D2Cスキンケアブランド、データ管理による物流DX。BREW厳選のスタートアップが登場──FastGrow Pitchレポート
「イノベーターの成長を支援し、未来社会を共創する」をミッションに掲げるFastGrowが、「この会社、将来大きなイノベーション興しそうだ!」と注目するスタートアップをお呼びして、毎週木曜朝7時にオンライン開催する「FastGrow Pitch」。
登壇するスタートアップが目指すビジョンや事業内容、創業ストーリー、どんな仲間を探しているのかなどをピッチ形式で語るイベントだ。
今回は、シード・アーリー期のスタートアップに特化して広報支援や投資活動を行うVC・BREWとのコラボレーション企画として、BREWが広報支援をしている企業が集まる限定回を開催した。
本記事では、ピッチの模様をダイジェスト形式でお届けする。登壇したのは、株式会社SISI、ascend株式会社の2社(登壇順)だ。
- TEXT BY OHATA TOMOKO
- EDIT BY YUI TSUJINO
BREW
ファイナンスとクリエイティブの支援を通して、
新しい未来を“醸成”する
BREWは、シード・アーリー期かつライフスタイル領域のスタートアップに特化し、投資・支援を行うクリエイティブ・ブティックだ。「人々の新しい未来を“醸成”していく」をミッションに掲げ、クリエイティブ事業、ベンチャーキャピタル事業を展開。
プロダクトや事業を伸ばすため、マーケティングやデザイン、エンジニアリングに限らず、経営やファイナンス、広報なども伴奏して中からサポートする。創業から4年で会社を上場に導いた代表の小原氏を始めとし、上場まで事業を第一線で引っ張ってきた多様な経験を持つプロフェッショナルな事業家が集っている。
SISI
私を思う「時間」と「習慣」を提供する、スキンケアブランド
最初に登壇したのは、D2Cスキンケアブランド『SISI』を開発・運営している、SISI代表取締役社長の澤田実加氏。
冒頭で澤田氏は、『SISI』のブランドコンセプトについて共有した。
澤田『SISI(私思)』のコンセプトは「肌を思う、私を思う」。スキンケアは、ただ肌をきれいにするだけでなく、自分自身を思いやり、ケアする大切な時間です。プロダクトを通して自分自身を思いやる時間や習慣を提供したいと思い、サービス開発に至りました。
『SISI』は、はがさない美容マスク『Rozality』、時間差保湿化粧液『White Time Capsule』、二層式ウォータリングクレンジング『I’m Your HERO』を展開している。
『Rozality』は、2020年11月にMakuakeにクラウドファンディングを実施し、開始15分で目標金額を達成。最終的に949%の達成率を獲得し、非常に好評を得ている。
『SISI』は、「クリーンビューティー」という考え方を大事にしている。「自分を大切にすることが地球を大切にすることに繋がる」をキーワードに、地球に配慮した原料や配送の資材、容器などを積極的に取り入れているのが特徴だ。
さらにユニークな点として「スキンケアのラインを持たない」ことを挙げた。
澤田人それぞれに個性があるのと同様に、一つひとつユニークなスキンケアアイテムを展開できればと思っています。
実際に、一つのブランドですべてのスキンケアをまかなっているお客様は全体の2割程度しかいません。だからこそ、私たちはクレンジングからクリームまで、スキンケアのラインを持たないブランド設計を行っています。
お家にいながら専門家による肌解析が受けられる『SISI LAB』も展開している。使い方は、同社から送られて来る肌診断キットで肌の状態をチェックし、キットを付属の封筒に入れて返送するだけ。キメや毛穴など肌の状態を専門家が科学的に分析し、肌の状態と適切なスキンケアが記されたレポートが提供される。
SISIのスキンケアプロダクトを定期購入されるユーザーに肌診断を実施することで、適切なスキンケアの提案につながっているという。
澤田お客様の購買データ、肌データ、製品フィードバックが紐付いたデータベースを構築しています。一人ひとりの肌の状態を定期的に解析することで、適切なスキンケアの選び方や使い方のアドバイスにつなげていきたいです。
同社は、定期的にユーザーインタビューを実施し、フィードバックを得ることで、よりユーザーに寄り添ったサービスを展開している。今後は、さらなるプロダクト開発のみならず、国内・海外でのオフライン販売も見据えているという。
「デジタルマーケティング領域やCRM、アシスタントブランドマネージャーを担える方を募集しています。お問い合わせフォームからご連絡ください」と語り、ピッチを締めくくった。
採用情報
ascend
市場規模は16兆円。巨大な運送業界のDXに挑む
続いて登壇したのは、物流BI SaaS『アセンド・ロジ』を開発・運営している、ascend代表取締役社長の日下瑞貴氏。
冒頭で、日下氏は運送業界の現状について説明した。
日下運送業界で働いている方は、全産業の平均と比べて労働時間が24%長いにも関わらず、賃金は16%も低い状況です。原因の一つは、業界全体として業務管理のデジタル化、つまりDXが進んでいないこと。
日々の連絡にはFAXが用いられ、業務内容や勤務状況は「Excel」などで管理されていることが多いんです。その結果、業務や収支に関するデータを正確に把握することができず、改善に繋げるための分析が行えていない企業が多い。市場規模16兆円を誇る日本の基幹産業である、運送業界のデジタル化を進めたいと思い、創業に至りました。
『アセンド・ロジ』は、運送業界の業務をデジタル化し、データの統合管理と分析を実現するDXツールだ。荷物、取引先、車両、ルートなどのデータを管理・分析することで、受注から最短5秒でトラックのシフト表などを作成することを可能にしている。日下氏は「データ取得を目的にするのではなく、業務をこなす中で自然とデータが蓄積し、業務改善に活かされる仕組みを提供しています」と語る。
また、上記のような業務データと財務に関するデータを紐付け、統合的に分析する機能を提供することで、データに基づいた経営の実現をサポートしている。導入時には専属コンサルタントが最適な導入フロー、スケジュールを設計し、スムーズな業務DXに伴走する。
日下業務を一元管理することで、工数を50%削減できた例もあります。「会社として追うべき指標がわかった」「このレポートがあれば荷主と交渉ができる」といった声もいただいていますし、サービスローンチ前から1県10社以上の企業からお問い合わせいただくなど、業界からの高いニーズを実感しています。
運送業界の中でも、特に注力する領域についてこう語る。
日下我々がメインターゲットにしているのは「一般貨物×地場配送」事業を展開する企業です。もちろん競合はいますが、オンボーディングに力を入れることで競合優位性を獲得したいと考えています。だからこそ、創業から1年半の現段階で、カスタマーサクセス責任者と担当取締役を配置しているんです。
今後はSaaS事業のみならず、プラットフォーム事業も展開し、さらなるグロースを目指していきたいと語る。「採用を募集していますので、ぜひWantedlyからご連絡ください」と参加者に呼びかけた。
採用情報
今後も毎週木曜朝7時の「FastGrow Pitch」では、注目スタートアップが登壇し、自ら事業や組織について語る機会をお届けしていく。ぜひチェックしてほしい。
こちらの記事は2021年11月16日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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執筆
大畑 朋子
1999年、神奈川県出身。2020年11月よりinquireに所属し、編集アシスタント業務を担当。株式会社INFINITY AGENTSにて、SNSマーケティングを行う。関心はビジネス、キャリアなど。
編集
辻野 結衣
1997年生まれ、東京都在住。関西大学政策創造学部卒業し、2020年4月からinquireに所属。関心はビジネス全般、生きづらさ、サステナビレイティ、政治哲学など。
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