日本初の有人飛行に成功したSkyDrive、20億円調達で「空飛ぶクルマ」の実現に迫る──FastGrow Pitchレポート
「イノベーターの成長を支援し、未来社会を共創する」をミッションに掲げるFastGrowが、「この会社、将来大きなイノベーション興しそうだ!」と注目するスタートアップをお呼びして、毎週木曜朝7時にオンライン開催する「FastGrow Pitch」。
登壇するスタートアップが目指すビジョンや事業内容、創業ストーリー、どんな仲間を探しているのかなどをピッチ形式で語るイベントだ。
本記事では、ピッチの模様をダイジェスト形式でお届けする。今回のピッチに登壇したのは、SkyDrive、kay me、テックタッチ、Linkshipの4社(登壇順)だ。
株式会社SkyDrive:未来はすぐそこ!2023年「空飛ぶクルマ」販売を目指す
最初に登壇したのは、「空飛ぶクルマ」の開発・製品化に取り組むSkyDrive代表の福澤知浩氏。空飛ぶクルマとは、車を運転するように空を移動できる「人が乗れるドローン」のことだ。救命救急や遊覧・観光の場面で利用が見込まれているほか、日常的な移動手段として普及すれば、渋滞や満員電車の緩和につながることも期待されており、社会に与えるインパクトにも大きな可能性を秘めたプロダクトだ。海外では既に200以上の企業が空飛ぶクルマの開発に取り組んでいるが、日本ではskydriveが初である。
同社はこれまで、2018年に初の屋外飛行試験、2019年には初の有人飛行試験を開始。製品化に向けて着実に歩みを進めており、2023年の販売開始を目標に掲げている。2019年10月には、シリーズAで15億円の資金調達を実施し、累計調達額は20億円に到達。現在は、シリーズBの調達に向けての動きを進めているという。
また、同社は空飛ぶクルマに加え、産業用ドローンの開発にも力を注いでいる。一般的なドローンより3倍ほど重い荷物を運べる大型ドローンで、主に運搬業務の負荷軽減や、安全性確保を目的としている。こちらはすでに製品化されており、今後も建設現場や災害現場などへの導入を見込んでいるという。
幼少期からモノづくりが好きだった福澤氏は、新卒でトヨタ自動車に入社。自動車部品のグローバル調達に従事し、数百人規模のプロジェクトマネジメントも担当した。2014年には自動車業界、航空業界、スタートアップ関連企業などに勤める若者の有志団体CARTIVATORに参画し、共同代表に就任。その後、2018年にCARTIVATORで目標としてきた「空飛ぶクルマ」事業を専門に行うために、SkyDriveを創業した。
福澤無人機(ドローン)と有人機(空飛ぶクルマ)のコア技術は共通しているため、今後は先行して市場が拡大する無人機をサービスとして成長させつつ、そこで得たナレッジを有人機事業に注いでいければと思っています。
また、東京海上日動さんと「空飛ぶクルマ保険」をつくるなど、空飛ぶクルマを実際の社会で使ってもらうためのしくみ・制度づくりも着々と進めています。今後は一般の皆さまにも空飛ぶクルマに対する関心を持ってもらい、「空飛ぶクルマ、いいね」という社会の空気感をつくっていきたいと考えています。
採用では複数のポジションを募集していますが、特に広報周りのメンバーが足りていないため、積極採用中です。空飛ぶクルマにワクワクする方と一緒に働けたら嬉しいです。
採用情報
kay me株式会社:「挑戦する人を応援する」をミッションに顧客の課題解決をするD2Cアパレルベンチャー
次に登壇したのは、「一瞬で華やか、ずっと続くラク」をコンセプトに掲げるkay meでHR Managerを務める萩野亮氏。同社は、「挑戦する人を応援する」というミッションの下、自宅で洗えるストレッチ素材のスーツやワンピースなどのアパレル・バッグ・ジュエリー・靴を展開している日本製D2Cブランド『kay me』を展開している。2011年創業以来、徹底して顧客の課題解決をしている企業である。
呉服屋を営む祖母の背中を見て育った代表の毛見純子氏は、かつてPwCやボストン・コンサルティング・グループで勤務したのち、経営コンサルティング会社を自ら立ち上げ、代表を務めた経験も持つ。コンサルタントとして日々忙しく働くなかで感じた「服選びや手入れがラクで、着ていて身体が疲れない仕事服がない」という課題意識から、kay meの創業を決意。オリジナル製品を次々に開発し、販売チャネルも国内7店舗にまで拡大してきた。また、ECを活用したグローバル展開にも創業初期から力を入れており、現在は世界10カ国から製品の受注をしているという。
『kay me』が他のアパレルブランドと一線を画すのは、顧客の課題解決を、プロダクトとIT活用によるグローバルサービスでとことん追求する姿勢だ。また一方で、社会課題解決のためのサステナビリティ経営も促進しており、それを支える多様性あるメンバーによる組織体制も強みになっているという。
登壇した萩野氏はkay meにジョインする以前、組織人事・ITを専門とするコンサルティングファームやITベンダー、シンガポールのベンチャー企業での勤務を経験。働く女性の支援と事業会社のHRに挑戦したいという想いに加え、シンガポールで経験したベンチャー企業で働く楽しさを日本でも味わいたいと考え、kay meへのジョインを決断した。
萩野私たちは、「Get outside of my comfort zone」「PMA - positive mental attitude」「Relearn what I thought I knew」という3つの行動規範を大切にしており、これらを体現しながら活躍できる方にジョインいただきたいと考えています。
