組織開発・Ops・投資家視点は、この10人から学べ。
「スタートアップ経営」をテーマに発信するCxO 10傑
「事業は人なり」経営の神様とも称される松下幸之助の言葉だ。事業を創るのも、会社を大きくするのも、そこには「人」がいる。そんな「人」に焦点を当て、次代を担う若きイノベーターたちをピックアップ。成長のエッセンスをお届けする。
前回は、事業成長のカギを握るプロダクトマネジャーに焦点を当て、FastGrowが注目する5名のPdM・若手キーマンをピックアップさせていただいた。「ベンチャーのプロフェッショナルから学ぶ」シリーズ第2弾の今回は、「スタートアップ経営」に役立つノウハウ・情報を発信するプロフェッショナルを厳選。企業運営に必須な会計知識から、組織づくりやオペレーション、さらにはエンジニア×経営と、今まさにインプットしたい情報が手に入る方々をご紹介します。
- PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
「オペレーション」を学ぶなら ──キャディ吉田氏、ラクスル福島氏
スタートアップにとってコスト構造をハックし、既存のプレイヤーより低価格で商品・サービスを提供することは優位性に繋がる。もちろん闇雲に「安さ」を追求するべきではなく、持続可能な構造・仕組みづくりが欠かせない。そんなスタートアップにとってのコスト優位性について、DCM Venturesの原 健一郎氏は、投資先でもある「キャディ」を例に挙げ解説している。
"とりあえず競合より安く製品やサービスを提供"、"利益率は度外視で成長"という姿勢から、本質的なコスト優位性が求められてくる
その優位性を築き上げる一つの大きな要素である「オペレーション」を科学し、事業成長を牽引しているCxOがいる。
吉田 祐輔(キャディ株式会社 Ops Manager)
まずご紹介するのは、そのキャディにてオペレーション・マネジャーを務める吉田 祐輔氏。外資系投資銀行のモルガン・スタンレーからキャリアをスタート、複数の転職を経て、前職のWanteldyでは取締役CFOとして同社の上場にも貢献した。2019年12月にキャディに参画し、オペレーションや仕組み作り、品質保証などをメインに担当している。
SaaSにおけるユニットエコノミクスを解説した記事や、属人的なオペレーションで仮説検証を行い、プロダクトに落とし込んでいく(標準化・半自動化)プロセスは、事業立ち上げに携わる方であれば読んでおきたい。
おすすめの1記事、吉田氏のマスターピース
福島 広造(ラクスル株式会社 取締役COO)
続いてご紹介するのは、ラクスルにて200人以上のオペレーション・チームを束ねる福島 広造氏だ。ボストンコンサルティンググループ(BCG)のプリンシパルとして、トランスフォーメーション(企業変革)/テクノロジー・アドバンテッジ領域を担当した経験を持ち、2015年7月からラクスルへ。
オペレーション・エクセレンスを紐解く、「キャディ」との共催イベントでは、事業成長の中でオペレーションをいかに洗練させていったかを3つのフェーズに分け解説。またオペレーションに限らず、プラットフォーム・ビジネスやB2B事業に関するnoteは学びが多い。
おすすめの1記事、福島氏のマスターピース
「会計」を学ぶなら ──Leretto辰巳氏、オープンエイト澤田氏
辰巳 衛(株式会社Leretto 代表取締役社長)
ビジネスにおける共通言語「会計」。起業や事業運営を行うのであれば、当然ながら会計・ファイナンスの知識が求められる。そしてまずは入門編から、という読者におすすめしたいのが辰巳 衛氏だ。
総合商社出身。小売や飲食など店舗ビジネスの集客支援を行うITスタートアップ「Leretto」を共同創業。米国公認会計士の資格も持ち、経営に役立つ会計知識を多く発信している。自身で実践した仕事術から具体的な勉強方法まで発信しているため、Twitterをフォローするだけで今日から実践可能なのが特徴だ。さらに、学びを深める書籍も紹介している。
炎上覚悟で言いますが、
— 辰巳 衛 27歳@元商社マンCEO (@maamorun) June 8, 2020
「会計」できないビジネスマンは
「足し算引き算」できない中学生と同じです。
ちゃんと勉強しないと馬鹿にされるし、成長できないよ?
