手術室から漁業の現場、AI創薬まで。
「人間中心」がキーワードのNECのデザイナー集団は、なにを「デザイン」しているのだろうか?

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インタビュイー
松本 和也
  • 日本電気株式会社(NEC) コーポレートインキュベーション本部 クリエイティブデザインセンター チーフデザイナー 

金沢美術工芸大学を卒業後、1997年にNECへ新卒入社。プロダクトデザインに軸足を置きつつ、多様なプロジェクトに携わり、2019年のサウス・バイ・サウスウエストへの出展にあたってはリーダー・アートディレクターも務めた。

熊崎 純一
  • 日本電気株式会社(NEC) コーポレート事業開発本部 デザインチーム チーフデザイナー 

金沢美術工芸大学を卒業後、2006年にNECへ新卒入社。UIデザイナーとしてキャリアをスタートした後、様々な分野のデザインを経験するとともにプログラミングにまで踏み込んだデザインエンジニアとしても活躍している。HCD-Net認定 人間中心設計専門家。

水上 絢菜
  • 日本電気株式会社(NEC) コーポレートインキュベーション本部 ビジネスデザインセンター デザイナー 

法政大学でデザインとともにエンジニアリングやマネジメントも学んだ後、2018年に新卒入社。1年目からデザイナーとしてプロジェクトの最前線に立つ一方、熊崎氏同様、デザインエンジニアとしての成長も目指している。

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かつて日本で「デザイン」といえば、見た目の美しさや洗練された機能など「モノ」が対象だと思われがちだった。しかし今、その概念に劇的変化が訪れている。

対象となるのはモノばかりでなくインタフェース、サービス、事業、組織、さらにはユーザーエクスペリエンス(UX)やソーシャルエクスペリエンス、そして経営までもが「デザインすべきもの」と捉えられている。このように脚光を浴びるデザイン領域だが、NECはブームが起こる前からデザイナー採用に注力してきたという。

そこで今回、同社デザインセンターで活躍する3人のデザイナーに話を聞いた。変革が不連続で起こるビジネス界でデザインというロールを担う醍醐味とは何なのかを。

  • TEXT BY NAOKI MORIKAWA
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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「ビジネスの全てがデザインの対象」という思想が当たり前。それがNECのデザイナー

これまで紹介してきたようにNECには若くしてビッグプロジェクトに携わる精鋭が大勢いる。歴史ある日本の大企業に抱かれがちなイメージ、すなわち「ビジネスは大きいけれど、組織も巨大なので若手にはなかなかチャンスが巡ってこない」「社内は官僚的で保守的な組織」といったネガティブなイメージとは少し違うことがわかってきた。

今までに登場してきたのはNECの競争優位性を決定づけるテクノロジーやデータサイエンスの担い手だった。「そりゃあ、そういう最前線の部門にはベンチャーにも負けないスピードやアジリティが求められるし、若手にもチャンスが与えられるのは当然でしょ」と捉える人もいたかもしれない。

今回登場するのは同社デザインセンターのメンバーたちだ。「NECはBtoB事業中心だから、デザイナーの出番は少ないのでは?」とか「大企業は年功序列でタテ割りだから、ジョブの歯車になってしまいがち」と思うかもしれないが、そうではないというのである。

彼らもまた「主役」の一人として事業の一翼を担い、なおかつ入社早々にダイナミックなロールを任されるという。いったいどのような役割を果たしているのだろうか。

水上私はまだ2年目なんですが、サービスデザインの手法も学ぶ2ヶ月程度の新人研修後は、すぐに最前線のプロジェクトにアサインしていただき、様々な経験を積み続けています。

外部のかたから見ると「大企業なのに新人の時から裁量のある仕事を任されている」ことが意外みたいですけれども、私はここしか知らないので、逆にこれが普通ではないの?と驚いたりします(笑)。

しかも2018年入社の水上絢菜氏が主に携わっているのは、サービスデザインと呼ばれる領域。

多様なタスクの中には、UIやリーフレットのデザインという、狭義のデザイナーの実務もあるというが、ミッションの軸は「イノベーションにつながる新規サービスや事業そのものをデザインする」こと。高度なビジネス理解と幅広いリテラシーが問われる立場なのだ。