今後のさらなる事業成長を見据えて、新卒・中途を問わず、さまざまなポジションで募集を強化していますので、気軽にご連絡をいただけたら嬉しいです。
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テックタッチ株式会社:社内システムを誰にでもわかりやすく。「唯一の国産DAP」を提供
続いて登壇したのは、DAP(Digital Adoption Platform)と呼ばれるWebシステム活用サポートサービス『Techtouch』を運営するテックタッチ代表の井無田仲氏。DAPとは、ベンダーを問わず、Webシステムの画面上にリアルタイムで操作ガイドを表示できるツールのことを指す。システムを活用したDXが急速に進む一方で、「すべての社員がシステムを使いこなせるわけではない」、という問題を解決してくれる“かゆいところに手が届く”サービスで、海外では日本に先行して普及が進んでいる。『Techtouch』の顧客も大企業が中心で、導入数は半年間で3.5倍まで増えた。
『Techtouch』の強みは、ITリテラシーに関わらず、プログラミングスキルもなしで、誰でも簡単に操作ガイドを作成できる点。画面上に現れる吹き出しなどを直感的に操作しながら、『Techtouch』のナビゲートに沿って説明文を入力していくだけで、メンバー間で使える操作ガイドを完成させることができる。また、SFA(Sales Force Automation)やCRM(Customer Relationship Management)に加え、経費精算システムやワークフロー改善のWebアプリケーションなど、国内外の幅広いシステムに対応している点も特徴で、ユーザー数はリリースから1年強で8万人を突破した。
登壇した井無田氏は、コロンビア大学でMBAを取得したのち、ドイツ証券や新生銀行で企業の資金調達・M&Aアドバイザリー業務を経験。その後、2012年に入社したユナイテッドでは、事業責任者や米国子会社代表などを務め、大規模サービスの開発やグロースなどを手がけた。2018年に「自らの手で“会社の非効率”を一つでも多く解決したい」という思いから、CTOの日比野淳氏とともにテックタッチを創業した。
井無田私たちは「全員が自分ごと化できる組織」を目指し、自社の組織づくりを進めています。例えば、一般的にはマネージャーが一人で担う仕事を「ヒューマンマネジメント」と「事業推進」にわけ、それぞれを得意なメンバーが担うようにしています。マネージャー任せでなく、一人でも多くのメンバーが当事者意識を持って、事業と組織の成長にコミットできるようにする狙いです。
現在の社員数は35人でエンジニアが中心ですが、事業も順調に成長を続けており、組織の設計にも加われる今のフェーズはとても面白いはずです。テックタッチで働くことに興味を持った方はぜひ、お気軽にご連絡ください。
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株式会社Linkship:ストレス社会を豊かに生きる、独自のドリンクやサプリメントを開発
最後に登壇したのは、最高の休息を追求するウェルネスD2Cブランド『mellow』を提供するLinkship代表の韮澤真人氏。同社は「たっぷりと休む喜びを届ける」をコンセプトに、日本初のCBD炭酸飲料とCBDサプリメントの開発と販売を手掛けている。
CBDとは、ストレスや不眠を解消する効能を持つ麻由来の成分。2018年にWHOから安全性が発表された影響もあり、アメリカやヨーロッパを中心に市場が急成長しているという。日本でも厚生労働省にて輸入制度整備が進むなど、国としても導入に前向きな動きが進んでいるそうだ。
Linkshipが着目したのは、国内のCBD商品の多くが体験として優れていない点。例えば、国内で一番流通しているCBDオイルは、スポイトでオイルを飲む体験が日常生活の行動からはかけ離れており、「抵抗を覚える人も少なくない」と韮澤は話す。同社はより身近で、手軽な体験としてドリンクやサプリメントを提供し、より広くCBDの製品を届けることに挑戦している。
代表の韮澤氏は生まれながらに体が弱く、自身が何度も起業を諦めかけた経験から、「誰もがストレスで鬱になりうる時代に、もっと健康的になれるものを届けたい」と志すようになったという。さまざまなサービスの開発を模索するなかでCBDの存在を知り、2016年にLinkshipを創業した。
韮澤日本のCBD市場がどこまで伸びるかどうかは、正直なところ私にもわかりません。しかし、日本の休息・睡眠市場が今後拡大を続けるであろうという確信はあります。
休息・睡眠市場を分析していくと、仕事中の休憩・集中市場や快眠市場などに細かく分けることができます。私たちは、そうして細分化したいくつかの市場をドリンク・サプリメントで取りに行くことで、事業としての急成長を達成したいと考えています。
第9回目となる次回のFastGrow Pitchは、「Coral Capital投資先限定回」と題し、Coral Capitalが出資する7社が登壇する。Coral Capitalは、シード期のスタートアップを中心に投資するVCで、SmartHRのシリーズBラウンドでSPV(15億円のターゲットファンド)を組成するなどの投資実績を持つ。同社が期待を寄せるスタートアップの事業や組織について、直接話が聞ける貴重な機会をぜひチェックしてもらいたい。
こちらの記事は2020年08月19日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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