連載ユナイテッド株式会社
コンサル×事業開発経験は、事業家キャリアの最適解か?──コンサル出身組が感じた、ユナイテッドでしか得られない“挑戦機会”とは
Sponsoredベンチャー・スタートアップ界隈において、若手の急成長を謳う企業は多く存在する。
一方で、たとえば10年の社会人経験を積み、プロフェッショナルスキルを備えた中途転職者に対しても、同じように成長を約束し、はたまた事業家になれる環境と機会を提示できる会社はどれだけあるだろうか。
「中途は即戦力人材。いま持っているスキルを発揮して局所で貢献してくれればそれでいい」「経営幹部候補となる事業家人材は、新卒入社の生え抜きから育てる」
そんなスタンスの企業も、決して少なくないはずだ。
そんな中、ベイン・アンド・カンパニー、アクセンチュア、アビームコンサルティングといった、名だたる戦略コンサルティングファーム出身者たちが「事業家へと成長を遂げるべく、常に新たなチャレンジの連続だ」と口を揃える転職先企業がある。
教育事業、人材マッチング事業、投資事業を3つの柱に、事業拡大を遂げるユナイテッドだ。
ユナイテッドの3つのコア事業の全貌を解き明かす、全10回に渡る本連載。前回の8記事目では新卒入社からスタートし、今ではユナイテッドグループの教育事業を牽引するキラメックス株式会社の代表取締役 兼 ユナイテッド取締役を務める樋口氏に取材を実施。若手ビジネスパーソンが事業家へと昇華するための心得が明かされた。
これまでの連載でも明かされた通り、ユナイテッドといえば、新卒2〜3年目の事業責任者を次々と輩出するなど、若手の事業家人材の育成の側面がフューチャーされがち。しかし、もちろん人材育成の手腕は若手に限った話ではない。
戦略コンサルティングファーム出身者たちは、数多ある転職先候補の中から、なぜユナイテッドを選んだのか。若手だけでなくベテランにも与えられるユナイテッドの事業家へと続く成長環境とは。
同社の投資事業本部バリューアップチームでマネージャーを務める松田 和也氏、人材マッチング事業の中核子会社であるカソーク株式会社の代表取締役である関 彩氏、および同社取締役の前中 貴斗氏の3名に、お話を伺った。
- TEXT BY MARIKO FUJITA
- PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
コンサル時代にはなかった、“生の事業”を扱う緊張感
新卒の就職先として、トップの人気を誇る戦略コンサルティングファーム業界。
多くの優秀な学生たちがこの業界での就職を目指すのは、最速でプロフェッショナルなビジネススキルが身につけられる、そんな成長環境があるとされているからだ。
しかしながら、戦略コンサルティングファームにおいても手に入らないスキルや経験はある。その1つが、“生の事業”を扱う経験、つまり実際に自らがプロダクトやサービスを開発・販売するという経験だ。
東京大学大学院農学生命科学研究科を卒業後、エリクソン・ジャパン、アビームコンサルティング、日本オラクルを経て2022年にユナイテッドに入社した前中氏は、生の事業を扱う難しさについて、「コンサルタント時代には経験したことのなかった“緊張感”がある」と表現する。
前中前職のコンサルティングファームでは、アウトプットのクオリティに異常なまでのこだわりを持つことが評価される場面もありました。しかし、事業会社であるユナイテッドに来てからは、じっくり何かをやっているような時間はありません。事業を前に進めていくために、あらゆる意思決定やアクションをクイックに動かしていく必要があります。
一方で、ただスピードが速ければいいというものでもありません。スピード、クオリティ、全体観……さまざまな要素がある中で、本当に重要なものを見極めて、筋よく“捨てて”いかないと、大事故に至る可能性もあります。短時間で成果を出していかなければならないヒリヒリ感。これは、ある意味でヒエラルキーの保護の下であったコンサルティングファーム時代には、まったく感じたことのない感覚です。