水上もちろん毎日が勉強の連続ですし、試行錯誤の繰り返しで緊張感もあるんですが、正直楽しくてしょうがないです。

素直な笑顔を浮かべて楽しげに語る水上氏。それを見て、1997年入社の先輩・松本和也氏が口を開く。

松本水上たちはNECがBtoB事業中心の経営に舵を切った後の入社なので、デザイナー採用された者がこうして幅広い事業領域で多様な役割を担って働くことを、ある程度わかった上で入ってきた世代です。

一方、私たち世代が入社したのはNECがBtoCでも大きなビジネスをやっていた時代。私自身、長年、自社開発の携帯電話のプロダクトデザインに携わってきましたから、体感した「変化の振れ幅」は若い水上たちよりも大きかったですよ。

すると今度は2006年入社の熊崎純一氏がこう語る。

熊崎私もどちらかといえば松本さん世代寄りです。

『AXIS(デザイン誌の老舗ブランド)』の未来型デバイス特集でNECが提示していたモノのクールさに惹かれて興味を持ち、入社を考えたわけですし、入社後もBtoCのプロダクトをデザインしていました。

でも、私が入社する前からNECはIDEO等と密接につながって、チャレンジングな取り組みもしていましたよね。

BtoCをやっていても、デザインの対象はプロダクトばかりじゃない、という発想がもともとNECに根づいていた。その考え方もカッコイイなあ、と感じて私は入社しました。

松本さんも含めて、NECに入社した同窓の大学の先輩たちに強烈に引っ張られた経緯もありましたが(笑)。

米国IDEO社は知る人ぞ知るデザイン・コンサルティングファーム。「すべてのビジネスパーソンはデザイナーである」という思想や、「イノベーションをデザインする」という姿勢を通じて、近年は日本でも広く知られるようになったが、欧米系グローバル企業からは20年以上前から圧倒的支持を得ていた存在。

「デザインする」ことの概念に革命を起こしたこの会社とNECは1990年代から早くもつながり、共創プロジェクトを実施していたのだ。

松本たしかにそうだね。今でこそ、日本でもモノばかりではなく事業そのものや空間や体験にまでデザイナーが深く関わるようになっているけれど、その考え方はBtoCをやっている時代からNECにはあった。

それに、伝統的に好奇心の旺盛さを重視してデザイナー採用をしているからかな。アサインされるプロジェクトの多くが未経験なんだけど、みんな手探りながらも興味を持って前向きに取り組んでいるよね。

こうなると気になるのが彼らの手によるアウトプットの具体例。BtoC事業から離れたNECは、多くの企業とともにイノベーションを目指すビジネスモデルで成果を上げているわけだが、彼らはどんな成果に関わっているのだろう。

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グッドデザイン賞、iFデザイン賞、サウス・バイ・サウスウエスト。世界レベルの評価も続々獲得

現在のビジネスにおいて、企業に「広義のデザイン力」が求められていることは、ある程度理解できたとしても、「じゃあどんな企業がその代表格?」と問われれば結局GAFAあたりを思い浮かべてしまうだろう。

また、UXやビジネスプロセス、あるいは空間設計のような無形価値に関わるデザインの話となると、具体的な事例をイメージすることすら難しい。NECはいったいどんな成果を重ねているのだろうか。

松本私が昨年携わったプロジェクトの1つに「CODE PROJECT」というものがあります。

ご存知のようにNECは、世界No.1の顔認証をはじめ、指紋・掌紋、目の虹彩など一人ひとり固有の身体的特徴を鍵とした高度な生体認証技術を持っていて、誰もが安心してデジタルの利便性を最大活用できる社会をめざして、さらなる技術開発や多くの企業とのコラボレーションを進めています。

この「CODE PROJECT」では、通常は本人認証に使われる生体情報を、新たな使い方や、これまでとは異なる場面に用いることはできないか、というチャレンジを行ったんです。

