連載スタートアップを知りたいならここを見よ!FastGrow注目スタートアップ特集──FastGrow Pitchレポート

遠隔接客サービス、リアル行動データプラットフォームに特化したスタートアップが登場──FastGrow Pitchレポート

登壇者
望月 亮輔

1988年生まれ。大学卒業後大手通信会社、動画メディアのベンチャー企業を経てロボットメディアであるロボットドットインフォを立ち上げ、法人化させる。その後同社をロボットスタートに売却し、以降ロボットスタートにて役員としてメディアの編集長を務める。2019年に同社を退任してタイムリープを設立、現在に至る。

内山 英俊

1976年3月17日、愛知県名古屋市生まれ。ミシガン大学大学院コンピュータサイエンス修士。外資コンサルティング会社にて、事業戦略・企業再生コンサルティングなどを手がけた後、モバイルコンテンツ会社を経て、2015年にunerryを創業。 リアル世界を解析可能にすることで、人をとりまく環境が社会を豊かする「環境知能社会」の実現を目指す。「Japan Venture Awards 2021」 JVA審査委員会特別賞受賞。

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「イノベーターの成長を支援し、未来社会を共創する」をミッションに掲げるFastGrowが、「この会社、将来大きなイノベーションを興しそうだ!」と注目するスタートアップをお呼びして、毎週木曜朝7時にオンライン開催する「FastGrow Pitch」。

登壇するスタートアップが目指すビジョンや事業内容、創業ストーリー、どんな仲間を探しているのかなどをピッチ形式で語るイベントだ。

本記事では、ピッチの模様をダイジェスト形式でお届けする。登壇したのは、タイムリープ株式会社、株式会社unerry(ウネリー)の2社(登壇順)だ。

  • TEXT BY OHATA TOMOKO
  • EDIT BY RYOTARO WASHIO
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タイムリープ
少人数で複数店舗の接客を可能にする、遠隔接客サービス

タイムリープ株式会社

最初に登壇したのは、遠隔接客サービス『RURA』を開発・運営している、タイムリープ代表取締役の望月亮輔氏。

冒頭で、望月氏は遠隔接客サービスに着目した背景について、こう語った。

望月2030年、サービス業を担う人材は400万人も不足すると言われています。あらゆる店舗で人手不足が発生することで、採用そのものが難しくなり、人件費が高騰化する。その結果、店舗経営が厳しくなることが予想されます。

これらを解決するには、テクノロジーを活用し、少人数で複数の接客をカバーする必要がある。サービス業界の人材不足を解決すべく、遠隔接客サービスを立ち上げました。

『RURA』は、接客を「リモート化」するサービスだ。『RURA』を導入する店舗には、ディスプレイやタブレットなどの端末を設置。接客するスタッフは、遠隔地から『RURA』を通してお客様の来店を感知して、お客様に声がけができるほか、お客様からスタッフを呼び出したりすることも可能だ。

スタッフが顔を出して接客するのみならず、アバターを活用することも可能。スタッフがキャラクターに扮する接客は、子どもの利用客に喜ばれやすいという。

さらに、『RURA』を設置した複数店舗の映像をリアルタイムで確認できるため、少人数で複数店舗の接客も実現できる。「20名のスタッフで100店舗の接客を回すことも可能です」と望月氏は語る。

望月東京と大阪に店舗をお持ちの場合でも『RURA』であれば、1人のスタッフがどちらの店舗の接客も担当することができます。東京の店舗にお客様が来店されたら、スタッフは画面から映像をクリックするだけで1秒で店舗とつながり、リアル店舗と同様の接客が行えます。また、大阪の店舗にお客様が来店したら映像を切り替えるだけ。遠隔地にいるスタッフ同士は常に通話できる状態なので、連携もスムーズです。

実際に、あるチェーン店では27店舗の受付を3名のスタッフで回しています。つまり、1人あたり約10店舗を担当することで、大幅な省人化を実現している。さらに、店舗にはセルフ端末も置かれているのですが、これまで使い方がわからないお客様が帰ってしまう課題がありました。それが『RURA』によって気軽にサポートできるようになり、来店率の向上にもつながっています。

