子供向け教育事業の創出、AI構築による産業課題の解決。注目のスタートアップ2社が登場──FastGrow Pitchレポート
「イノベーターの成長を支援し、未来社会を共創する」をミッションに掲げるFastGrowが、「この会社、将来大きなイノベーションを興しそうだ!」と注目するスタートアップをお呼びして、毎週木曜朝7時にオンライン開催する「FastGrow Pitch」。
登壇するスタートアップが目指すビジョンや事業内容、創業ストーリー、どんな仲間を探しているのかなどをピッチ形式で語るイベントだ。
本記事では、ピッチの模様をダイジェスト形式でお届けする。登壇したのは、株式会社NOWMO、株式会社JDSCの2社(登壇順)だ。
- TEXT BY OHATA TOMOKO
- EDIT BY RYOTARO WASHIO
NOWMO
すべての子どもたちに、学びの機会を提供する
最初に登壇したのは、NOWMO代表取締役CEOの中野修二氏。同社は、部活動支援事業『BOOSTAR』や教育体験プログラム『エドクエ』など、子どもたちに教育機会を提供する事業を展開している。
NOWMOが掲げているビジョンは「学びを諦める子どもたちがいない世界をつくる」。中野氏は教育への想いをこう語る。
中野教育に深くコミットするようになったのは、現在代表理事を務める一般社団法人・Good Try JAPANに参画してから。中高生向けキャリア教育プログラムに携わっていたのですが、そういったプログラムに参加してくれていた子どもたちの多くは比較的豊かな生活を送っていました。逆に、学ぶ意思があるにもかかわらず、経済的な余裕がない環境で生活する子どもたちには、なかなか教育機会を届けられていませんでした。
学びの機会を得られなかった子どもたちは、次第に学びに対するモチベーションが下がり、やがて「どうせ無理だから...」と学びを諦めてしまう。また、先生や大人からの「あなたには無理」という言葉を受け、夢を諦めてしまう子どもたちの姿も目にしました。
学びの意思がある子どもたちに教育の機会を届けることが、日本の国力を高めることになると思い、教育事業に着目しました。
同社は、教育基金『NOWMO FUND』を設立し、NOWMOが展開するサービスの売り上げ5%を積み立てている。「自らに課した『教育税』のようなものです」と、中野氏。
『NOWMO FUND』を活用し、本物の教育体験ができるプログラム『エドクエ』を運営。選抜された中高生は交通費・滞在費ともに無料で、青ヶ島をフィールドにしたプログラムに参加できる。参加者を待っているのは、大自然の中での生活や、地元の中学生との交流を通じた「ホンモノ」の学びだ。
また『NOWMO FUND』を活用したもう一つの事業として、部活動における課題を解決する『BOOSTAR』がある。
中野部活動の活動時間は年間で700時間ほどですが、学校の先生はほぼ無償で活動されています。さらに、部活動の顧問になることを希望していなくても、担当せざるを得なかったり、経験したことがない部活動を任されたりする場合もある。精神的な苦痛も大きいのではないでしょうか。
また、部活動は子どもたちにとって学びが多い時間ですが、やがてビジネスなどの場面で活きる基礎能力を向上させられる環境にはなっていません。そういった課題にアプローチしているのが『BOOSTAR』です。
『BOOSTAR』は、一般のビジネスパーソンから指導員を募集。顧問を担当する教員の代わりに生徒を指導することで、子どもたちは保護者や教員以外の価値観や考えに触れられるという。
ゆくゆくは『NOWMO FUND』を活用し、海外支援も行っていきたいと語る、同社。「子どもたちに学びの機会を届けたい方はぜひご連絡ください」と参加者に呼びかけた。
JDSC
AIプロダクトで、日本をアップグレードする
続いて登壇したのは、AIプロダクト構築サービスを提供している、JDSC BusinessDevelopment部ディレクターの表実氏。
冒頭で、表氏は「UPGRADE JAPAN」というミッションに込められた想いについて語った。
表DXへの関心が高まり、AI、あるいは機械学習、ディープラーニングを活用したプロダクトへの注目が集まっています。日本においてもそれらを駆使したビジネスが生まれていますが、まだまだこれからが本番といったところでしょう。