具体的には、個人によって異なる虹彩データをグラフィックパターンに変換。それを指輪やピアス、ストールといったファッションアイテムに反映して、まさに世界に1つだけの自らの個を表現する装いを提案したという。

提供:日本電気株式会社

松本この取り組みが社内で認められ、世界的なイベントであるサウス・バイ・サウスウエスト(以下SXSW)にNECとして初めて出展することになったんです。

もともとプロダクトデザイナーとして携わっていた私としては、作ったモノを評価されるだけでも嬉しいのですが、それだけで終わらないのがNECのデザインセンターの醍醐味です。

このイベントの時にもリーダー・アートディレクターとして参画し、非常に貴重な経験を得ることが出来ましたし、SXSW出展がきっかけになって、大手企業や社内の別部署から、共創イノベーションの相談が届いたりもしているんです。

もしもBtoCメーカーで自社製品のデザインしか担当しないデザイナーであったなら、決して手に入れることができなかった出会いや可能性がここでは得られるということです。

SXSWは世界中からクリエイティブな先進的技術革新やエンターテインメントの代表事例が集まる祭典として知られている。バイオメトリクスでのノウハウ蓄積を単にセキュリティ領域にとどめず、社会の多様な場面に生かしていく姿勢そのもののデザイン性が注目されたというわけだ。

一方、認証という本来の技術活用場面においても、2018年度には「Bio-IDiom(バイオイディオム)」というマルチモーダルプラットフォームの取り組み、翌2019年には空港施設の空間変革を目指す「Smart Airport」の取り組みがグッドデザイン賞の「グッドデザインベスト100」、また「iFデザイン賞」(世界三大デザイン賞の1つ。優れた工業製品デザインを表彰する国際的な祭典)を受賞している。

さらにiFデザイン賞については、昨年は「八王子モデル」、今年は「NEC 歩行分析技術」という共創プロジェクトが、ヘルスケア分野で2年連続受賞している。

参考:デザイン受賞歴

NECが多様な技術領域において、突出した先進性を持っていることは言うまでもないが、その価値を社会実装し、ビジネスモデル化していくには、幅広い視野と時代の先を読む嗅覚が求められる。しかもそのビジョンを有形・無形に実現するべく、付随するハードウエアやソフトウエア、そして空間や人の営みまでデザインできなければいけない。

こうした複層的なプロセスの随所に「デザイン」が必要だということをNECは体現してきた。

単に「提唱する」とか「技術面だけでサポートする」のでは終わらずに、実際にモノを創り出し、世に送り出すことができる企業だからこそ、内外で高く評価されているのである。NECは自社の持つ多様で先進的な技術を社会への価値に転換するべく、フルコミットでデザインしているのだ。

そんな中で熊崎氏は今、ターゲットを創薬領域へ向けた「AI創薬」という大胆なチャレンジに携わっているという。

熊崎今特に注力しているもののひとつに、AI創薬事業があります。

当社のAIをはじめとするテクノロジーを活用し、個人に最適化されたがん免疫療法を行うもので、欧州のバイオテクノロジー企業と治療薬の共同開発を進めていて、すでに治験が始まっています。

自らが創薬を行うという、NECにとってまさしく新たな領域に踏み出した事業なのですが、これが実に難しくて(笑)。でも、それ以上にやりがいのある面白さに満ちているんです。

これまで培ってきたプロダクトやUI/UXでのデザイン知見を活かしつつ、熊崎氏もまた事業のデザインという大テーマに携わっている。

数ある産業の中でもとりわけ高度な専門性を要する創薬分野だけに「知らないことだらけで。ましてや会議はほぼ英語。日本語でも理解するのがやっとな創薬分野の内容なので、勉強することはたくさんあります」と苦笑いする熊崎氏。

それでも、「創薬チームにはバイオやAI、ビジネス開発のエキスパートが揃っているので、わからないことを教えてもらいながら、とにかく必死にくらいつくだけ。毎日がとてもエキサイティングです」と、とても楽しそうに語ってくれる。

