですが、今の自分にはプラットフォームとして勝つための知識が不足していると思っていたんです。

その際に、ご縁があってビズリーチでM&A領域のプラットフォーム立ち上げに従事する機会をいただいて。非常に実りある経験を積むことができました。

その後、大林氏は2019年5月7日、令和最初の営業日に創業した。現在、有料課金で『Another works』を導入する企業数は累計300社を超える。最近では企業のみならず、地方自治体と連携し、地方創生に向けた複業人材の登用にも取り組んでいる。

コロナ禍による企業や個人に訪れた変化にも触れながら、今後の展望を語った。

大林新型コロナウィルス感染症の流行以降、リモートワークや在宅勤務でも役割分担や成果の評価がしやすいとして、複業や業務委託人材をジョブ型で採用する企業が増えています。

採用される側の個人も、一社でキャリアを積む不安やリモートワークによる可処分時間の増加から、複業や業務委託といった働き方に注目していると言われています。第二、第三の働き口として複業のニーズが高まっている。

『Another works』を通て、一時的なブームではなく新たな文化として、『複業』を広げていきたいと考えています。

さらなる成長を見据える大林氏。「セールスやエンジニアを募集していますので、複業やベンチャー、HRテックにご興味ある方はぜひお気軽にご連絡ください!」とピッチを締めくくった。

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株式会社Progate
初心者に徹底的に寄り添うオンラインプログラミング学習サービス

株式会社Progate

続いて登壇したのは、オンラインプログラミング学習サービス『Progate』を開発・運営するProgateでCOOを務める宮林卓也氏。

参考記事

『Progate』は、ウェブサイト制作やアプリ開発などに必要なプログラミング言語を、月額980円で学習できるサービスだ。宮林氏はその特徴として「紙の絵本より直感的で動画よりも学びやすいスライド学習」を挙げる。

宮林プログラミングを学ぶときに、まずは紙の本を探される方がいるのですが、初心者向けの本のなかには、専門用語が多くてわかりづらいものも少なくありません。

最近ではYouTubeにもわかりやすい解説動画が沢山ありますが、動画だとコードを書く度に動画を止めて作業する必要があるなど、自分のペースで取り組むことが難しい。

『Progate』では絵本のようにわかりやすいスライドを見ながら、学んだ内容をすぐ近くのウィンドウに入力し、反映された内容を確かめることができます。

加えてブラウザから利用できるため、初心者にとってハードルになりやすい「環境構築」なども一切不要です。誰でも気軽かつ自分のペースで学習を進められます。

全15コース82レッスンのうち基礎レッスンは無料で利用できるという。初心者にとってのハードルを徹底的に取り除き「5分後には、学べる」体験を創る。そのサービス思想には、Progateのミッション『Be the Gate,Be the Path(初心者から、創れる人を生み出す)』(宮林氏による短縮版)が反映されている。

宮林プログラミングはあらゆる人の可能性を広げてくれるものだと信じています。だからこそProgateは、プログラミング世界への最初の「Gate(入り口)」であり、「もっと作りたい」や「もっと楽しみたい」を追究する「 Path(道のり)」でありたいと考えています。

実際に、現在では初心者の入り口となるプログラミング学習サービスとして地位を確立しているが、今後は対象ユーザーを拡大し、コンピューターサイエンスやその他STEM分野等への拡大も狙って行くという。

現在世界で約200万人に利用されている『Progate』。海外にも着々と「入り口」を広げている。インドやインドネシアには子会社を設立し、現地のユーザー数を伸ばしている。

宮林特にインドネシアでは2020年1月時点で約8万6000人の方に利用されています。ここまでシェアを伸ばせたのは徹底したローカライズを行ったことが大きいと考えています。

インドネシアに住む人々の多くはインドネシア語を使用しています。けれど現地のプログラミングの学習教材は英語表記のものが多かったんです。特にプログラミング初心者にとってはハードルが高かったはずです。

そこでProgateでは英語版とインドネシア語の両方を実験的にリリースすると、90%の人がインドネシア語を利用していました。それが今の成長にも繋がっているのではと考えています。

今後はインドネシアにとどまらずアジアの他地域へも積極的に展開する予定だ。「エンジニア中心に採用を募集しています。ご興味ある方はぜひお問い合わせください」と参加者に呼びかけた。

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記念すべき第30回目となったこの日は、“サブスク”型の複業マッチングや、“初心者向け”を徹底したプログラミング学習ツールなど独自の価値を創出している企業が登壇した。

今後も毎週木曜朝7時の「FastGrow Pitch」では、注目スタートアップが登壇し、自ら事業や組織について語る機会をお届けしていく。ぜひチェックしてほしい。

こちらの記事は2021年02月03日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

大畑 朋子

1999年、神奈川県出身。2020年11月よりinquireに所属し、編集アシスタント業務を担当。株式会社INFINITY AGENTSにて、SNSマーケティングを行う。関心はビジネス、キャリアなど。

編集

向 晴香

inquire所属の編集者・ライター。関心領域はメディアビジネスとジャーナリズム。ソフトウェアの翻訳アルバイトを経て、テクノロジーやソーシャルビジネスに関するメディアに携わる。教育系ベンチャーでオウンドメディア施策を担当した後、独立。趣味はTBSラジオとハロプロ

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