京都大学大学院農学研究を卒業後、ベイン・アンド・カンパニー、ヘアケアプロダクトを扱うメーカーの経営企画を経て2020年にユナイテッドに参画し、現在はカソーク株式会社の代表取締役を務める関氏もまた、「朝令暮改にならざるを得ない」と、生の事業のめまぐるしさを語る。
関前中がお話しした通り、生の事業ではプロジェクトのスコープ(業務範囲)を綺麗に切ることもできないし、そんな時間もありません。組織のいろんな課題が、すべて事業の結果に影響してくる。大事な数字だけは抑えつつ、優先順位をつけて対応していく必要があります。そのための全体観を持つのが、非常に重要だと感じています。
また、コンサルティングファームの場合、すべて材料を揃えた上で戦略を立てて報告を行うので、途中で言っていることが変わるということはあまりありません。
一方、事業においては、刻々と変わる状況に対して「現時点での答え」を示し続けていく必要があります。そのため、文字通りの朝令暮改が起きることも少なくありません。そこに対して少なからず生じる違和感や不安感とは、私自身も現在進行形で向き合っているところです。
「投資先のバリューアップに繋がったか」
だけにフォーカスせよ
また、アクセンチュアにて新規事業・DX戦略策定に携わったのち、2021年にユナイテッドに入社、現在は投資先のバリューアップチームにてマネージャーを務める松田氏は、「仕事のアプローチの仕方自体は大きく変わらない一方で、相対する企業の特性や自社のビジネスモデルの違いから、より戦略によってもたらす利益・成果が求められる」と、コンサルティングファーム時代との違いを語る。
松田経営課題や事業課題を特定し、その解決策を導き出していく、という仕事のアプローチ自体は、コンサルティングファーム自体と類似していると思います。
ただ、コンサルティングファーム時代とは違う点が2つあります。1つ目は、関わる対象企業、2つ目がユナイテッドのビジネスモデルです。
1つ目の対象企業について。ユナイテッドの投資先のバリューアップチームの支援対象は“スタートアップ”です。コンサルティングファームでは、大企業に対して重厚長大な戦略を描くことが多かったのですが、スタートアップの場合は、次の資金調達までのリードタイムが1年前後と短期間なことが多く、キャッシュアウトまでに成果を出すことが求められます。
そのため、重厚な戦略を描くよりも、短期間でしっかりと成果の出せる戦略・アクションプランを描き、すぐ実行し、クイックに検証を回していく必要があるんです。
そして、2つ目の自社のビジネスモデルについて。コンサルティングファームの場合は、コンサルタントの稼働時間に応じてクライアントの支払うフィーが決まりますが、ユナイテッドはハンズオン支援を通じて投資先のバリュー(企業価値)を上げ、最終的にキャピタルゲインによって利益を出すというビジネスモデルです。よって、「稼働時間」ではなく、「投資先のバリューアップへの寄与」にフォーカスするよう、思考を切り替える必要がありました。
3名の話から「“生の事業”を扱う緊張感」の正体がより言語化されてきた。
まず、1つ目が「役割と責任」ではなかろうか。
コンサルタントという立場上、クライアントに対してアドバイスや戦略を提供する役割を担うものの、あくまで最終的な意思決定権はクライアントにある。一方、事業会社は常に意思決定の結果に責任を負う。時には前中氏や関氏の言うように、スコープ(業務範囲)を超え、社内にあるリソースと資源を最大限に活用して、市場の変動や競争のリスクと立ち向かわなければならないのだ。
2つ目が、「求められるアウトプットの性質」であろう。
コンサルタントは、クライアントの企業価値を最大化することを目指し、報告書や提案書といったアウトプットを通じて最終的な成果を提供する。一方、事業会社で求められるアウトプットは自社の企業価値を最大化できたかというもの。
ことユナイテッドにおいては、松田氏が所属する投資先スタートアップのバリューアップチームのように、会社自体の存続がかかったスタートアップを相手に「投資先のバリューアップができたのか」ひいてはそれが「キャピタルゲインによって自社に利益をもたらしたのか」という成果が求められる。