熊崎大企業の大組織に入ってしまったら、チャレンジングなことはできない、と思っている人がいるなら教えてあげたいですよ。

様々な分野に精通したプロフェッショナルに囲まれているからこそ、私もAI創薬のようなチャレンジングなプロジェクトに参加することができると思うんです。

それにこの会社には、部署や年齢や性別や経験値などと無関係に、オープンでフラットなコミュニケーションをしていく文化が大昔から定着しています。これからのデザイナーが幅広いビジネス上の知識も求められるのは間違いないのですから、自分は恵まれていると思っています。

NECのカルチャー自体が、「1人で勝手に勉強したら?」ではなく、「隣にいるんだから何でも聞いてよ!」とプロフェッショナルな先輩、仲間が言ってくれる環境なんです。

それに創薬という事業は、ストレートに人や社会のお役に立てるもの。そういう意味でのやりがいも実感できています。

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未知の領域も手掛けるからこそ、合言葉は「現場行こう」

ここで、先輩2人のダイナミックなチャレンジを羨ましそうに聞いていた水上氏にも、これまでどんな体験が面白かったかを質問してみた。

水上どれもこれも、すべての体験が新鮮でした。

米国の西海岸に行って2週間でUX設計、UIデザイン、MVP(Minimum Viable Product)制作までやらせていただいた経験も、タフでしたがとても勉強になりましたし、「ど新人」にそこまで任せてくれることを嬉しく感じました。

ただ、なんといっても印象的だったのは入社後最初にアサインされたプロジェクトです。水産業という学生時代にはまったく縁のなかった領域に関わることになったんですよ。

松本私は水上が担当する、前身のプロジェクトに携わっていました。“ICTを駆使することで、魚の養殖事業にイノベーションを起こそう”というチャレンジでした。

そのために、何度も実際に養殖場に行き、漁師さんへのインタビュー、作業の観察や設備環境の調査をしました。普段の生活ではなかなか行けない場所でしたから、新しい発見がたくさんありました。

我々の新鮮な視点からの発想が、よい事業アイディアにつながったときは大きな達成感がありました。

水上私は残念ながら養殖場に行く機会はなかったんですが、現場の漁師さんにインタビューをしていきつつ、海外の専門家ともコミュニケーションを重ねていく日々で、松本さん同様「デザイナーになって、こんな経験ができるなんて嬉しいな」と感じました。

屋内に閉じこもってディスプレイとにらめっこしてUIを考えたりする時間も好きですが、私はもともとシステムデザイン学科でデザインを専攻している学生でした。デザインとエンジニアリングやマネジメントとの関係性に興味があったからです。

ですから、外にどんどん出て行って、次々に人と向き合うNECのデザインチームの姿勢が大好きですし、私のような人間にはフィットしていると思うんです。

熊崎「好奇心×フットワーク」が、私たちデザイナーの原動力ですよね。デザイナーに限った話ではないかもしれませんが、NECは昔からお客様の課題や社会課題の解決という面でのバリュー創出に注力している企業ですから、必ず「現場」が存在しています。

どんな会話をしているときでも中心にはユーザーがいて、まさに「人間中心」がキーワードなんです。やっぱり、ちゃんとユーザーのど真ん中である「現場」に身を置いて、そこにある空気やら何やらを吸い込んで、そこにいる人の話を聞くことで、ユーザー自身も気づいていない「本当に必要なこと」が見えてくることが多いんです。

だから当社のデザインセンターのメンバーは、それぞれに異なる専門性を持っていながらも、皆が皆「よし、とりあえず現場行こうぜ」という発想なんです(笑)。

熊崎氏自身、若手の頃に「海外へ行きたい」と直訴したところ、当時の上司が事も無げにインドへの出張を決めてくれた経験があるという。「嬉しい反面、その自由さや、フットワークの軽さに驚いた」というのだが、そのインドで面白い光景を目にしたとのこと。

熊崎私が乗っていたバスが事故に巻き込まれて、路上で立ち往生してしまったハプニングがあったんです。当時のインドでは交通事故なんて日常茶飯事だったんでしょうね。

バスが進まないので「困ったなあ」と思っていたところ、ものの数分後には代替バスが到着して、私たち乗客を乗せてくれたんです。いやあ、勉強になりましたよ。「そうか、こういうトラブル対応というのもアリなんだよな」と。