「文系だから」「俺頭悪いから」という謎な理由で逃げるのはもうやめにしよう。
最低限、添付写真の内容は全て理解できるように。 pic.twitter.com/WWjc2YVFIW
おすすめの1記事、辰巳氏のマスターピース
澤田 裕貴(株式会社オープンエイト 取締役 兼 CFO 兼 コーポレート戦略室長)
会計知識を身に付けた後、実践で参考にしたいのが澤田 裕貴氏。
大和証券SMBCやUBS証券など、10年以上に亘り投資銀行業務に携わり、M&Aや資金調達、IPO業務などに従事してきた「会計のプロフェッショナル」だ。2019年9月、オープンエイトに参画。noteでは自身の得意分野である財務・HR・アライアンスに関する実践的なエッセンスを公開。今まさに財務で悩んでいる方は、澤田氏のnoteをいち早くチェックすることをおすすめする。
おすすめの1記事、澤田氏のマスターピース
「投資家」の視点を得るなら ──グノシー木村氏、XTech Ventures手嶋氏
木村 新司(株式会社Gunosy 代表取締役会長 グループ最高経営責任者)
スタートアップ経営において、投資家の視点を知ることも非常に重要だ。すでにご存知の方も多いだろうが、あえてこの2名、木村氏と手嶋氏をご紹介する。
スタートアップ経営を熟知する投資家として真っ先に名前を挙げるならば、木村 新司氏だろう。東京大学卒業後、ドリームインキュベータなど複数社を経てアトランティスを創業。 同社をグリーに売却後、投資家としてグノシーの共同最高経営責任者(CEO)を務め、同社の組織化を牽引し、上場に貢献した。
木村氏と言えば、なんと言ってもグノシーでの福島氏ら”学生起業家”とのタッグが印象的だ。経営経験の少ない学生起業家とシリアルアントレプレナーによる共同代表、その形を日本で実践した先駆者とも言えるだろう。福島氏も「当時の僕では出来なかった」と語る、経験豊富な木村氏だからこそできた意思決定のエピソードは、まさにこのタッグの素晴らしさを物語っている。
スタートアップが成功しないのは、ここにあります。正しい海図を作る作業に時間を使われなければいけない。それごPMFと呼ばれたり、持続的な成長をもたらすものですね。その後課題解決プロセスは実は必要条件です。
— SHINJI KIMURA (@shinzizm2) June 7, 2020
KPIを達成する事が難しいのでなく、ねじれた課題を解く事にイノベーションがあるのです。普通はトレードオフがあるのですが、トレードオフを起こさず、課題を解決する。その為に数字を活用する。とにかく、課題は何だ。この現象から言える事は?何を帰納的に、演繹的に導けるのか?自己問答を続けます
— SHINJI KIMURA (@shinzizm2) June 5, 2020
おすすめの1記事、木村氏のマスターピース
手嶋 浩己(XTech Ventures株式会社 代表パートナー)
続いてご紹介する手嶋 浩己氏は、XTech Ventures共同創業者・代表パートナーであり、先ほど登場した元・グノシー代表である福島 良典氏の創業したLayerXで取締役も務める。投資家と経営者の両面の顔を持つ。
博報堂でマーケティングプランナーとしてキャリアをスタートさせ、インタースパイア(現ユナイテッド)へ入社、取締役に就任。多数の新規事業の立ち上げや、メルカリ等へのベンチャー投資、複数社のM&Aを実行し、2013年-2017年はメルカリ社外取締役も務めた。
そんな投資家・経営者である手嶋氏の思考が垣間見える連載を、FastGrowで行っているので、ぜひチェックしてみてほしい。投資先起業家との対談から得られた言葉には、事業成功の本質が隠れている。
おすすめの1記事、手嶋氏のマスターピース
「エンジニア×経営」を知るなら ──Autify近澤氏、ZOZO今村氏
近澤 良(オーティファイ株式会社 CEO)
米国トップアクセラレーターである「Alchemist Accelerator」を日本人として初めて卒業した気鋭の起業家。DeNAにてOSSゲームワークや、全米No.1となったソーシャルゲームの開発を行った経験があり、日本だけでなくシンガポールにサンフランシスコと、グローバルで10年以上ソフトウェア開発に従事している。2016年、ソフトウェアテストの自動化ツール「Autify」を提供するAutify, Incを米国にて創業。
