「チャレンジする上で、大企業もベンチャーも関係無い」
若手経営人材の2人が語る採用広報の重要性。SNSデータ起点で企業の「B面」を魅せよ。
経営者を目指す若手ビジネスパーソンは、その目標に近づくためにできるだけ早く裁量権のあるポジションに就こうとする。だからこそ、大企業ではなくスタートアップやベンチャーを望むのではないだろうか。
No Company代表取締役の秋山真氏は、2016年に博報堂グループのデジタルエージェンシー・スパイスボックスに新卒入社し、2年後には採用コミュニケーション事業を新たに立ち上げ、事業部長に就任。SNSデータ解析による採用広報支援を同グループ内で確立し、2021年10月、同グループの新会社としてNo Companyを立ち上げた。いわゆるイントレプレナーである。
ベンチャー企業への興味関心を強く持ちつつ、パナソニックなどの大企業とも採用広報のプロジェクトを共にしてきた秋山氏は「実は大手企業グループでも若手が経営層にチャレンジできる環境がある」と話す。博報堂グループのみではなく他のいわゆる大企業でも同様の動きが見られるという。しかし、まだまだ読者の多くは「大企業で経営者を目指すのは難しい、チャレンジをするのならベンチャー企業なのでは?」と思っているのではないだろうか。
秋山氏が支援の経験を基に強く指摘するのは「B面を魅せる発信」の重要性だ。では、企業が取り組むべきB面の発信とは何か?またそれは、期間にしてどのくらい取り組めば成果につながるのか?秋山氏と共に採用広報支援を行ってきたFastGrow編集長の西川ジョニー雄介の2人に語ってもらった。
- TEXT BY TAKASHI OKUBO
「若手が大企業で経営者を目指すのは難しい」は本当なのか?
秋山私が「採用広報」を支援する事業を立ち上げたのは2018年です。最近は取り組む企業も増えてきましたが、3年前はまだまだその重要性は知られていませんでした。
事業構想のきっかけは、世の中の就職・転職活動において求職者側が職業を選択できる自由度が少ないことに問題意識を感じたことです。博報堂のグループ企業であるスパイスボックスに入社して2年目の頃でした。例えば、中途採用だと転職エージェントを利用することが主流です。ですが転職エージェントは仕組み上、エージェント側の意向が加わって紹介されることもあるため、求職者がフラットに職業を選べる状態とはいえませんでした。
またマーケティングを担う中で、SNSやメディアの利用状況は変遷が激しいとも強く感じていました。しかし、就職や転職に関する媒体は、ほとんど変わっていないんです。
秋山氏の行動は、スタートアップを立ち上げる若手起業家の思考に似ている。だが彼は解決したい課題は明確ながら起業することは考えていなかったという。自分の理想を実現するためにベンチャーやスタートアップに転職する者が多い中、あえてそのままの環境でチャレンジすることを選んだ。そのメリットとは何だったのだろうか。
秋山端的に言えば「チャレンジできる環境が整っていたから」です。人や仕組みなどの安定したアセットがあれば、余計なことを考えずに、自分が向き合うべき社会課題に取り組むことができます。経営人材を目指すには、しっかりと事業に向き合える環境に、早く身を置くことのほうが大事だと思いました。
例えば、自分1人ではなんともできない壁にぶつかった時でも、社内の体制が整っていれば人の力を借りて乗り越えることができます。失敗して学ぶことも大切ですが、事業を預かる経営者として会社を危機にさらすことは当然避けるべきです。生半可な知識やスキルで事業に悪影響を及ぼさないように、適切に人の力を借りて危機を乗り越えなければならない。
そのためにはやはり、過去にチャレンジした人たちのサンプルなど、参考となる事例や成功・失敗のロールモデルがあることほど頼りになることはないと感じますね。少なくとも博報堂グループは、そういう環境です。
