年末年始の読書に。2021年、起業家・経営者としてのスタートを切るあなたに贈る、12名の事業家おすすめの5冊
「事業は人なり」経営の神様とも称される松下幸之助の言葉だ。事業を創るのも、会社を大きくするのも、そこには「人」がいる。そんな「人」に焦点を当て、事業家を目指すFastGrowerのロールモデルとなるような現役起業家・経営者が愛読する書籍をピックアップした。
年末年始、普段よりゆっくりと流れる時間の中で「来年は飛躍の年にしよう」と意気込む方も多いだろう。そんな読者の方に向けて、年末年始の読書におすすめの書籍5冊をご紹介。起業家、経営者、もしくはそこを目指す方が、この書籍とともにロケットスタートで2021年を迎えられることを祈ってお届けする。
本稿では、読者の「血肉」となるような、まさに「何度でも読み返したい」書籍を厳選している。紹介したものが、皆さまの「事業家としてのバイブル」となれば幸いだ。
起業家たるもの、本を読まないという選択肢はない
実践こそすべて、読書に時間を使うことは意味があるのだろうか?目の前の顧客や事業と真摯に向き合い、日々事業成長に貢献すべく奮闘している方の中には、そのように思っている方もいるかもしれない。
たしかに実践してこそ価値が生まれるのは間違いない。そして前のめりで業務に取り組んでいるFastGrow読者の中には、読書のためのまとまった時間を取れないという方も少なくないだろう。しかし、そんな方にこそ、時間が取れる年末年始に読書の時間を取ってもらいたい。
では、改めてわざわざ時間を割いてまで読書をする意味は何なのだろうか?この問いに対して、株式会社LayerX代表の福島良典氏、株式会社YOUTRUST代表の岩崎由夏氏は共通した考えを示している。それは、「自分にとっては未知だが、世の中にとっては既知なものを素早く吸収することができる」という点だ。
改めて本がなぜ大事だと認識しているかという僕の考えだと、自分にとって未知だけど、世の中にとっては既知を素早く吸収できるから。探索に使えるリソースは希少なのですでに答えがあるものに探索を当てたくない。効率よく期待値や蓋然性の高い意思決定が素早くできる。叡智に頼れる
— 福島良典 / Yoshinori Fukushima (@fukkyy) April 19, 2020
本を読むようになってからというもの、今までの自分のあまりの無知さを恥じた。今自分が悩んでいることは何百年も前の人が結論を出していたりするのだ。すべての悩み、課題を自分のお粗末な脳みそ一つで考えることがアホらしくなった。世の中で出ている課題に対する結論は人生の先輩方から勉強させてもらったほうが明らかに早いと気付いた。
混沌の2020年も今日で終わる。いつもより時間の取れる年末年始に先人たちから学び、そして飛躍の2021年を迎えよう。
ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学
──YOUTRUST 岩崎氏推薦
ビジネススクールで習う経営戦略論の教科書の内容は、この四半世紀近くほとんど変わっていないと聞くと驚く人も多いのではないだろうか。では、ビジネススクールでは教わらない、世界最先端の経営学者たちの知見とはどのようなものなのか。それらをコンパクトにまとめたのが本書である。
読者の中には経営学の本というと難解で、手に取りにくい印象を抱いている方もいるだろう。しかし、心配することなかれ。本書に登場するテーマは「チャラ男と根回しオヤジこそが最強のコンビ」、「日本最強の後継社長は婿養子」など興味を引く内容となっており、あっという間に読み進めることができる。
副業・転職のキャリアSNSを運営する株式会社YOUTRUST代表の岩崎由夏氏も「本が読めない人へ。-元・本が読めない人より」というnoteの中でおすすめの一冊として本書を挙げている。
経営学をわかりやすく説明してくれている。私みたいな経営をさっぱり知らないところから会社経営するようになった人にオススメしたい。
「そもそも、経営学って役に立つの?」と疑問を抱いている方もいるかもしれない。実は、その疑問こそが著者が本書を執筆しようと思ったきっかけだという。著者によると、多くの人は経営学に対して大きく2つの誤解を持っていると言う。1つは経営学者は「役に立つこと」に興味があると考えていること、そしてもう1つは経営学は「答え」を与えてくれると誤解していることである。