近澤氏と言えば、事業開発における顧客課題の発見「バーニングニーズ」でご存知の方も多いのではないだろうか。バーニングニーズをはじめとする事業開発のノウハウ、エンジニア経営者のtips、さらにはキャリアについてなど非常に有益な情報を多く発信している。Twitterでの発信だけでなく、ありがたいことにPodcastにて音声でも聞くことができる。
おすすめの1記事、近澤氏のマスターピース
今村 雅幸(株式会社ZOZOテクノロジーズ 執行役員 CTO)
2年間で2倍以上の組織拡大、300名弱のエンジニア有するZOZOテクノロジーズを率いる最高技術責任者。新卒入社したヤフーでは複数の新規サービス立ち上げを経験。2009年、株式会社VASILYを創業し、取締役CTOとして200万人が利用するファッションアプリ「IQON」の成長に貢献。2017年にVASILYをスタートトゥデイ(現ZOZO)に売却、ZOZOグループにジョインした。
幾多の新規事業立ち上げ経験、そして技術者集団ZOZOテクノロジーズをまとめあげる今村氏の発信には注目だ。
おすすめの1記事、今村氏のマスターピース
「組織づくり」を学ぶなら ──グッドパッチ柳沢氏、SmartHR薮田氏
柳沢 和徹(株式会社グッドパッチ 執行役員 経営企画室長)
グッドパッチCEO土屋氏の右腕として、組織崩壊の立て直しに奮闘。同社の上場に大きく貢献したのが、柳沢 和徹氏だ。
新卒でマーケティングリサーチの会社に入社。10年間の在籍期間で、M&A後の経営統合プロジェクトや人事、新規事業、経営企画など幅広い業務をこなした。また最初の配属先で「自分一人のがんばりより、チームの力を高める仕事には何倍も価値がある」ことに気づき、以来10回以上の異動を経験する中で「組織づくり」に力を入れていたという。
グッドパッチ入社当時、”100人の壁”にぶつかり、組織崩壊していたという同社。CEO土屋氏の右腕として手腕を発揮し、”100人の壁”を乗り越え、上場への道をつくった柳沢氏の「組織づくりのエッセンス」をまとめたnoteは、「組織づくり」に悩むすべてのベンチャーパーソンにおすすめしたい。
おすすめの1記事、柳沢氏のマスターピース
薮田 孝仁(株式会社SmartHR 執行役員・VPヒューマンリソース)
VOYAGE GROUP・ライブドア・LINEと、名だたるIT企業を渡り歩いた薮田 孝仁氏。次なるフィールドとして選んだのが、当時社員数約70名のSmartHRだった。様々な企業を転職候補として検討、選ぶまでの過程を自身のブログにもまとめている。
入社後は全社員と面談し、創業メンバーから醸成された「オープンかつフラットで、遊び心のあるマインド」を全社に浸透させ、組織の急拡大に貢献。自身のブログ記事「中途入社者に早く「適応」してもらうために大切にしてること」では、現在260名まで増えた社員をどのようにオンボーディングしたのかが詳細に記載されている。ブログには、組織づくりで悩んでいる方にとって今すぐに取り入れることができるような内容がふんだんに詰まっているので、ぜひチェックしてもらいたい。
おすすめの1記事、薮田氏のマスターピース
いかがだっただろうか?イノベーション・エコシステム発展のため、そしてベンチャーパーソンである皆さまに少しでも多く新しい学びをお届けするため、今後も「ベンチャーのプロフェッショナルから学ぶ」ことにフォーカスした情報を発信していく予定だ。
さらに、読者の皆さまの学びをさらに深めるべく、今回ピックアップした10名のプロフェッショナルに追加で聞きたいご質問を大募集!
もし彼らが追加でFastGrowの取材などお受けいただけた場合に、FastGrow編集部が皆さまの代わりにご質問し、回答を配信する予定だ。会員限定のメールマガジンでの配信も検討しているので、未登録の読者はこちらからぜひ登録しておいてほしい。
こちらの記事は2020年08月27日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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藤田 慎一郎
連載事業を創る者たち 一流のベンチャーパーソンは何から学んだのか
11記事 | 最終更新 2022.05.19おすすめの関連記事
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