確かに起業はあくまで1つの手段でありゴールではない。秋山氏も経営者になりたいと思って事業を立ち上げたのではなく、自身が課題と向き合える環境を選んだ結果だ。若いうちからチャレンジをしたいと志すのであれば、起業や転職を考える前に「実はゼロから起業するより、今の環境で目指すほうがメリットが大きいのでは?」と問いかけてみたほうがいいかもしれない。
ただ、多くの若者が今の環境ではチャレンジが難しいと転職してしまうのはなぜなのだろうか?FastGrow編集長のジョニーは、起業することと社内で新規事業を任せてもらうことは全くの別スキルだと話す。さらに、社内で事業を任されることの方が難しい部分もあるとも付け加えた。
ジョニー起業で成功するけれど組織からの評価は決して高くなかった、という人もいます。その逆ももちろんいます。つまり、全く別のスキルなわけですね。
秋山さんはものすごく信用に足る人だからこそ、大企業のグループの中で事業責任者や子会社社長を任されています。個人のエゴが無く、コトに向き合い続けてきた、そんな姿勢が評価されたからです。スタートアップの社長はどちらかと言えばエゴに寄る傾向もありますが、秋山さんにはそれがほとんどありません。
起業している20代をたくさん知っていますが、その中に「会社や顧客のために自分を合わせていく」ような人は少ないです。難しさでいうと、起業するよりも社内で事業を任される方が難しいかもしれない。
ただし、起業も企業内起業も、責任を持って他人のアセットを活用するという点は同じです。環境に関係なく、「任せてもらえるようにする」という視点こそが重要ですよね。
自分のエゴよりも、周囲の期待に応え信頼を得ることが重要だ。信頼を積み上げた結果、秋山氏は今のポジションにいる。秋山氏は必ずしも経営者を目指していたわけではないと前置きしつつ、入社から意識していた点があったと語る。
秋山この5年間(スパイスボックス入社からNo Companyの代表取締役になるまで)で意識したことは、自分の中にある「ありたい・なりたい」の軸をぶらさずに、周りからの期待に応えて成果を生み出すことでした。自分が解決したい社会課題を解決するためには、まず目の前にある課題や問題を解決できる実力を示し、信頼を得られる人でなければならないと考えていたんです。
このように、大手企業やそのグループ企業でも、新卒入社組から若手経営人材を輩出する事例はある。「50歳になるまで役員にはなれない」なんていうことは全くないのだ。
秋山氏自身も採用広報の支援をする中で、多くの大企業が若いうちから経営や戦略にチャレンジできる環境を整えようとしているのを感じるという。しかし、冒頭お伝えしたように、「実はこの会社でもチャレンジできる」といった事実はあまり世間に認知されていない。
それは企業が自社の取り組みを発信しきれていないために起こると秋山氏は語る。これこそが採用広報における企業の課題である。紹介してきた秋山氏のエピソードや、企業の環境が実は整っていることが伝われば、若くしてチャレンジをしたいと思う志高い若手の選択肢も広がるのではないだろうか。
では具体的に何をすればいいのか。そのためには、現状の採用マーケティングのトレンドを踏まえた情報発信と企業の情報の出し分けが必要になる。
「A面」だけの発信では自社が求める人材は採用できない
A面とは、古くはレコードで音楽を販売する際に、メインとなる「表」の曲を意味する。対してB面はカップリング曲とも呼ばれるが、レコードを買ってからでないと聴けない「裏」の曲だ。
レコードならA面だけを宣伝すればいいが採用はそうはいかない。採用における「A面」とは、公に公開している「求人情報」のことである。多くの採用担当者は必要最低限の求人情報しか発信していない状態では、自社が求める人材は採用できないと感じているはずだ。
採用マーケティング事業に取り組んできた秋山氏は、その背景には「情報発信のトレンド変化には2つの傾向がある」と話す。
秋山SNSの普及と多様化により「情報爆発」と「メディア分散」の大きく2つのトレンドが起きています。
企業の公式アカウントや、経営者・担当者の個人アカウントによる発信がものすごく増えていますよね。TwitterやFacebookといったSNSへの投稿だけでなく、noteやWantedlyといったサービスのおかげで、コンテンツを世の中に出しやすくなっています。採用ターゲットの量は増えませんが、Web上で流通する情報量はすごい勢いで増えています。