必然的に、コンサルタントとしての時代と比較して、重厚かつ長大な戦略を立案するよりも、短期間で具体的な成果を出す戦略やアクションといった具合に求められるアウトプットの性質が異なるのだ。
松田氏の言うように、アプローチの仕方自体は似ているものの、「役割と責任」「求められるアウトプットの性質」といった観点がコンサルティングファームと事業会社の違いと言えそうだ。
投資先支援と自社の事業開発、
二足の草鞋を履くという魅力
“生の事業”を扱う醍醐味はたしかにコンサルティングファームでは得難いものかもしれない。
しかし、ここで1つの疑問が生じてくる。
それは別にユナイテッドでなくても、事業会社であればある程度得られるものなのではないだろうか?という疑問だ。
そこでここからは、引く手数多であっただろう戦略コンサルティングファーム出身者たちが、なぜユナイテッドを転職先に選んだのか。彼らを惹きつけたユナイテッドの魅力を、さらに深く探っていくこととしよう。
まず、事業会社での経験も持つ前中氏は、「自分の手で事業を動かせる会社の規模感と、投資先支援と自社の事業開発の両方ができる点に魅力を感じた」と語る。
前中自分が「やりたい」と思うことを実現させたいと思って事業会社に転職しました。これまでにプロジェクト支援も含めて経験した企業の多くは大きな会社で、どうしても、会社の規模感ゆえ個人の役割が限定的でした。「できるだけ自分の手で触れて、レバレッジを利かせていける領域を広げていきたい」という思いがあったんです。
そこで次の転職活動では、レイターステージのベンチャー・スタートアップを中心に会社を見ていました。その中でも、これまでコンサルティングファームや事業会社でさまざまなプロジェクトに携わってきた自分にとって、1つの事業やプロダクトに注力する企業というより、複数事業で価値を発揮する企業に魅力を感じていました。
そうした点で、コンサルティングファームで培ったスキルを活かして投資先のハンズオン支援ができ、自分たちで事業開発もできるユナイテッドなら、自分のやりたいことがすべて叶えられるのではないかと感じました。
一方、松田氏と関氏が入社の決め手に挙げたのは、ユナイテッドのカルチャー面。とりわけ、「意志がある人に積極的に任せる」という部分に強く惹かれたのだという。
松田私も事業会社ならではの“手触り感”を求めていたので、事業会社を中心に見ていたのですが、決め手になったのは面接で社長の早川と話したときの印象ですね。「やってみなはれ」と、自由にやらせてくれそうな雰囲気を受け取りました。
また、それまでユナイテッドは割と新卒採用文化が強かったので、私たちのようなある程度の経験を持つメンバーが入ることで、新しいものを生み出せるのではないかという期待もありました。
関企業のバリューアップに関しては、ベイン・アンド・カンパニーで様々な企業の戦略コンサルティングに携わった経験や、ビューティーエクスペリエンスで経営戦略を担っていたことから、ある程度の成功体験があり、何をやればいいのかの解像度は比較的高い状態でした。
一方、課題に感じていたのが、デジタル領域に軸足を置いて事業を成長させる成功体験です。前職では思うように結果が出なかったため、もう一度この領域にチャレンジしたいと思っていました。なので、転職活動ではけっこういろんな会社を見ていましたね。
その中で、FastGrowに掲載されていた樋口の記事を見て、意志のある人にはどんどん任せるカルチャーに強く魅力を感じました。
そう、同社代表取締役 兼 執行役員の金子氏への取材でも再三述べられた通り、ユナイテッドには 「“意志ある人”に知恵と機会を与える」という経営陣のアサイン方針が明文化されている。
他業界で経験を重ねたプロフェッショナル人材であっても、ベンチャー企業への転職に不安を抱えるビジネスパーソンは多いだろう。しかし、これまでユナイテッドが培ってきたメンバー育成の経験値が、そんな彼らの背中を後押ししているのだ。
入社半年でグループ各社にまたがるシステム導入をリード。相方はなんと、新卒1年目?