特に後者について勘違いしていた方は多いのではないだろうか。経営学に「答え・正解」を求める人は、「もう知っているから役に立たない」や「抽象的すぎて実務に応用できない」と感じがちだというのだ。しかし、経営学はあくまで「思考の軸」として捉えるべきもの。経営の意思決定における是非を論理的に確認したり、具体的な施策を評価する際の軸・羅針盤として、実務への思考を深める武器として、経営学を使うということだ。本書を通じて「世界最先端の経営学の知」という羅針盤を持つことは、これから経営者・起業家として活躍していくあなたに、きっと役立つ。
あなたが本書を読む理由
- YOUTRUST岩崎氏、推薦。「世界最先端の経営学の知」を学ぶことができる一冊。
- ビジネスの現場に応用できる重要な経営学の知見を26章にわたって紹介。
- 経営をさっぱり知らないところから会社経営するようになった人は、本書をぜひ手にとってみてほしい。
STARTUP 優れた起業家は何を考え、どう行動したか
──LayerX 石黒氏、レンティオ 三輪氏、ミダスキャピタル 寺田氏推薦
スタートアップ業界を内側から眺めると、そのコミュニティがとても狭いものであることに気付かされる。実は、優れた起業家は同じコミュニティで互いにノウハウを交換している。しかし、コミュニティの外にいる人にとっては、中でどのようなノウハウが交換されているのか知るよしもない。
本書はまさに、これまで特定のコミュニティ内で共有されていた知見を、可能な限り忠実に描写、分析し、広く届けることで「日本に起業家を増やすこと」を目指した一冊だ。
これまでも起業に関する書籍はたくさん世に出ている。しかし、この本はそれらとは一線を画す。その理由は本書のタイトルからもわかるように、「体系的な知識」と「豊富な事例」が両方揃っている点にある。事例だけでは学びが薄く、また知識だけだと具体性に乏しく、実践的ではないからだ。
本書の一番の魅力は、なんといっても今まさに急成長スタートアップを率いる、名だたる企業家が多数登場することだろう。LayerX福島氏、newn中川氏、メルカリ山田氏など優れた起業家のケーススタディから学ぶ、成功の原則は必読だ。実際に株式会社LayerX執行役員石黒卓弥氏、レンティオ株式会社代表三輪謙二朗氏、株式会社ミダスキャピタル取締役寺田修輔氏など、多くの事業家が本書を手にしている。
#STARTUP #優れた起業家は何を考えどう行動したか を読み始めています
— 石黒 卓弥|LayerX|Takaya Ishiguro (@takaya_i) May 22, 2020
ほとんどのプロダクトが、 いずれもまだまだ伸び続けるサービスだからこそ、本書を読みながら過去現在未来を思考するのがとても楽しい時間ですね
500ページ、向き合う課題毎に読めるので辞書的な使い方も良さそうです pic.twitter.com/cM7etg8RPR
これ、もちろん経営的に言えば当たり前なんだろうけど創業時の低い視座のままだったら絶対カメラレンタルで天狗になってた。VCさんから投資受けて志高い人たちと話すうちに視座が上がったから、、、なのでやっぱりスタートアップって最高だなって思ってる。
— 三輪謙二朗@レンティオ:Rent to own (@miwawa0717) June 1, 2020
この本読みながら一人で飲んでるなう pic.twitter.com/o5ltqANXFp
商売の"型"を学ぶための課題図書。
— 寺田修輔|Shusuke Terada|PE, ex CFO (@ShusukeTerada) October 1, 2020
ビジネス系の名著は数あれど、以下4作はいずれも現代の日本企業/日本法人のケーススタディが多く取り上げられていてとっつきやすい。
「THE MODEL」
「ザ・プラットフォーム」
「リクルートの すごい構“創"力」
「STARTUP 優れた起業家は何を考え、どう行動したか」 pic.twitter.com/qKKPanBrN2
本書で伝えようとしていること、それは「優れた起業家は定石をいかに実行してきたのか」というストーリーである。ここでいう定石とは何か。それは優れたアイデアの見つけ方、最初の仲間の集め方、プロダクトの作り方、資金の調達の仕方など、起業の過程で絶対に訪れる課題のことである。
「起業は人に言われてするものではないし、受身な発想で成功するものでもない」。