一方で情報を取得する側は、個々人の趣味嗜好に合わせてフォロー先や利用メディアを選びます。ですから、自分の価値観に沿った情報以外をほとんど見なくなっています。自分たちのコンテンツを見てもらうには、文脈・人・メディアを介して、想定ターゲットの興味関心に接着させることが不可欠です。
この傾向は、採用広報という観点で特に意識すべきと強調する。
秋山HR業界でいうと、私が採用コミュニケーション事業を立ち上げた2018年頃から、学生も社会人も情報収集の仕方が変わってきています。合同説明会のようなオフラインの動きはじわじわ減り、採用媒体やSNSなどを活用して企業を調べるオンラインの動きが明らかに増えてきています。そして昨年からコロナ禍の影響で、採用活動全体をオンラインを中心に進める流れがさらに加速しています。
面談や選考に至るまでに、企業側が発信するWeb記事やSNS投稿、動画といったコンテンツとどのくらい接点があったかによって、印象形成や興味関心は大きく左右されます。だから、中長期的に戦略を練った採用広報によってブランドイメージを形成していかなければ、成果が得られにくくなっているんです。
このような流れを受けて、企業側も採用ターゲティングの見方を変えてきている。これまでは新卒であれば出身校、転職であれば所属していた業界、他エリアや年齢といったことなど、求人票に書いてある情報をもとにしたターゲティングが一般的だった。これらに加えて、個人の趣味嗜好や働く価値観といった細かなデータを考慮した対応を取り始めている。
特に新卒採用領域において見逃せない変化がある。秋山氏によると、ここ数年の間に、業界を超えて併願する学生が増えたのだという。つまり、選択する軸が「業界」ではなく、企業が社会貢献活動として何をしているかという「企業の理念(ビジョンやミッション)」へと変化している。ターゲティングやコンテンツ制作上、こうした観点が欠かせなくなっているのだ。
ジョニーも20代ユーザーが求める情報に「社長や社員のSNS発信」があると話す。
ジョニー単純に「会社を探す」ことにおいて、求められている情報は昔から大きく変わりません。ただ、「実際に面接を受けるかどうか」においては、その会社のことをどれだけ知っているかという影響が大きくなっています。
転職エージェントから「スローガンどうですか?」と紹介されても、社名をぜんぜん聞いたことがなかったり、やっている事業の内容をぜんぜん知らなかったりすると、選考を受けてみようとは考えにくいですよね。認知度って、実際に会社を受けるか受けないかの分岐点になる。
でも、社名や事業内容、あるいは社長や役員・エース社員のことを聞きかじったことだけでもあれば大きく変わります。「社長の○○さんに会ってみたい」「エース社員の△△さんに□□を聞いてみたい」「あの事業がこれからどうなるのか聞いてみたい」となるんですね。
あくまで私の仮説ですが、10~20代の若者の感度として「SNSで見かけた」というのは、良質な企業や人として判断する情報としてインパクトがある。だからこそ採用を頑張っている企業ほどSNSの発信を頑張ったり、フォロワー数を増やしたり、noteで記事を書いたりする。どこかのメディアが出す「なんとかランキング」で上位にいるよりも、「いかにターゲットの読者にとって良い情報発信をしているか」の方が求められているんですよね。
ベンチャーへの転職を考えるような新しいもの好きの若手の話を聞いていると、基本的に「年収が上がるから転職する」という理由はほぼ聞きません。目指している世界観に対して共感してもらえるように動かないと、経営を志すような若手を採用することは難しいのではないでしょうか。
候補者が求める「B面」の発信とは
全社員を巻き込んだ多角的な視点の情報
ではこのような背景をふまえ、今後の採用マーケティングにおいて企業がすべきことは何だろうか。秋山氏はベンチャーに限らず、全ての企業にいえることとして「企業のA面よりもB面の発信を強化せよ」、つまり企業の本当の姿を伝えるために、「社員の価値観や視点」のコンテンツ化を重要視するべきと話す。