現在の日本では、様々なテクノロジーを活用したビジネスを推進するためのDX人材が不足しています。それ故、日本企業や日本社会に適したAIプロダクトの開発は遅れている状態です。そこで我々は、これらの日本のチャレンジに立ち向かうため、個別企業の課題解決に留まることなく、多くの産業に共通する課題を解決しうるAIプロダクトを開発し提供していくことを通して、日本をアップグレードしたいと考えています。
同社が展開するAIプロダクト構築サービスの特徴は、川上から川下まで一気通貫でシステム開発をサポートすること。
表一般的に、外部のパートナーの知見を取り入れたシステム開発は次のようなものになります。まず、経営コンサルタントにビジネスモデルの構築をサポートしてもらい、データベンダーからデータを取得。次に、AIベンチャーにAIを構築してもらった上で、Slerがシステムを実装するといった流れです。しかし、それぞれのプロセスがブラックボックス化しやすいため、最初に描いていたシステムと最終的なアウトプットに大きな差が生じるといった事態がしばしば起こっています。
一方で、我々はビジネスモデルの構築から実装まで、一気通貫で伴走。すべてのフェーズをサポートできるため、フェーズを移行する際のコミュニケーションコストも抑えられますし、お客様の成果や利益が出るまでコミットする体制を整えています。
JDSCではAIを活用し、需要予測ソリューション『demand insight』や、マーケティングの反応予測ソリューション『response insight』など複数のソリューションを展開。本ピッチでは、セールスの課題を解決する『sales insight』について共有した。
表コロナ禍によってオンラインセミナーが増加し、それに伴って商談数も増えています。一見すると、リードの獲得数は増えているものの、商談が増えている分だけその質も下がりやすい。その結果、リードが増えたにもかかわらず、売上が落ち込んでしまう企業は少なくありません。
また、見込み顧客の商材に対する関心度も様々です。商材に対して「少し興味がある」レベルから、「問題を解決するために今すぐサービスを導入したい」と考えているレベルまで、様々な見込み顧客が存在します。
どのお客様に対して、どれだけ積極的にアプローチすべきかわからない。そういった課題の解決にも活かせるのが、『sales insight』です。
『sales insight』は、リードの育成から案件の獲得までをサポートするプロダクトだ。顧客の反応を可視化し、受注確度の高い見込み顧客の獲得を実現し、見込み顧客の取りこぼしも低減できるため、効率の良い営業が可能になる。 現在『sales insight』は、デジタル化ソリューションに留まっておりますが、今後は収集した様々なデータを元に、顧客の確度や商材レコメンドなどのAIを導入し更なる活躍の場を拡張して営業活動の効率化と意思決定支援を行う構想です。
「より詳しく『sales insight』について知りたい方はぜひご連絡ください」と語り、ピッチを締めくくった。
採用情報
今後も毎週木曜朝7時の「FastGrow Pitch」では、注目スタートアップが登壇し、自ら事業や組織について語る機会をお届けしていく。ぜひチェックしてほしい。
こちらの記事は2022年05月09日に公開しており、
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執筆
大畑 朋子
1999年、神奈川県出身。2020年11月よりinquireに所属し、編集アシスタント業務を担当。株式会社INFINITY AGENTSにて、SNSマーケティングを行う。関心はビジネス、キャリアなど。
編集
鷲尾 諒太郎
1990年生、富山県出身。早稲田大学文化構想学部卒。新卒で株式会社リクルートジョブズに入社し、新卒採用などを担当。株式会社Loco Partnersを経て、フリーランスとして独立。複数の企業の採用支援などを行いながら、ライター・編集者としても活動。興味範囲は音楽や映画などのカルチャーや思想・哲学など。趣味ははしご酒と銭湯巡り。
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