自分の力で調べて学ばなければ何事も成すことはできない。とはいえ、目の前に転ばぬ先の杖が置いてあるのだ。手に取らない選択肢はないだろう。
あなたが本書を読む理由
- 投資家(VC)が起業家から聞き出し、 経営学者と体系化した「成功の原則」を学ぶ
- 17人の優れた起業家の実際のストーリーから、起業における定石を学ぶ
- LayerX石黒氏、レンティオ三輪氏、ミダスキャピタル寺田氏が薦める一冊。豊富な事例から商売の”型”を学ぶ
ソニー 盛田昭夫 “時代の才能"を本気にさせたリーダー
──メルカリ 山田氏推薦
本書は戦後の日本経済を立て直し、「元祖グローバル企業」創業者として高度成長期の日本を支えた、ソニー創業者盛田和夫氏の生き方を研究し尽くした、決定版となる一冊。盛田氏にフォーカスしながらもソニーの奇跡的な成長がかなり具体的に描かれている。
米TIME誌の選ぶ「20世紀に影響力のあった経済人」、「20世紀の100人」に日本人で唯一選ばれた盛田氏。”世界のセールスマン”と呼ばれ、スティーブ・ジョブズなど数多くの著名経営者に影響を与えた人物だ。株式会社メルカリ代表の山田進太郎氏も例外ではない。
ソニー創業者盛田昭夫にフォーカスしながらもソニーの奇跡的な成長をかなり具体的に描いており非常に勉強になりました。本書を読むとまさに盛田昭夫氏の奇跡的な経営判断を目にすることができます。
そんな日本を代表する経営者である盛田氏を尊敬する事業家も多い。仮想通貨取引サービスを運営するコインチェック株式会社の共同創業者である大塚雄介氏もその一人だ。
また、大塚氏のFastGrow Answersの回答にあるように、盛田氏の自著「MADE IN JAPAN」を始め、江波戸哲夫「小説盛田昭夫学校」など、盛田氏に関する著書は多く、いずれもエキサイティングで学びの多いものとなっている。「MADE IN JAPAN」については、こちらの記事で詳しく解説しているので、興味がある方はぜひ見てみていただきたい。
あなたが本書を読む理由
- 米TIME誌の選ぶ「20世紀に影響力のあった経済人」、「20世紀の100人」に日本人で唯一選ばれた盛田氏。高度経済成長期を牽引した名・経営者から、マインドセットを学ぶ
- 技術の井深、営業の盛田。”世界のセールスマン”と呼ばれた盛田氏から、自らの力で世界市場を切り開いた力をインプットする
- ソニーがいかにして奇跡的な革新を起こしてきたか、ソニーの歴史を掘り起こしながら学ぶ
金儲けのレシピ
──才流 栗原氏、ラブグラフ 駒下氏推薦
Twitter上にて匿名で事業家に向けて役立つ情報を発信している「事業家bot」。本書はそんな彼自身が起業したときに経験した困難をもとに、「金儲けの原理原則」についてまとめられた一冊だ。
「金儲けのレシピ」を本にしたのは、自分自身が起業したとき、「金の儲け方」が分からず、また勉強する方法すらも分からずに、苦労した経験があるからだ。金儲けには、受験の勉強法などと同じく、ある程度の「原理原則」があり、それを抑えれば、ある程度の結果は出すことができるように思う。
— 事業家bot (@Midnight_Tokyo) November 7, 2020
『匿名著者が書く「金儲け」のノウハウなんて、普通に考えて怪しすぎるだろ』。そんな声が聞こえてきそうだが、事業家bot氏のツイートは学びが多く、少し調べれば信頼に値することはお分かりいただけるだろう。著者は東京大学に在学中に起業し、フランチャイズ企業に事業売却後、売却先企業にて新規事業及び経営企画管掌の役員を務めた人物だ。現在は再度起業し、年商10億円以上の企業を経営している。
本書は著者が企業を経営する中で見つけた、「15の商売の原理原則」についてまとめられた一冊だ。一般的なのビジネスモデル本や経営者が書いた本ではあまり書かれることのない、商売の基本を知ることができる。株式会社才流代表の栗原康太氏、株式会社ラブグラフ代表の駒下純兵氏なども本書をおすすめの一冊として挙げている。
事業家botさんが出された『金儲けのレシピ』ビジネスの原理原則が事例とともにわかりやすく解説されてて面白い。
— こまげ / ラブグラフCEO (@komage1007) December 14, 2020
IKEAと焼肉は実は同じビジネスモデルという話面白かった。 pic.twitter.com/iumqyrJOhz
事業家bot(@Midnight_Tokyo )さんの『金儲けのレシピ』、かなり面白かった。