秋山採用支援ではどの企業に対しても、「採用情報のA面よりもB面を出す」ことが必要だと伝えています。先ほどもお伝えしたようにA面の情報とはいわゆる求人情報のことで、B面は企業の風土など企業の本当の姿が分かる情報です。
先ほどジョニーさんが仰っていた「面談・面接を受けたい企業」になるためには、企業とその中にいる社員がB面の情報を発信したり、オープンにしていたりするかが重要です。そうしなければ、企業のカルチャーや風土、ミッションにマッチする人材は集まらないでしょう。
「A面よりもB面の情報発信が重要」とのことだが、ただ闇雲に「自社の本当の姿」を出せば良いというものではない。社会に発信する情報・コンテンツは、あくまで読み手のためであり、その情報を知ったユーザーにとって得るものがあることが基本だ。採用情報として必要なB面の発信も、例に漏れず採用ターゲットが知りたい情報でなければならない。
秋山SNSのデータを活用し、B面で何を求められているのかを分析しているのが私たちのビジネスです。多くの企業様の活動を支援させていただく中で、最近の若手ビジネスパーソンが求める情報のトレンドとしてあるのは「社員の価値観」ですね。
そういった観点から見て、SNSの反応も集められている採用広報の好事例はサイバーエージェントやメルカリです。オウンドメディアによる発信と、社員自身のSNSからの投稿やシェアで、自分たちの価値観を上乗せしているところが上手い。
他にもSmartHRは、社長・マーケ・人事から他の部署の社員まで、いろんな立場の人が自分のことや自社についてnoteで発信をしています。そうすることで、求職者側はその発信から多角的にその会社を捉えることができるようになります。良い意味で「ありのままの多様性」が発信できている企業は強いと思います。
では取り組みを行っていない企業は採用広報で何を起点にB面の話をすればいいのか?と聞くと、秋山氏はまず行うべきは「企業の推したいポイントを複数の社員でコンテンツ化すること」だと答えた。
秋山「どういった情報を発信したいのか」によって、推しポイントはもちろん違いますが、まずは目の前の採用活動で使えるコンテンツを、社員の発信も含めて多角的につくることが重要です。1つの事業について、社長目線と担当者目線では見えているものが違うので、両方の視点を発信することで企業への理解を深めてもらえます。
しかし、明確なKPIが見えにくい採用広報において、いったいどのくらいの発信をすれば効果が見えるのだろうか、採用広報の担当者ならもちろん気になるポイントである。
秋山発信をしっかり1年くらい継続してほしいですね。採用市場のオンライン化が進む前の2018年、ある大手企業の事例だと「企業側が世の中に持ってほしいイメージ」の認知度が上がってきたとわかるまでに2~3年はかかりました。求職者の中に、企業の発信を見てエントリーしたという人がどのくらいいたか、という振り返りはさらにもう数年かけてやっと見えてくるような状態でした。
ただし、オンラインが当たり前になってきたのでサイクルは早くまわるようになっています。昨年から取り組み始めたある企業は、採用市場のオンライン化の影響もあり実際に「企業のSNS発信を見てエントリーした」という人の割合がすぐにデータとして集計できました。定性的な分析だと、「なぜ事業に共感したのか」に対する具体的な回答が、エントリーした人の発言から早い段階で感じられるようになったんです。
こういった背景から、取り組み方にもよるので一概には言えませんが少なくとも1年間は取り組むことで、オンライン発信が候補者に与えた影響の測定や振り返りができると考えています。
「認知」がどれほど獲得できたかを数値で明確にすることは難しい。採用広報が候補者とのタッチポイントとしてどのくらい寄与しているのかを知るには、面談に至った候補者へのアンケート調査をベースに振り返るというのが定番だろう。秋山氏はさらに独自の視点で、企業の発信と世の中のニーズがどのくらいマッチしているかまで計測する。