日本であれば、事故が起きないような防止策に重点が置かれていたり、故障したバスを何とかしようとしがち。だが当時のインドでは「事故は起こるもの」であり、リカバリーを素早く行うことが重要、という考えが「当たり前」だったのだ。

そうした文化、価値観の違いは、その場の日常に身を置いてからこそ分かることである。熊崎氏のデザイナーとしての、現場にいったからこそわかる学びはそこにあったというわけだ。

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究極の目的は「自分の力で社会をすこしでも良くすること」

そんなNECのデザイン部門は今、「Social Value Design」をミッションとして掲げている。未来の社会を豊かに幸福にするためのイノベーションには、UXとともに、社会のあるべき姿を考えるソーシャルエクスペリエンスをも描いていく、という姿勢がそこにある。

多様な立場の人間が絡み合いながら同時に生活を営む「社会」という枠組みの中で、どんな体験(エクスペリエンス)をデザインすればより多くの人が豊かさを共有できるのか。それを追求する担い手がデザイナーであり、「Social Value 」向上のため今後もチャレンジを進めていくというわけだ。

最後に、今後のパーソナルな抱負を3人に尋ねたのだが、その答えからも「なるほどたしかにここにいる人たちは“ソーシャルなデザイナー”なんだな」ということが伝わってきた。

松本これからのデザイナーはいろいろなモノやコトをデザインしなければいけないから、大変ですね……なんて思われているかもしれませんが、真逆ですよ(笑)。

世の中にあるあらゆるモノやコトをデザインできるチャンスが広がっているうえに、今まで世の中になかったモノやコトもデザインできてしまう。こんなに楽しい仕事はありません。

それだけに私も、あえて「これをやりたい」と決め込んではいませんが、NECというあらゆる産業とつながっていて、絶大な可能性を与えられる環境にいれば、例えば可能性としては、海底深くに設置されるケーブルのデザインもできるかもしれないし、宇宙まで飛んでいく人工衛星のデザインもやらせてもらえるかもしれません。

実際に過去2回、手術室で本物のオペも見学させていただきながら、「手術室という環境をリデザインする」というプロジェクトに関わったりもしました。モノばかりでなく、そこにまつわるサービスやエクスペリエンスを描いていく仕事だってできます。

「自分の力で未来をすこしでもよくしたい」と考えている方であれば、こんなにワクワクする環境はないと思います。

熊崎私としては当面、創薬の分野でどこまでやりきれるかを追いかけていきたいです。

松本が今話したことと同じ意味合いですけれど、AIを使った最先端の治療法を理解しながら「人の命を救う挑戦」に携わっていけるデザイナーなんて、世界中探してもそうはいないじゃないですか。

やれることはまだまだたくさんあると思うので、デザイナーならではの視点でしっかりとこの領域を見つめて、アイディア膨らませ、サービスをデザインし、「好奇心×フットワーク」で成果につなげていきたいです。

水上私はデザインとエンジニアリングの双方を追いかけながら、相乗効果で自分を成長させて、先輩たちに追いつけるくらい、多様な経験をしていきたいと思っています。

最後の最後に「約60名いるNECのデザインセンターは、やっぱりユニークな人の集まりなんでしょうね」と話したところ、3人が同時に答えてくれた。「いえいえ、NECにはほかにも国籍、性別、バックグラウンドが異なる尖った人たちがいっぱいいます。新規で何かを生み出そうとしている技術者、研究者、事業開発者たちのほうが、ずっとエネルギッシュでユニークです……良い意味で(笑)」と。

「NECはテクノロジーの企業」と認知されているが、こんなに力強い「デザイン」の力が隠れていたとは驚きだ。今後も最先端の「テクノロジー」と「デザイン」の力で、楽しく、面白く活動しながら、社会に様々なバリューをもたらしてくれることは間違いなさそうだ。

こちらの記事は2020年03月30日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

森川 直樹

写真

藤田 慎一郎

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