— 栗原 康太 | 才流(サイル) (@kotakurihara) December 23, 2020
普通のビジネスモデル本や経営者が書いた本だとあまり書かれることがない、身も蓋もない儲けの仕組みが書かれている。
特別にLTVが上がるビジネス、特別にCACが下がるビジネスとその理由が知れる書籍。 pic.twitter.com/wuiUN3Rm4N
内容も「IKEAと焼き肉は実は同じビジネスモデル」など興味を引くものとなっており、一気に読み進めることができる。起業家、経営者が事業を成功させる上で必要なポイントがまとまっている本書は、ぜひ手にとってみてもらいたい。
あなたが本書を読む理由
- 事業経営のポイント、15の商売の原理原則を学ぶ
- 精神論・根性論ではなく、理論に基づいた商売の原理原則を学ぶ
Who You Are(フーユーアー) 君の真の言葉と行動こそが困難を生き抜くチームをつくる
──10X 矢本氏、FoundX 馬田氏、コインチェック 大塚氏推薦
シリコンバレー最強の投資家、ベン・ホロウィッツ氏。シリコンバレーでFacebook、Airbnbなど急成長を遂げた起業家たちにアドバイスを与えてきたホロウィッツ氏の著書「HARD THINGS」は日本でも多くの起業家、経営者、ビジネスパーソンから大きな支持を得た。そんなベン・ホロウィッツ氏の待望の第2弾となるのが本書、「Who You Are」である。
「企業文化に気をつけろ。なによりも文化が重要だ」 ベン・ホロウィッツ氏が起業したときにシリコンバレーの大物たちが異口同音に教えてくれたことだという。本書は企業文化の大切さと築き上げ方を学ぶことができる名著となっている。
開発不要でネットスーパーアプリ立ち上げを行えるStailerを運営する、株式会社10X代表の矢本真丈氏、仮想通貨取引サービスを運営するコインチェック株式会社の共同創業者である大塚雄介氏も本書を通じて企業文化に対する解像度が上ったと述べ、本書を薦めている。
ベン・ホロウィッツ「WHO YOU ARE」の第1章と第2章スレhttps://t.co/1QXuIJetG2
— Yamotty | 矢本真丈 (10X) (@yamotty3) April 25, 2020
自分は「個人の美意識」のもとに企業文化を創っている認識があって、それが邪魔なんではないかと不安になることもあったけどこれを読んでだいぶ背中を押されました。 https://t.co/BwSkTkKZvf
ベン・ホロウィッツの『Who You Are』を読んで企業文化に対する解像度が上がった気がする。これまでは、企業文化を保つことを自分の直感に従ってやってきた。言語化できおらず感覚で作っていたので再現性に欠けていることが課題だったが、解像度が上がったことで再現性と精度が上がった気がする。 pic.twitter.com/2WmcLE6kqH
— 大塚雄介 (@yusuke_56) May 12, 2020
また、FoundX馬田隆明氏のこちらのブログでは、Salesforce、 Adobeなど比較的歴史のある企業とAirbnb,、メルカリ、 10Xなど比較的新しい企業のバリューを比較しながら、本書で説かれている『「行動」を中心にした企業文化』について解説されている。本書を手に取る前に、一度目を通しておくのも良いだろう。
トップがいないところで人々がどんな判断をするかこそが、企業文化というものだ。社員が日々の問題解決に使う一連の前提が、企業文化だ。誰も見ていないときにどう行動するか が、企業文化なのだ。
あなたが本書を読む理由
- シリコンバレー最強の投資家、ベン・ホロウィッツ氏が書かれた、待望の第2弾。
- 「何よりも企業文化が重要だ」。その理由とは?「企業文化」の大切さと、その築き方を歴史上の事例をもとに学ぶ
- 10X 矢本氏、FoundX 馬田氏、コインチェック 大塚氏推薦。企業文化への解像度を高めることができる、必読の一冊。
いかがだっただろうか?年末年始におすすめの書籍として、著名経営者が過去に読み込み、そして皆さんの血肉となるような書籍5選をお届けした。今回紹介した書籍の中から好みに合う本を見つけてもらえれば幸いだ。
こちらの記事は2020年12月31日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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