秋山採用広報の効果を振り返るポイントは2つです。1つは候補者へのアンケートなどで、企業の発信がどの程度影響したかを定性的に分析する方法。もう1つは、No Companyの強みを活かしたものになるのですが、独自のSNS分析ツールである「THINK for HR」を活用することで、自社の採用サイトやオウンドメディアのアクセスを解析し、どういうルートでエントリーまで至ったのかを分析する方法です。
そもそも分析する際に重視すべきは、「世の中の興味関心が高いこと」と「自社の発信している内容」が合っているのかを振り返ることにあります。発信してきた情報によって獲得できた反応や、その期間、世の中の興味関心の傾向を読み解くことが重要です。そういった観点を持って競合他社との違いを分析します。
良いコンテンツを作るには
「認知」と「共感」それぞれの目的を明確にせよ
秋山氏の話から採用広報の「核」となる部分は概ね理解できたのではないだろうか。本記事を読んだ後に、採用が上手い企業の採用サイトやオウンドメディアを見れば、企業の意図が読み取れるかもしれない。そして、他社の事例に対しては客観的に「これは良いコンテンツだ」と評論することもできるだろう。
ただ自社のコンテンツを客観的に「良い」と評価することは難しい。まずそのためには、そもそも良いコンテンツとはどのようなものか、自分自身の中に明確な軸が必要となる。数々の採用広報コンテンツの作成に関わってきたジョニーは、記事の役割を勘違いしてしまっている企業を時々見かけるという。
ジョニー「届ける・広める」といった「認知」を目的としたコンテンツと、読んだ後の「共感」を得ることを目的にしたコンテンツを混合してしまう企業は多いです。認知と共感を1つの記事で生み出せることもありますが、良い採用広報のコンテンツとして考えるなら分けて考えるべきだと思っています。
「どちらにあたるのか」は、目的を明確にすると理解しやすいはずです。認知という観点でいくと、SNSで拡散させるか、場合によってはペイド広告を利用して届けるということを考えます。ターゲットに対するインフルエンサーや、いわゆる「バズる企画を作れる人」を巻き込むことが必要です。
共感を生むコンテンツは、「こんなことをしてるのか、知らなかった、面白い」といった反応を得るのが目的になるでしょうか。なので、FastGrowだと記事の読了率やシェア率を測定して効果を見ていますが、究極的には面接・面談時のアンケートやヒアリングでしか推し量れないとは思います。「採用ターゲットが記事を読んだら、態度や行動が変容しているのか」ということを測定するのが、効果測定として正しいと考えているからです。
認知と共感。目的に応じて使い分けることで良いコンテンツが作れるのではないでしょうか。
続いて秋山氏は、採用広報の明暗を分けるポイントとして、いかにオンラインコンテンツで企業の理解が促進ができるかが重要であり、ここでも改めてB面の情報が求められているという。
秋山雇用の流動性が上がっていく中、採用広報のオンライン化とコンテンツシフトはマストですね。通年採用にオフラインのみで対応するのはほぼ不可能になっています。働く環境に求めているものは多様化しているので、企業の採用担当者が一人ひとりのニーズに対応していくのは無理があります。だから、オンラインコンテンツで企業の理解が進むかどうかがかなりキーポイントになってくるでしょう。
繰り返しになりますが、「B面」の情報が世の中に求められています。そして「B面」で何を発信するかを考えるためには、世の中に求められている情報やトレンドをキャッチしていきましょう。その上で、求人情報以外の情報をオープンにし、社風や働いている人の価値観を伝え続けていくべきです。
ジョニーコンテンツを作り続けるためには「専任者を置く」ということは大事。既存の採用施策の延長線で行うとどうしても上手くいかないため、意志を持ったうえで採用広報を行うことが重要です。過去FastGrowに依頼をしてくれた企業の方は、私たちに依頼することで専任者を外部に作ったといえるわけです。