それぞれの期待を胸にユナイテッドに入社した3名。実は3名の中で一番社歴の長い関氏が入社した2020年当時は、ここまでのキャリアを積んだプロフェッショナル人材は社内に多くなかった。
つまり、3名を待ち受けていたのは、新卒中心文化の中、プロフェッショナル人材が事業家として活躍するロールモデルを作り上げていくことであった。まだ、入社して約半年の前中氏も、既に多くのプロジェクトを主導し、日々葛藤を感じながらも、殻を破って成長しようとしている真っ最中だという。
前中コンサルタントは「やったことがないのでできません」という選択肢は基本的にはなくて、任せられたことはだいたいなんでもやるんですが、それにしてもユナイテッドは「よく任せてくれるな」と思うことが多々あります。
たとえば、ユナイテッドに入社するまでマーケティングの経験はまったくなかったんですが、入社後数か月間で3つほどマーケティングプロジェクトをリードすることになり、現在ではカソークのマーケティング部の組織の立ち上げを任せてもらっています。
事業家としてマーケティングは必須の知識なので、この経験はまさに、私が求めていたものです。そして、言うまでもなく非常に刺激的な経験ができています。
とにかく毎日がチャレンジづくめで、「早く脱皮して成長しなければ」と葛藤を感じることもありますが、そうしたヒリヒリした感覚も含めて楽しめているのかなと思います。
そんな前中氏のチームが手がけた大型プロジェクトが、グループ経営基盤の構築だ。
ユナイテッドグループとして保有するアセットの共有と最大活用、及び経営管理の高度化を目指し始まったこのプロジェクトでは、各グループ会社の経営者との折衝を行う必要があり、複雑な調整が求められた。
それもそのはず、ユナイテッドにグループインしたとはいえ、それぞれのグループ会社は元は別の会社。そもそもアセットの管理思想が異なるのだ。それらをユナイテッド標準にすべく、標準の作成→各社に適合させる、といったプロセスを経る必要がある。
難度の高いプロジェクトにも関わらず、前中氏のチームはわずか3ヶ月という速さでこれらを取りまとめ、管理システムの開発にまで漕ぎ着けたのだ。
結果、複数事業にまたがって大きな成果をもたらしたこのプロジェクトは、社内のMVPJ(Most Valuable Project)に選出された。これはその年度に最も価値を創出したプロジェクトを表彰するもの。過去には「投資先へのハンズオン支援の原型となるプロジェクト」や 「社外向け大型DX案件を成功させたプロジェクト」などが表彰されていることからも、同社にとってこの賞がどれほど重要な意味を持っているかがうかがえる。
しかも、プロジェクトをメインで動かしていたのは2022年時点でまだ入社1年目の新入社員だったというから驚きである。前中氏はそのマネージャーとして、陰ながらメンバーを導いた立役者というわけだ。
前中氏は、当時のプロジェクトの状況について次のように振り返る。
前中グループ会社の経営者は基本的に皆さん忙しいので、最初のうちは「なんでそんなことやらなきゃいけないんだ」と、怒られながら折衝していましたね(笑)。
そんな中でもプロジェクトを前に進められた要因があるとすれば、最初にこのプロジェクトの絵姿をしっかり描いて、それを伝えられた点にあると思います。
まずは、当時5、6社あったグループ会社それぞれが個別に管理していた顧客や人材の情報を管理して、ユナイテッドという1つのグループの資産にしていくことの意義をきちんと打ち出すことに注力しました。
そうすると、「みんな本当はやりたいと思っていたけれど、実際にどうやって他の会社とコミュニケーションをとればいいのかわからない」といった各社の課題感が見えてきました。そこで、単にシステムを入れるだけではなく、会社間のコミュニケーションのルールまで含めて提案し、「これならやれるかも」と思ってもらえたことが、大きなポイントになったと思います。
私が直接手を動かしていたのは、最初のプロジェクトの立ち上げ部分だけで、あとはほとんど1年目のメンバーが1人で進めてくれました。もちろん見守ってはいますし、「遅れるかもしれないです」と焦る若手を励ましたこともありましたが、自社のことながらユナイテッドの若手は優秀だなと感じましたね。