お客様の来店に合わせてお出迎えし、接客できるため、既存のタッチパネルを活用した受付とは異なり、お年寄りなど機械操作が苦手な方でもスムーズな入店が実現できるという。

今後は無人店舗が増加し、遠隔接客サービスへのニーズはさらに増すことが予想される。ニーズに合わせた遠隔接客サービスを展開していきたいと望月氏。

「若いメンバーを中心に、楽しく働いています。一緒に働いてくれる方を募集中ですので、ぜひご応募いただければ幸いです」と参加者に呼びかけた。

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unerry
社会を見える化する、リアル行動データプラットフォーム

株式会社unerry

続いて登壇したのは、リアル行動データプラットフォーム『Beacon Bank』を開発・運営している、unerry代表取締役CEOの内山英俊氏。

ミシガン大学大学院コンピュータサイエンス修士課程を修了し、データサイエンスを研究していた内山氏。リアルな行動データの活用に着目した背景について、こう語る。

内山民間の最終消費支出300兆円のうち、デジタルによる購買は約8%。これらの購買データは、データとして記録されています。一方で、約92%を占めるリアルな購買は誰がどこで何を買ったかわからない状況です。つまり、リアルな購買行動のデータが圧倒的に不足しているがゆえに、PDCAの回らない、非効率なマーケティングをせざるを得ない状況になっています。

いま求められているのはオフライン行動をデータ化し、そのデータにもとづいてオリジナルの購買体験を生み出すこと。そういった考えから、私たちは人々の行動をデータ化することに取り組んでいます。

『Beacon Bank』は、屋内外の人流データなど、月300億件以上のオフライン行動に関するデータを集め、独自に解析。解析結果を元に、リテールDXやOMOコミュニケーションをサポートするサービスを展開している。

その1つが『ショッパーみえーる』だ。

内山『ショッパーみえーる』は、いわば Google Analytics のリアル版です。店舗に来店されたお客様の年代、性別、居住地、行動嗜好、来店頻度などを推定し、可視化。それらの情報を基に来店の可能性が高い顧客層を特定し、ピンポイントでデジタル広告の配信も可能です。無作為な「ばら撒き」になりがちなチラシの配布などよりも、効率の良いマーケティングができるようになります。

また、『お買物混雑マップ』も展開。約5万店舗あるスーパー等の混雑具合をリアルタイムで把握でき、コロナ禍の密集回避に役立っているという。

そして、今年からリテールメディア事業にも進出。リテールメディアとは、小売店で得られる購買データを広告配信に活かすための仕組みであり、「小売店のメディア化」を推し進めるもの。購買データを活用し、メーカー商品などの広告を、小売店の店内やWebサイトで配信。小売事業を展開する各社が、広告代理店のような役割を担うようになるのだ。unerryは、この「小売店のメディア化」をサポートする事業にも注力していくという。

今後はリアル行動データを用いて、街づくりにも活かしていきたいという。

「プロダクト開発やSaaS経験者など、全方位で採用を募集しています。急成長を楽しめる環境に身を置きたい方や、社会課題の解決に一緒に取り組みたい方はぜひご連絡ください」と語り、ピッチを締めくくった。

採用情報

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今後も毎週木曜朝7時の「FastGrow Pitch」では、注目スタートアップが登壇し、自ら事業や組織について語る機会をお届けしていく。ぜひチェックしてほしい。

こちらの記事は2022年03月23日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

大畑 朋子

1999年、神奈川県出身。2020年11月よりinquireに所属し、編集アシスタント業務を担当。株式会社INFINITY AGENTSにて、SNSマーケティングを行う。関心はビジネス、キャリアなど。

編集

鷲尾 諒太郎

1990年生、富山県出身。早稲田大学文化構想学部卒。新卒で株式会社リクルートジョブズに入社し、新卒採用などを担当。株式会社Loco Partnersを経て、フリーランスとして独立。複数の企業の採用支援などを行いながら、ライター・編集者としても活動。興味範囲は音楽や映画などのカルチャーや思想・哲学など。趣味ははしご酒と銭湯巡り。

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