また、候補者の抱える課題や疑問に対してヒット率の高いコンテンツ戦略が作れるかも大事ですね。何を発信すれば共感が増えるのか、リサーチが甘いままコンテンツを作っても意味がありません。どうすれば自社のエントリーが増えるか、リサーチする手間を惜しまずしっかりとした仮説を作って取り組みたいですね。
良いコンテンツを作るためには、コンテンツの役割と世の中のニーズをマッチさせることが必要だ。そのマッチングを成立させるために重要なのが「コンテンツ戦略」と「リサーチ」といえるだろう。市場の変化や転職している人のニーズに合わせ、求められている情報を発信することが重要だと語るジョニー。
採用広報を実施する目的は、もちろん採用を進めるためだ。だが、コンテンツとして世の中に発信する以上、候補者や候補者になるかもしれない人、もっと広くいえば世の中の人々が求めている情報を発信していかなければならない。本当に良い採用広報のコンテンツとは、採用に関する情報だけに留まらず「世の中のニーズと自社を結ぶコンテンツ」だ。そういったコンテンツを発信できる企業だからこそ、社会的課題をなんとかして世の中を良くしたいと思う若手人材が集まってくるのではないだろうか。
「No Company」と「FastGrow」
それぞれが果たす採用支援の役割とは
採用マーケティングにおけるコンテンツ作りは、何を発信するかも大事だが継続して作り続けることも重要だ。秋山氏によれば、2021年現在の採用市場ではおよそ1年続ければ効果測定や振り返りができるとのことだが、リサーチやコンテンツ戦略を自社でやり続けるのは難しい場合もあるだろう。
そんな企業や採用担当者のために、No CompanyとFastGrowはあるといってもいい。「自社の働く魅力を伝えたい」という課題を持つ人に圧倒的に貢献できる存在だ。最後に両者に、採用市場における両者の役割について伺った。
ジョニーFastGrowを運営しているスローガンは、採用支援事業を15年以上続けてきた企業です。運営している人間は採用に詳しいだけでなく、経営を志す若手人材の気持ちに精通したプロフェッショナルです。だからこそ、採用担当が悩むポイントを押さえた上で、必要な情報を記事に盛り込むことができるのが強み。こういったインサイトを持っているメディアは他にはあまりないと思っています。
また「経営」や「企業」「新規事業」に精通するメディアだからこそ、ベンチャー・スタートアップや大企業の新規事業に興味関心が高いユーザーが多いです。そういった人たちが抱える疑問を細かく捉えた上で発信を行っているので、クライアント企業の取り組みが読者により強く伝わるコンテンツを作ることができます。
秋山「自社の働く魅力を伝えられていない。でも伝えたい」といった課題や、「B面のコンテンツを作りたい」といった課題を持っているクライアントの方々に並走しつつ、「SNSデータ起点での解決」を提供するのが、No Companyの役割であり強みです。
SNSから候補者のインサイトを顕在化させることができるからこそ、「今なら○○を発信するべきです」といったことや、例えば「このコンテンツはFastGrowに投稿するといい」という、メディアプランニングも含めて提案できます。
No Companyのミッションにもあるように我々の目指す先は、「コミュニケーションの力で組織と人を変えていく」ことです。博報堂グループが126年の歴史で創りあげてきた広告マーケティングの強みを活かし、コミュニケーションを起点にHRを良くしていくという気持ちを込めています。
これまではモノの消費に使われてきた広告コミュニケーションですが、我々はNo Company は「人がよりよく働けること」を目的に広告コミュニケーションの知見を使いたいですね。
こちらの記事は2021年12月21日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
執筆
大久保 崇
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