社内MVPにも選ばれるような難度の高いプロジェクトを入社1年目の新卒社員がメインで推進していく。もはや、これまでのユナイテッドの連載をご覧いただいた読者にとっては驚きはないであろう。
新卒2〜3年目の事業責任者を次々と輩出するユナイテッドが蓄積してきた「再現性ある事業家人材の育て方」は、その育成ロードマップのDay1からこちらの記事で徹底公開されているので、ぜひご参照いただきたい。
そして、ここで注目したいのは、新卒文化、中途文化、どちらかに傾倒してしまう企業が多い中、ユナイテッドでは、新卒でも中途人材であっても均等に挑戦の機会が与えられるということだろう。
今回のインタビュイー3名のような、戦略コンサルティングファーム出身のプロフェッショナル人材を惹きつける理由がここにある。
「良き失敗なくして一流の事業家は育たない」。
これがユナイテッドの事業家育成に関する共通見解
ユナイテッドでは、前中氏のように戦略コンサルティングファーム出身者にとってもタフな機会がもたらされる。
それは無論、各事業の事業戦略立案から人事部長、本部の立ち上げと、ユナイテッドで既に数々の経験を積んでいる関氏とて例外ではない。
関氏はまさにこの4月、人材マッチング事業を手がけるカソーク株式会社の代表取締役に就任したばかりであり、営業活動という新たな領域に奮闘しているところだという。
関取引先に人材をご提案するような営業経験は今までありませんでした。経営者や人事の方を相手に、どのように価値を発揮するか考えて臨むわけですが、現在、やりながら痛感しているのは「コンサルタント的なアプローチだけでは、商談はうまくいかない」ということです。
コンサルタント時代は、顧客の課題を特定して整理していけば、それだけである程度は価値を感じてもらえました。一方、いま向き合っている顧客は、そもそも我々に議論を求めているわけではない。
相手の課題を引き出して提案を行う、というプロセスはコンサルティングと同じですが、その課題を引き出すには、ロジカルな質問をしているだけではダメだと痛感しています。お互いの共通言語を見出すためのアイスブレイクのスキルであったり、仲良くなるための雑談力みたいなものも必要でした。
そうして最初の1時間で信頼関係を構築できなければ、次につながらない。そのことをあらためて理解し、今まさに殻を破ろうとしているところです。
営業経験のある方からすると、初歩的な話かと思いますが、私のようにコンサルティングファームに6年間在籍していても、意外と気づけないスキルなんですよね。
また松田氏も、スタートアップのバリューアップを目的に、これまでにない新たな施策を立案するケースもある。そうしたチャレンジには、当然失敗は付き物だが、この「失敗する」経験こそが、松田氏にとって価値あるものだったという。
松田新しく取り組んだバリューアップ施策の1つに、「スタートアップの経営合宿への同行」がありました。合宿中の議論のファシリテーションや経営・事業戦略の壁打ちを行いましたが、経営メンバーが期待していたのは、壁打ちに加えて「具体的な戦略の提言」でした。事前の期待値のすり合わせ不足を大いに反省しました。
新たな取り組みは期待通りの成果が出ないことも多々ありますが、ユナイテッドではそうした失敗も含めて、チャレンジすることが推奨されます。
コンサルタント時代は基本的に失敗は許容されず、「いかに負けない幕引きをするか」ということを考えていたので、そこも当時と大きく違う点だと感じます。
どこまでも“実践・挑戦から得られる学び”に重きを置くユナイテッドの育成方針。そしてこのチャレンジには常に“失敗”というリスクが付き纏うことは言うまでもない。しかし、そうであるからこそ、ユナイテッドはメンバーの失敗を咎めることは決してない。
思い返せば、代表取締役社長 兼 執行役員の早川 与規氏も、以前のインタビューで「『将来は事業責任者になりたいです』と若手が言うならば、自分で決めて自分で失敗する経験を積まないと、何が正解で何が不正解なのかも学べない」と語っていた。
ユナイテッドの20代事業家育成に関する共通見解は、「良き失敗なくして一流の事業家は育たない」だ。
一方、どうしても、“即戦力”という立ち回りが期待される中途人材は、失敗を恐れチャレンジに億劫になってしまうもの。しかし、ユナイテッドでは、前章での話にも通ずるように、中途のプロフェッショナル人材であっても同様に、失敗する権利が与えられるのだ。
トップも挑戦し続けている。
だからこそ、私達も続くのだ
ここまで示してきたように、ユナイテッドにはどれだけ経験を積んだ人材に対しても、いまは持っていないスキルの獲得が期待され、そのための成長機会がある。
しかもそれは、上から降りてくる機会だけでなく、自ら望んで掴みとることを歓迎する文化なのだという。
関先程のグループ経営基盤の構築プロジェクトも、前中が経験者だから任せたというわけではありません。入社したての前中に「事業成長基盤の構築を考えているのですが、B2Bマーケティングに関する経験はありますか?」と聞いたら、「やったことないですけど、やればできると思いますし、やりたいです。」と即答したので、アサインが決まったという流れです。ものの10秒、20秒の出来事でした(笑)。
松田にしても、新しく投資先へのハンズオン支援をやっていこうとなったときに、真っ先に「やります」と手を挙げてくれたのが印象的でした。それが、現在のポジションである、バリューアップチームのマネージャーというところに繋がっています。
上記のような流れで、ユナイテッドでは中途のメンバーであっても、どんどん新たなチャレンジの機会を掴みにいけると語る関氏。しかしながら、3名のように社会人としての経験を10年近くも積むと、自分のコンフォートゾーンから抜け出すことが難しくなる。
なぜユナイテッドでは、経験を積んだメンバーであっても、これまで当連載で取り上げた新卒入社2〜3年目のメンバーにも負けない熱量とフレッシュさでチャンスを掴みにいけるのか。
その秘密は、同社の経営層の姿勢と、「困ったときには相談できる」ことへの絶対的な信頼感だ。
関代表である早川と金子が、チャレンジし続けているんですよ。これまでアドテクノロジー、ベンチャー投資等、さまざまな領域から会社を成長させてきた2人が、さらにその次の成長を模索し続けている。貪欲にチャレンジし続けるスタンスを、2人共が持っている。
そのことを強く感じるからこそ、私たちもチャレンジしなきゃ、チャレンジしていいんだ、と勇気づけられます。こうした感覚がどのレイヤーのメンバーにも浸透していて、ユナイテッドのカルチャーをつくっているんでしょうね。
それから、ユナイテッドで働くメンバーが大切にして欲しい価値観や考え方として、「UNITED Style」というものを定めています。この「UNITED Style」は「Cool & Wet」というキーワードで表現しており、相反するCoolさとWetさを併せ持っていることが、ユナイテッドらしさだと考えています。
これらを体現するように、「困ったら相談に乗ってもらえる」という点に関して、揺るぎない信頼感があります。だからこそ、どんなにチャレンジングな課題であっても、失敗を恐れずに挑戦できるんです。
今回取材を実施した3名は、事業家になりたいという思いからコンサルティングファームに入社した。しかし、結果的に過去を振り返り「ユナイテッドにいる現在が一番事業家に近づいている実感を持つ」と語る。その面影はもはや事業家としての風貌を醸し出しつつある。
コンサルティングファームで培ったスキルと、中途入社でもどんどん手を挙げてチャレンジできる環境。理論と実践の関係にある2つの歯車が噛み合わさったとき、いったいどんな事業家が生まれるのか。今後もFastGrowではその動向をお伝えしていきたい。
さて、10回に渡るこの連載もいよいよ次回が最終回。これまで多種多様なテーマを扱ってきた当連載の集大成だ。「ユナイテッドは何をしている会社なのか一見しただけではわかりづらい」と言う読者からの声に答えるべく、ユナイテッドの全容を一つの記事で学べるコンテンツをお届けする。これまでの9回の連載と合わせて、各記事に散りばめられた“事業家育成”のエッセンスにアクセスするためのロードマップとして活用してほしい。
こちらの記事は2023年05月31日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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連載ユナイテッド株式会社
執筆
藤田マリ子
写真
藤田 慎一郎
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